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フリーターから22歳でココイチFC社長、26歳で星野リゾート総支配人…「異例抜擢」された若手管理職の“その後”

社長は目的ではなく、「手段」に過ぎない

取材中の諸沢さん。社長就任時は、その見目麗しさにも注目が集まった

損益計算書に貸借対照表と、経営者が読み解かねばならない指標は何かと多い。 「最初は会議に出ても話の内容がわからなかった。今も数字を見て経営判断を下すのは、本当に苦手。経営者としては致命的ですよね」と、「叩き上げ社長」としての弱点も隠さない。 代表取締役就任という会社員人生のいわば「頂点」を20代前半にして達成し、将来をどう思い描くのかと聞くと、こう即答した。 「私にとって社長は目的ではなく、あくまで『手段』。『人のために汗をかく』『人に良い影響を与える人となる』という自分にとっての軸を守れる限り、社長という地位へのこだわりはありません」

26歳で総支配人になり、意志疎通に苦労「自分でバイアスをかけていた」

星野リゾートの社員、遠藤美里さん。千葉県出身、大学時代はアカペラサークルの活動に熱中した。ライブを行うときはオーディション制で、先輩にも忖度しない環境が、フラットな組織文化に関心を持つ素地になったという

スタッフの育成から施設戦略の実行まで、宿泊施設の運営に関する責任をすべて担う「総支配人」。宿泊施設内で最も責任ある役職を、20代にして二度も経験した女性がいる。リゾート施設や温泉旅館の運営を行う星野リゾートの社員、遠藤美里さん(32)だ。現在は、若者世代をターゲットに同社が展開するブランド「BEB5(ベブファイブ)軽井沢」で総支配人を務める。明治大学卒業後、同社に新卒入社し、温泉旅館「界津軽」(青森県)に着任した。 「フラットな組織文化」を人事制度の基盤とする同社では、プレゼン大会で戦略発表を行い、社内投票を経て、年次を問わず総支配人に着任できる「立候補制度」という仕組みを設けている。入社3年目までのスタッフが総支配人やユニットディレクター(機能別の部門責任者)に立候補するケースは、この5年で8倍に増えており、立候補をサポートするプログラムへの応募も毎回定員に達している状態だ。遠藤さんは’20年、前総支配人の異動を機に「界津軽」の総支配人に立候補した。 「前総支配人は直属の上司だったんですが、異動時の挨拶で『投資計画が実現できたのは自分ではなく、みんなの成果です』と言い残していたのがすごく格好良くて。自分もスタッフへの『恩返し』がしたいと思いました」

BEB5軽井沢にて、スタッフと打ち合わせを行う遠藤さん。自身が立てた施設戦略を実行しつつ、オーナーへの収益報告、スタッフ育成、取材対応などを幅広くこなす

プレゼン大会では、当時施設になかった露天風呂の必要性を市場環境の変化とともに訴え、26歳にして見事総支配人の座を射止めた。順調にキャリアを積んでいるように見えるが、その後は「力不足を実感する日々だった」と率直に振り返る。 「施設に60人近くいたスタッフ全員の要望を汲み取ろうとしましたが、今度は施設として目指す地点を見失いかけてしまい……。今思えば『経験の長いスタッフとは対等な議論が難しいのでは』と、自分の中で勝手にバイアスをかけていた部分もありました」

取材中の遠藤さん。宿泊客と見紛うあどけない笑顔だが、北海道から沖縄までを経験し、今では頼れる「中堅社員」だ

’21年には「界 ポロト」(北海道)の開業総支配人に、’23年には「星のや沖縄」サービスチームのユニットディレクターに異動。管理職経験を重ねるなかで、意志疎通のスキルも上がっていった。 「今はサービスをチームで作りこんでいくうえで、意見の対立も新しいアイデアが発想するきっかけになると思い、以前よりも率直に自身の考えを伝えられるようになりました」 過去にも、「BEB5土浦」では、水上自転車に乗って花見を楽しむ既存プランにおいて、入社4~5年の若手スタッフが同世代に向けたSNS発信や限定宿泊プランを考案。Instagramのリール動画が120万回再生を記録し、1日5室限定のプランが約1週間でほぼ完売するなど、宿泊予約(売上)に直結する成功を収めている。 誰でも管理職に立候補できる制度を備えた会社は国内では決して多くはないが、「社内で年代・年次を問わず価値観を尊重し合うことを通じて、思わぬ化学反応が起きる面白さがある」と遠藤さんは話す。
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若手社員を役職に登用する企業側のねらい
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