更新日:2026年05月03日 17:42
ニュース

「吸うとエロくなる」繁華街で急拡大する“ゾンビたばこSEX”の危ない実態

 4月18日、警視庁薬物銃器対策課が約4キロもの指定薬物「エトミデート」を密輸したとして、台湾籍の女(50)を医薬品医療機器法違反などの疑いで現行犯逮捕した。押収量は過去最多。「ゾンビたばこ」と呼ばれるこの新興ドラッグは、いま日本の繁華街でこれまでにない速度で拡散している。それも、ある特殊な使われ方とともに――。
zombitabako01

空港で押収されたエトミデート(ゾンビたばこ)の原料とカートリッジ。密輸案件が今年に入り頻発している

密売人が語る。SNSで乱立する密売チャンネルと急拡大する中毒者の実態

「最初に売り出した頃は『飛びっこ』っていう名前でしたよ。ブッ飛ぶから、飛びっこ。あとは効きが麻酔系でケタミンに似ているから、『Kペン』とか。エトミデートとか、ゾンビたばこなんて名称はこの1年なんじゃないか」  そう明かすのは、都内で違法薬物の売買に関わってきた30代の密売人だ。  エトミデートが日本の裏社会に流れはじめたのは2年ほど前。「当初は今みたいなブームが起きるとは想像もつかなかった」と密売人は語るが、日本での流行ぶりは顕著だ。 「今年4月、タイから羽田に4キロものエトミデートを密輸しようとした台湾人女性が検挙されましたが、これは過去最高の押収量。流通はSNSを入り口に末端消費者にとって身近なものとなっており、暴力団の資金源にもなっています。厚労省は昨年5月に指定薬物に指定し、全国では逮捕者も相次ぎニュースにもなっているのに、流行に収束の兆しは見えない」(全国紙記者)  事実、秘匿性の高いとされる通信アプリ・Telegram(テレグラム)では、密売人のチャンネルが乱立していた。記者が入手した業者のチャンネルには、エトミデート入りリキッドの写真が堂々と掲載されており、価格は1本27,000円、2本まとめ買いで26,000円、4本なら25,000円とされている(1本当たりの価格)。 「ドラッグをネット経由で注文を受け、指定された場所まで届ける販売を『手押し』と言うのですが、この界隈ではエトミデートが一番金になるって聞きました。原価がむちゃくちゃ安いんで、利益率がとにかくいい。1本消費するのなんてあっという間みたいで、1日に何度も〝おかわり〟の注文をしてくる中毒者が今、増えているそうです」(前出・密売人)
zombi03

SNS経由で売買されるエトミデート。この入手のしやすさが流行の一因となっている

※ここから先は無料会員限定です。「ゾンビたばこ」という物騒な名前とは裏腹に、その入口は驚くほど軽い。ペン型の器具をくわえ、ひと吸いすれば嫌な感覚だけが薄れ、快感だけが残る――そんな触れ込みで、繁華街の一部ではキメセク用途のドラッグとして急速に浸透しているというのだ。最初は興味本位でも、気づけば行為の最中にペンを離せなくなる。ここから先は、男女ユーザーの生々しい証言を通じて、ゾンビたばこSEXの危険な実態を追う(残り:1823文字)。続きを読むには会員登録(無料)orログインをしてください。 ※ログイン後も下記のボタンは表示されます

新規会員登録(無料)はこちらから>>>

「3本目から美味しく感じる」――気絶寸前まで追い込む男たち

 エトミデートが流行する大きな理由に、セックスとの相性がある。これは男女問わず語られる薬物中毒者界隈の〝常識〟らしい。 「売人が持ってくるのはエトミデートの液体が入った〝うわ物〟で、それをベイプのようなデバイスに挿し、電子タバコのように吸引する。吸い方は何度も深く肺に入れ、息を貯めるように吸うと独特の甘い世界に飛ぶんです。嫌なことがなくなって、身も心もふんわり軽くなり、感覚だけが鋭敏になるかんじ。しかも覚せい剤やコカインと違って勃起するので、延々とセックスを楽しめるんですよ」  そう語るのは、都内在住の30代男性ユーザーのAさんだ。 「最初の一口は苦くてマズいです。プラスチックを焼いたみたいな味。もろケミカルってかんじです。でも3本目あたりから、これが美味しく感じてきちゃうんですよ。効き目が続くのは10分ほどで、気づいたら高頻度で吸ってしまう。無計画にやると何本あっても足りないので、僕はセックスするときにだけと決めています」  ここで疑問が浮かぶ。「ゾンビたばこ」と呼ばれ、ニュースでは腰を曲げて痙攣する若者の衝撃的な姿が流れるような指定薬物が男女を問わず広がっているのかという点だ。Aさんに聞くと、こう答えた。 「僕は彼女とはやらず、もっぱらセフレとですが、『エトミあるよ。俺は吸うけど、いい?』って聞くと『私にも吸わせて』って流れになることが多い。僕がパフって、それを見て女のコもパフって、でキメセクが始まるかんじです。これが覚醒剤だったらガラスパイプや注射器なのでビジュアルがえぐいし、コカインもモロに薬物ってかんじじゃないですか。その点、これはカジュアルに見えるんでしょうね。ただ、いざセックスが始まると、女の子がペンを離さない(笑)。夢中になって吸うんです。クンニしてる時にチラって顔をみたら白目を剥いたままペンを咥えていて爆笑しました」  セックスの内容も、独特なものだという。Aさんが少し恥ずかしそうな表情を浮かべて語った。 「僕は普段、早漏で3分ももたないんですが、これを吸うと1時間くらいできちゃうんです。ペンを片手にスパスパ吸いながら、行為に耽る。相手の女の子も然りです。普段は使わないような言葉を恥ずかしげもなく口にできたりするから、いろんな意味で感覚が麻痺してるんでしょうね(笑)。1回のセックスで3本、空にしたことがありますが、そのときは最後のほうに膝がガクガクしてきて、ニュースでみるゾンビの状態になった。気絶して終わりました。寝て起きたら素に戻りましたが、さすがに怖くなって最近は控えるようにしています」
zombitabako02

「一度、吸いすぎたら足が震えて立てなくなって、気絶した。その時は死ぬかと思った」と振り返るAさん

性産業にも浸透。「仕事に使う」女性たちの依存

 侵食されているのは、男性だけではない。取材を進めると、女性ユーザーにも話を聞く機会を得た。都内でパパ活とキャバ嬢を掛け持ちする20代の女性Bさんは、「いまやエトミが手放せない」と打ち明ける。 「最初はキャバのお客さんにもらって、吸ったんです。フワ~ッとした感覚で気持ちが楽になって、すぐに抜けるし、翌日の持ち越しもない。これは仕事で使えるなって思いました」  Bさんが言う「仕事」とは、年配の男性客との性行為だ。 「おじとエッチするのって、やっぱり嫌な感覚があるじゃないですか。ビジュアルも匂いもキツかったり、そのくせ遅漏だったり。だから高いお金をもらえるわけだけど、エトミを使うとネガティブな面がだいぶ消えるんです。引き算される感じ。嫌な部分だけがふっと抜けて、感覚だけ残るし、ちゃんと気持ちいい。吸わないときと比べたらちゃんと感じるから、おじも喜びます(笑)」  Bさんはチェックインの段階からホテルでリキッドを吸い、性行為中もペンを握りしめたまま離さない。「違法だってわかってても吸うとエロくなるから、おじは何も言いませんよ。むしろ『僕にも吸わせて』って言ってくるやつもいる。あげないですけどね(笑)」  原価が安く、利益率が高く、性産業との相性が抜群――こうした条件がそろった指定薬物の蔓延は、覚醒剤が流行したのと同じ構図だ。過去最多の4キロが羽田で押収されたのは、ほんの一断面にすぎない。この国の繁華街では、いまこの瞬間にも、白目をむいた男女がエトミデートをくゆらせている。 取材・文/SPA!ゾンビたばこ取材班
【関連キーワードから記事を探す】