デジタル

「死んだ上司からSlackで指示が…」米シリコンバレーで議論される“永遠のブラック労働”という地獄

死ぬ前にログを削除する未来

では、この終わらない効率化からどう逃れればいいのでしょうか。ひとつのヒントは、AIが提示する「最適解」に、あえてノイズを混ぜることかもしれません。 AIは過去のデータから最も確率の高い答えを導き出します。しかし人間は、本来そんなに合理的な生き物ではありません。寄り道もするし、直感で決めることもあるし、ときには非効率な選択もします。その不合理さこそが、AIと人間の違いです。 もうひとつは、自分の思考をデジタルに残しすぎないことかもしれません。もし自分のログがAIに学習され、死後もSlackで部下に仕事を指示し続ける未来があるとしたら、それはなかなかシュールな話です。 天国に行く前に、ログを全削除する。そんな「デジタルな死に際の美学」が、これからの時代には必要になるのかもしれません。 AIに支配される未来というと、ロボットが人類を襲う映画を想像する人が多いでしょう。しかし現実の未来は、もっと静かで、もっと地味かもしれません。亡くなった創業者のAIが、Slackでこう送ってくる。 「この資料、もう少し詰められるよね?」 そんな未来は来ないと言い切れる人は、もうあまりいない気がしています。
シアトル在住。外資系IT米国本社のシニアPM。ワシントン大学MBAメンター(キャリア・アドバイザー)。大学卒業後にベンチャー企業を経て2016年に外資系IT企業の日本支社に入社。2022年にアメリカ本社に転籍し現職。noteでは仕事術やキャリア論など記事を多数発表。初著書『世界の一流が休むためにやっていること』(朝日新聞出版)が発売中。X:@fukutamanegi
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