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「勝てる馬ちゃうやん」福永祐一調教師の発言が物議…勝負より“着順優先の騎乗”はアリなのか

「トップジョッキーなら当然」との擁護論も

 一方で、福永師を擁護する意見も少なくなかった。 「発言の趣旨や内容自体は問題なくて、説明の仕方をミスっただけ」 「言い方の問題であって、トップジョッキーの思考としてはごもっともでしかない話」  このように福永師の考えに賛同する声も聞かれたが、伝え方に問題があった、もしくはそもそも誰もが視聴できるYouTubeで発言するべきではなかったという意見も多かった。  もっとも、福永師が語った内容そのものは決して特殊な考え方ではない。競馬は能力比較のスポーツであり、騎手はレース中に自らの勝算を瞬時に判断しながら戦術を選択している。勝ち負けが難しいと判断した場合、少しでも上位着順を確保する競馬へ切り替えるケースも決して珍しくない。  ただし、ファンの立場からすれば話は別だ。馬券を購入する以上、どの陣営も最後まで勝利を目指しているという前提でレースを見ているからである。

「理想」と「現実」のギャップが浮き彫りに

 もちろん、騎手や陣営は勝利を目指してレースに向かっている。しかし、同着でない限り勝者は1頭だけ。フルゲート18頭なら17頭は敗者になるということだ。相手関係や馬の状態など様々な要素が重なり合って、本音では勝てなくとも少しでも上の着順に入って賞金を稼ぎたいと思うのが自然だろう。  福永師の発言が波紋を広げたのは、その考え方が特別だったからではない。ファンが抱く「全馬が勝利だけを目指して走る競馬」という理想と、騎手がレースの中で下している現実的な判断との間に少なからぬ隔たりがあることを、公の場で率直に語ったからだろう。  福永師の何気ない一言は、競馬という公営競技が抱える「理想」と「現実」の境界線を改めて浮き彫りにしたともいえそうだ。 文/中川大河
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。
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