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日本なら大問題?「無賃乗車が1日47万件」起きても“黙認”されるニューヨークの現実

ほとんどの乗客が無賃乗車だと知りながら、バスを走らせる運転手

ニューヨーク市内を走るバス(写真:AdobeStock)

実は地下鉄だけではなくバスでも、周囲の乗客に押し流されるように支払いなしに乗車してしまいそうになったことがある。世界最大級の刑務所、ライカーズ島刑務所近くでの取材の帰りに、幹線道路沿いのバス停でバスを待っていた。夕方の帰宅ラッシュに加えて、周辺道路は大渋滞している。バスが大幅に遅れたため、バス停には人の山ができていた。身ぎれいな人は誰もいない。並んでいるのは、ほとんどが労働者で、立っているだけで周囲のイライラが伝わってきた。 ようやくバスが着くと、人々はなだれ込んだ。目の前にあったのは降り口である後ろのドアだ。周囲の流れに飲み込まれるように、車内に入った。料金を支払うタッチパネルは後ろのドアの近くにも設置されていたが、作動せず、支払いできないままに目的地まで行った。周囲の乗客も、状況は一緒だった。 運転手は、ほとんどの乗客が無賃乗車であることは承知していたものの、「料金を払え」というアナウンスはせずにバスを走らせた。こうした光景は、マンハッタン以外の地域では珍しくはない。 もちろん、MTAは無賃乗車を放置しているわけではない。改札の回転式バーに半月型の板を取り付けて、安易に飛び越せないようにしたり、改札の機械上部にサメの歯のような金属板を設置して登れないようにしたりして、対策を強化している。 MTA内で「運賃逃れのスーパーハイウェイ」と呼ばれている非常扉については、約40%の駅で扉が開いている時間を短縮させた。開いている間に通り抜ける人間の数を減らすためだ。また一部の駅では非常扉の前に警備員を立たせるようにした。さらに’25年後半以降、最新鋭の電動改札機の導入を進めている。 しかし、いずれも無賃乗車を根絶するには決定打を欠く。半月型の板は障害にはなっても、本気でやれば飛び越えられる。非常扉の前の警備員は改札を飛び越えることを止めたり、無賃乗車をした者を追いかけたりする任務は課せられていない。最新鋭の電動改札機は、飛び越えるのはやっかいだが、下からくぐるのは簡単だ。 地下鉄では保安のためニューヨーク市警(NYPD)の警察官や州兵がパトロールする姿が多くなった。NYPDには、これとは別に無賃乗車を取り締まる専門チームがある。しかし、無賃乗車を1件1件、その場で摘発はしない。無賃乗車チームの主目的は、無賃乗車をした者の中から指名手配者など重大犯罪にかかわっている容疑者を見つけ出すことだ。 ニューヨーク市の法令では、初めて無賃乗車で摘発された場合は警告のみで罰金は課せられない。2回目の摘発では罰金100ドル。期日までに罰金を支払えば半額が地下鉄乗車カード(OMNY)にチャージされ返金される。
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ニューヨークが無賃乗車に寛容なワケ
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ニューヨークを拠点に活動するフリージャーナリスト。業界紙、地方紙、全国紙、テレビ、雑誌を渡り歩いたたたき上げ。専門は経済だが、事件・事故、政治、行政、スポーツ、文化芸能など守備範囲は幅広い。
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