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「男性経験人数500人」なのに、「男の人と付き合ったことがない」28歳女性が「普通のセックスがしたい」ワケ

一般のAVメーカーでは採算の取れないマニアックな作品や、インディーズゆえの生々しい作風で人気を博している「同人AV」。「普通のAVよりも儲かる」とプロの女優が参入したり、SNS運用に長けた個人がセルフプロデュースで活躍するなど、数多の出演者たちがしのぎを削り合っている。一方で、いわゆる「素人」の女性たちも多く出演している。 彼女たちは何を考え、何を求めて同人AVに出演することになったのか。OLとして働く傍ら、10作品以上の同人AVに出演した経験を持つ香田みゆさん(仮名・28歳)に話を聞いた。
香田みゆさん(仮名・28歳)

香田みゆさん(仮名・28歳)

初仕事はマニア向けの作品で「4時間2万円」

――同人AVに出演したきっかけは? 香田みゆさん(以下、みゆ):最初に出演したのは2022年頃だったかな。エロい世界に精通している女友達がいて、常連だったハプニングバーで知り合った子なんですが、その子は同人AVにも出ていたんですよね。それで「みゆも出てみない?」って誘われたんですよ。盗撮モノでおしっこをしたりシャワーを浴びるところを撮るだけで、顔にはぼかしが入るっていうので何も悩まずに出ちゃいました。ギャラは拘束時間が4時間くらいで2万円。面倒だったので出来上がった作品を確認してないから、もしかして実際は顔が出てるかもしれませんけど。 ――口コミというか紹介されたんですね。監督はどんな方でした? みゆ:ごく普通のサラリーマンみたいな、エロそうでもなく不潔でもない50歳くらいのおじさんでした。いいパパって感じ。盗撮モノのAVが好きで、基本的には自分のために作ってて、それを盗撮モノ好きなマニア仲間に一本1000円くらいで、個人サイトを通して売りに出しているっていう形態でした。契約書はちゃんと書かされたし、年齢確認の身分証も出しました。二本目もまた同じ監督の作品で、今度はマッサージ店でヤラれちゃうっていう盗撮作品。こっちは絡みもありで男優さんは監督のマニア仲間。マッサージ資格とかはもちろん持ってない、ただのマニアの人です。

全身ラバーで浴槽に…特殊プレイにも抵抗なし

――そこから何本か出演した中で、一番印象深かった現場はどんな現場でした? みゆ:全身ゴムスーツの現場ですね。マニアの現場ってマニア度が高ければ高いほど、ちょろいんですよ。おしっこするだけとかだから楽ちん。けど、全身ラバーはマニア度が高いなかではちょっと特別でした。顔まで覆われて、息は口元に空いた小さな穴からストローで吸えるだけ。その状態でお風呂に沈められるんです。すっごい怖いから、普通のAVに出ている女優さんとかパニックになっちゃったりするらしいんですけど、わたしはそういうマニアックなプレイが大好きなので興奮しちゃって。すごく楽しかったことを覚えています。 ――みゆさん自身も、マニアな性癖を持っているからこそ、同人AVに出演することに喜びを得ていると。 みゆ:そうですね。レズもやったし。わりと人気があって顔を出せる同人AVの女優の子にディルドを突っ込む役でしたが。ビデオではやってないけど一時はSMとかも好きでした。SMを覚えたての頃は、痣ができると「わたし、すごい!」みたいな気分があったので、ハプニングバーで知り合った人にボコボコにしてもらったりとか。 密室だと怖いけど、ハプバーならスタッフさんがいるから、危ないところまで来たら止めてくれるじゃないですか。だから安心だなって思って。でもSMはもう抜けたんです。ハプバーには“M女”の子とかも来てるんですけど、自立できなくて依存しちゃってるタイプの子が多くって、そういう子をバカにしてるわけじゃないけど、ちょっと違うなって。 わたしももちろん「男に依存したい自分」っていうのもいるんですけど、一方で「なんでこんな男のいうこと聞く?」って自分もいる。その二面性で葛藤した結果、依存しないほうを取ったんですよね。だって依存してそこに時間を費やしちゃうと、もっと知りたい世界が知れないかもしれないから。 ※性的な好奇心を原動力とは裏腹に、彼女の内面には強い自制と現実的な視点が同居している。有料記事後半では、「男に依存しない」と決めた理由や、恋愛とセックスを切り離してきた価値観、そして同人AVという世界を“冷静に楽しむ”彼女なりのスタンスについて、さらに踏み込んで語ってもらった。(残り:2399字)
1977年東京生まれ。2004年『FUCK ME TENDER』(講談社)で作家デビュー。以後、セックスと女の生き方についてのエッセイやルポルタージュなどを多く手掛ける。近著は『ルポ ホス狂い』(鉄人社)。Xアカウント:ame_rika