更新日:2026年08月08日 10:24
ニュース

「中国の関与」を疑う若者たち…韓国で起きる“世代交代の右傾化”と不正選挙抗議デモのリアル【現地ルポ】

膨らんだ疑念が陰謀論へと変わる

3

ソウルのオリンピック公園では随所に不正選挙疑惑の”証拠”が掲げられていた

 不正選挙抗議の“本拠地”はソウルのオリンピック公園。事件後は連日、老若男女が「不正選挙、再選挙! 当日投票、直接開票!」と叫び、左派や中国メディアを警戒する。テント群の男性に日本から来た記者だと名乗ると、「では日本語を話して」と試された。  日本語を聞いて納得すると、悲壮な覚悟を明かした。「地方で会社を経営していますが、いてもたってもいられず上京しました。ここで死ぬつもりで、遺書はもう書いてきました。セウォル号事故の調査でゴタゴタした時からこの国は怪しいと思い、何も信じなくなった。今では第三の勢力が操っているのだと確信しています」  参加者は大きく三層に分かれた。まずは左派同様、政権運営のずさんさや既得権益に正当に抗議する層。次に、疑念を晴らしたい層だ。  休学して3週間、公園に泊まり込んでいるという釜山の大学生は、SNSの写真を根拠に、中国人によるなりすまし投票を訴えた。記者が「写真自体が偽物である可能性はないか」と聞くと、「そうかもしれない」と認めつつ、「それでも怪しいことが多すぎる」と譲らなかった。
4

右派にとっては韓米同盟を強調する星条旗もつねに欠かせずアメリカとの連携を訴える。写真は昼夜座り込みを続ける大学生ら

「李在明は中国が選んだ大統領だ」

 そして、ディープステートを信じる層だ。 「李在明は中国が選んだ大統領だ」「中国人が韓国人のふりをして投票した」などが主な主張だ。背景には、地方選挙権を持つ外国人約12万人の8割近くが中国籍で、韓国内の居住義務もないという事実がある。そこに親米、反北朝鮮などの右派思想が混在する。  現場にいたYouTuberは、李在明氏が若い頃に強姦殺人事件に関与し、被害者の遺体を安東地方のダムに捨てたと主張。そして、それを石破茂前首相が日韓会談で暗に告発するために、白米をダムのように高く盛ったカレーを出したのだと語った。 「石破氏は、李在明の犯罪をお見通しだったんですよ」  しかし石破氏が振る舞ったのはらっきょうなどを隠し味にしたオリジナルカレーであり、もちろんダムを模してもいなかった。
5

各国語で書かれた掲示物の中には、日本語のビラもあった

 彼らが「口封じ法」と恐れたのが、フェイクニュースへの罰則を定めた改正情報通信網法(’26年7月7日施行)だ。施行前日、参加者は「明日から弾圧され、誰も来られない。横断幕に『A-WEB』も使えない」と口を揃えたが、翌日も公園に変化はなく、警察介入もなかった。そして不正選挙の証拠とされるものも、現時点では公式に存在していない。  いずれにしろ彼らの主張は、国家に対する長年の根深い不信感と不安が表裏一体となっているようにみえた。それが右派的イデオロギーや、あらゆる不満と地続きになっている。それらに寄り添い、解消する責任は韓国政府にあることは間違いないはずである。  どのような政権であれ、国民に信用される政府でいることーーこれは日本にとっても対岸の火事ではなさそうだ。 取材・文・撮影/安宿緑
1
2
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。
【関連キーワードから記事を探す】