お金

「昼まで寝る生活は2か月で…」資産8000万円でFIREした39歳エンジニアの末路。貯金1000万を割り、ウーバー配達員に転落するまで

「25倍ルールは“最低基準”にすぎない」

 こうしたFIRE失敗の話は後を絶たないが、なぜこのような悲劇が起こってしまうのか。自身も30歳でFIREし、現在は3億円規模の資産を運用する個人投資家の金盛潤一氏に話を聞いた。 「1億円を年4%で運用すれば400万円の利益が出る。その400万円で生活して元本に手をつけなければ、翌年もまた400万円が生まれる。この『4%ルール』、つまり年間支出の25倍の資産を持つことがFIREの基本原理ですが、これはあくまで米国の研究がベースの話。日本では運用益や配当に約20%の税金がかかるため、実質は25倍だと厳しいのが現実。インフレも考慮されていないから物価高にも対応できない。25倍という目安はあくまで最低基準であり、私は50〜100倍はないとFIREはすべきでないと考えます」  金盛氏は、FIREと同時に「仕事を手放すこと」のリスクも指摘する。 「完全リタイアは勧めませんね。生活費を少しの労働で補い、資産は温存・成長させる。これが持続可能なFIREの基本形です。好きな仕事を週2〜4日する程度でいい。月10万円でも稼ぎがあれば、相場が多少悪化しても資産に手をつけずに済みます。加えて、失敗者の最大の共通点は孤独になってしまうこと。利害関係なく同じ解像度で話せる人間がいるかどうかは、精神的な安定という意味でも大きいですね」    何よりも大切なのは、むやみに生活水準を上げないことだ。 金盛氏は語気を強めて警告する。 「1億円の金融資産があっても、4%で運用したとて年間400万円。月でならせば30万未満にしかなりません。FIREは上がりではなく、スタートラインでしかない。浪費家でないこと、収入の最大化を怠らないこと、金融リテラシーの向上を怠らないこと。この3つが必要不可欠です」  月25万円の不労所得も、1億円の元本も、働かない自由を保証してはくれない。まず問うべきは、「自分の財布と心が、本当に降りる準備ができているか」どうかだ。
kanamorijunichi

金盛潤一氏
1991年生まれ。大阪大院から商社勤務を経て独立。30歳でFIRE達成、現在は3億円規模を運用。米国株投資スクール講師も務める

取材・文/桜井カズキ
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