ライフ

「朝起きたら体に痛みが…」原因不明の難病と闘う39歳女性が感じた、人生のままならなさ「新宿駅で倒れた時に誰も助けてくれなかった」

道行く人の無関心や高額な治療費に思うこと

――つらい痛みを打ち明ける友人はいましたか。 有坂:歌手の黒崎真音さんとは親友で、毎日「つらい」とLINEをして聞いてもらっていました。けれども、黒崎さんは2023年2月に亡くなってしまいました。心の支えを失ってしまい、本当に気持ちがふさぎ込んでしまいました。 ――アーティストとしては、身体の不調をあまり言いづらいですか。 有坂:たとえばコロナ禍以降、以前はライブ会場に来てくれたお客さんが家でできる趣味を見つけて、客足が戻らないことを経験しました。そういう状況があるなかで、自分の病気について大々的に公開することで、「そうなんだね、お大事に」という社交辞令とともに去っていく人もいました。ファンの立場になれば、確かにこうしたご時世であるからこそ、明るいもの、元気が出るものを見たいでしょうからね。そのあたりは表現者として葛藤のあるところではありました。 ――線維筋痛症のように、あまり知られていない病気に対する世間の意識について、思うことがあれば。 有坂:少し前、新宿駅の構内で痛みが酷すぎて吐いて倒れてしまったことがありました。新宿では、誰も救急車を呼んでくれず、誰も助けてくれませんでした。病院では、限られた施設において、一般に線維筋痛症に有効とされているノイトロピン注射を受けることができます。けれども、私は効かない体質なんです。ノイトロピン注射は保険適用ですが、自由診療の治療しか効かない場合、「高いなぁ」と思いながら治療を続けていくしかないジレンマがあります。そうした病気はほかにもあると思いますので、患者数の多くない病気であっても安価で治療が受けられるようになるといいなと思っています。 ===== 両親や友人などの近しい誰かに応援してもらうでもなく、有坂さんは自分の“音楽道”を歩んだ。奇病に冒され、身体が焼かれるかごとき痛みのなかで、無意識に向き合った自らの願い。それは、ただありのままを母親から肯定されることだった。 ひとりのアーティストとして、優等生然とした振る舞いではなく魂の叫びにも似た歌声を、きっとこれから響かせ続ける。 有坂愛海<取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
1
2
3
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。