仕事

「今なら完全アウト」平成の美容師業界で、カット技術よりも新人に必要だったこと

②技術より先に学んだのは「人間関係の察知能力」

美容室で男性美容師に怒られる女性美容師

※写真はイメージです

前述のように、平成の美容室で、最初に身につける必要があるのはカット技術ではなく、人間関係の察知能力でした。 誰と誰が仲が悪いか……。 どこに立てば安全か……。 今、話しかけていい空気か……。 美容師でありながら、社会の縮図を体験しているような毎日です。オーナーや先輩の機嫌が悪くなかった日は、それだけで「今日は平和だったな」と思えるほど。 また先輩より先に帰るのは絶対NGです。 やることがなくても掃除をやり直したり、道具を磨き続けたりしながら、ただ時間が過ぎるのを待つ。 有給に関しても、新人が使うのはもってのほかです。「有給」というワードを出すだけで場が凍りつくような雰囲気。今思うと、かなりブラックな業界でした。 しかし令和では「不機嫌=離職リスク」です。 もしこれを今の現場でやっていたら、確実にアウト。パワハラはそのままスタッフの定着率に直結します。令和の若手は「無理」と思った瞬間、普通にお店をやめます。 その結果、立場は逆転しました。 ・若手は先に帰る ・遅くまで残るのは先輩 ・有休は新人が優先 ・常に体調や機嫌への気配り 「不機嫌な先輩」は、もはや後輩の離職リスクになりました。

③夜はカットモデル探しという名の修行

営業が終わるのはだいたい22時。そこから練習をして、さらに街へ出てカットモデル探しの旅がはじまります。 休みの日もコンテストの練習やモデル探しで終わっていました。 原宿のラフォーレ前には、同じ目的の美容師が30人ほど集結し、かわいい子を見つけては声かける光景が、毎日のように繰り広げられていました。 ときには不審者に間違われたことも……(笑) 令和の現在は、SNSで完結します。モデル募集のSNSに登録しておけば、応募が自動的に入ってくる。非常に合理的で効率的です。 時代の進化を、ここでもはっきり感じます。

厳しさだけが、人を育てるわけじゃない

平成と令和の美容師業界の違いについてご紹介しました。 厳しさが、技術への執着や仕事への誇りを育ててくれたことも、確かにありました。だから令和の教育を見て、「甘いな」と思う自分もいれば、「あれはキツすぎたな」と思う自分もいます。 この矛盾した気持ちは、平成を生き抜いた美容師なら誰もが感じているのではないでしょうか。今、令和の若い美容師たちが、のびのびと技術を学び、成長していく姿を見ると、業界は確実に前に進んでいると感じます。 厳しさだけが人を育てるわけではないと、今は素直に思えるようになりました。 <文/KUMA>
髪質改善専門家・美容師。東京都江東区にてリピート率95%以上の髪質改善専門店「area」を3店舗経営。極度のダメージヘアやクセの強い髪もサラサラ・ツヤツヤにさせる独自の施術に定評があり、全国各地から髪に悩みを抱える人々が大勢訪れる。YouTubeチャンネル「美容師くまのこだわりTV」で自宅で簡単にできる髪質ケアを中心に発信。
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