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『正直不動産』に続き『虎に翼』も…NHKが映画に本気を出すワケ。「受信料を払ってくれないのでは」公共放送の狙いを元テレ朝Pが解説

黄金時代の成功体験が足かせに

――気づくのがずいぶん遅かった気もしますが…。 鎮目さん:かつてのテレビ黄金時代は本当に勢いに乗りまくっていていました。その頃を知っている世代が、景気が悪くなってきた時に「失敗しないように」と無難な番組を作り続けたんです。 正直に言うと、「自分たちが引退するまでは現状維持でいい」という意識もあったと思います。 しかもテレビ業界の人たちって、外部のノウハウを取り入れることが苦手で、自分たちの仕事は業界外の人間にはわからないという過信もありました。 だから、テレビ以外のエンタメが成功している姿を見て、「映画会社やゲーム会社、YouTuberとも戦わなきゃいけない時代になっていた」と気づいたんだと思います。 ――韓国との差も開いてしまいましたね。 鎮目さん:韓国は人口が少なくて市場が小さいから、国内だけではビジネスとして成り立ちにくいんです。 だから、世界で当たるものを作るしかないという状況で、ずっと試行錯誤を続けてきた。その結果、各国でジワジワと認められるようになって、今では世界中から投資が集まるようになりました。 日本はその逆で、国内でビジネスが成り立っていたから、わざわざ世界を見る必要はなかったんです。 しかも韓国のテレビマンは、もともと日本で学んでいた人が多いんですよ。その韓国に、いつの間にか抜かれていた。しかも大差をつけられて。

日本のテレビに残された最後のチャンス

――つい先日、NHKがNetflixでドラマを放送するというニュースも出ましたね。 鎮目さん:正直、ああならざるを得なかったんだと思います。 受信料以外の収入を得ていかないといけないというのもあるし、Netflixで当たるということは海外の人が見るということです。 そこで「日本に面白いコンテンツがある」と認識させた上で、海外でビジネスをしていこうと考えているのでしょう。当たり外れの経験を積み重ねることで、海外にウケるものづくりの力が鍛えられるはずなので、その意味でも必然の選択だと思います。 実は最近、各局でドキュメンタリーを単館映画化する動きも増えていて、「ニュースの素材から映画が作れるぞ」、「バラエティからも映画が作れるかもしれないぞ」、という意識が広がってきています。 そうなると当然、「ドラマも映画化しなきゃ!」となってきますよね。今回のNHKの動きは、その流れの中にあると思います。 ――今まさに変わろうとしているんですね。ただ、時間はかかりそうです。 鎮目さん:一朝一夕にはいかないでしょうね。なにせ、業界全体が固定概念や既存ルールがガッチリ固まってしまっているので(苦笑)。 今はコツコツ根を伸ばす時期で、5年・10年先にようやく花が咲くかどうかだと思います。 逆に言うと、今ここでシフトチェンジできなければ、日本のテレビは本当に終わってしまうかもしれません。 民放にいると、スポンサーや視聴率の縛りで、やりたくてもできないことが多いんですが、NHKにはその縛りがありません。 だから、まずは誰よりもNHKに頑張ってほしいんです。NHKも民放も、ここが最後のチャンスだと思います。 <取材・文/安倍川モチ子 写真/本人提供>
東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa
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