更新日:2026年08月15日 11:42
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「東大卒なのに地方勤務か…」プライドが邪魔して転職4社。“勝ち組”のはずだった元東大生が語る人生の誤算

「東大卒なのに可愛くない」学歴を武器にしたアイドルを待ち受けていた現実

2024年9月に行われた「なつぴなつ生誕祭」ライブでのなつぴさん。満面の笑みで歌って踊る姿が輝いていた(撮影=松岡瑛理)

新倉さん同様、平日は会社員として働きながら、週末にはセルフプロデュースのアイドルグループ「学歴の暴力」のメンバーとして活動するのが、なつぴなつさん(30)だ。「東大卒」をフルに活かした人生にも見えるものの、「アイドル活動は、挫折の連続だった」と打ち明ける。 AKB48に憧れ中学生の頃からオーディションを受けるも書類が通らず、学歴という「武器」を求めて東大工学部に入学。修士課程まで進んだのち、地方のTV局に就職し報道記者となった。同時期、「学歴の暴力」としても活動を開始。「メンバー全員が旧帝国大学の卒業生」という異色の経歴で注目を集めたが、その分のバッシングも激しかった。 「ネットでは『東大卒なのに可愛くない』など、見た目への誹謗中傷が多かったです。特に悪質と思われる書き込みに対しては、開示請求も行いました。職場のチャットでも『東大卒の癖してアイドル活動してる』といった嘲笑的な書き込みがされているのも偶然目にし、心が病みました」

取材時のなつぴなつさん

SNSでの「尖り発言」を臆さないキャラクターで、ライブに行けば自分の色のサイリウムが一つも見当たらないときもあり、「人気のなさを感じた」とも打ち明ける。メンバーとも話し合い、「学歴の暴力」としての活動は’27年3月で一時休止することに決めた。現在、次の目標とするのが「結婚」だ。Xで結婚相手を募集し、3人と交際に進んだが、いずれも破局し、結婚相談所で活動している。 「相手に求める条件は『MARCH』以上で年齢プラスマイナス5歳。高卒が悪いとは思いませんが、育ってきた環境が違いすぎて戸惑いはします。学歴へのこだわりが、婚活のハードルを上げている側面があることは否めません」と苦笑いする。 三者のような挫折経験は「能力が高い東大生にこそ起こりがち」と分析するのは、自身も東京大学の卒業生であり、100人以上の東大生に取材を行ってきた教育ライターの布施川天馬氏だ。 「東大入学に限らず、入学後、卒業後と競争は続きます。全てのレースに勝ち、経済的成功を収められるのは卒業生全体の数パーセントですが、成功者ばかりに目を向け、20代以降の人生を『迷走』する方は少なくない印象です」 では「東大卒」の肩書に振り回されないためには、何が必要なのだろうか。 「例えば海外での学会発表歴、受賞歴など学歴以外に拠り所となる『軸』があるかは大きい。それがないと、転職や昇進などで結果が出せないときに『不当な評価を得ている』と感じやすくなるのではないでしょうか」 東大生の多くは、大学入学まで人生を上向きに歩んでいる。「負け知らず」だからこそ、卒業後の人生で挫折が生まれやすいことは、知られていい。 布施川天馬(ふせがわてんま) 著述家、教育ライター。1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を編み出し、一浪の末東大合格を果たす。著書に最小コストで結果を出すノウハウを体系化した『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』など <取材・文・撮影/松岡瑛理>
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部で編集・ライター。 Xアカウント: @osomatu_san
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