芸能界に潜むハラスメントと枕営業の誘いを断った代償
――いま「枕営業」の言葉が出ましたけど、RUUさんは実際に経験がありますか?
RUU:私は枕営業をしたことはないんですけど、決定権を持っている人たちって、近づき方がすごく上手いんです。自然と「お偉い方の言うことを聞かなきゃいけない」という空気にさせるんです。例えば、「今度、打ち合わせをしよう」って言われるんです。最初はスタッフさんが4~5人いて、みんなでお店に入って普通に打ち合わせをするんですけど、いつの間にか自然な流れで2人きりになっちゃうんですよ。
――周りの人が少しずつ抜けていくんですね。
RUU:「ちょっと出ないといけなくて」「打ち合わせがあって」とか言って、出ていっちゃうんですよ。実際に私が経験したのは、「君の芝居が見たいので、この中から選んで芝居をしてほしい」と言われ、ドラマの台本を何冊も持ってきて、別室へ連れていかれたことがあります。そこで、お触りが始まるんです。
――飲み屋の個室みたいなところですか?
RUU:そうです。そこからまた別の部屋に連れていかれ、2人きりの状況にさせられることが多かったです。
――RUUさんは、もちろん断ったんですよね?
RUU:もう、気持ち悪くて無理ですもん!
――昔はそういうことが普通だったんですか?
RUU:周りからそういう話を聞いていたので、「こういうことは普通にあるものなのかな」と思っていました。女の子に手を出す舞台監督もいて、「家まで送るよ」と言われてバイクに乗せてもらったら、そのまま自宅に連れていかれて、襲われそうになったっていう話を同じ舞台の女の子たちとしていたこともあります。「私もあった」と話す子もいて、居酒屋で盛り上がるくらいだから、珍しい話ではなかったですね。
――当時は泣き寝入りするしかなかったんですか?
RUU:私もセリフの多い主役級の役をいただいたことがあったんですけど、ロケ先で監督からの誘いを断ったことがあるんです。ウィーンまで行って撮影していたんですが、そのことで現地で役を降ろされてしまい、最終的には、ただ映っているだけの役にまでさげられたことがあります。
――それはひどい! 最近は、演技指導の名の下に行われるハラスメントも問題になっています。有名な演出家による厳しい演技指導が「伝説」として語り継がれていますが、そこには洗脳的な側面もあるんでしょうか?
RUU:それはあると思います。実は私も、ある芸能関係の人に洗脳されちゃったんです……。
――「枕営業」ではなく「洗脳」ですか!?
RUU:大河ドラマに出たいという夢があったので、最初は普通にお芝居の指導だけ受けていたんです。でも、相手は私のことを本気で好きになっちゃったんですよね。それで「お金は全部出すから、乗馬とか茶道とか着物の着付けをやった方がいい」って言われて、やることになったんです。私も夢のためだし、勉強にもなると思ってやっていました。でも、その人がどんどん私にのめり込んでしまって、電話はずっと繋ぎっぱなしだったり、夜中までメールやLINEが続いたりして、しかも相手がいろいろ考えさせられるようなことばかり言ってくる人で、私は精神的に追い詰められて、鬱病になったんです。
――その後、どうなったんですか?
RUU:毎日すごく泣いてばかりで、なんで泣いているのか自分でもわからないくらい、おかしくなっちゃったんですよ。でも、その人は私を出版社やテレビ局に売り込むために動いてはくれていたんです。ただ、ほぼ毎日その人と一緒にいないといけない状況だったんです。そうしているうちにコロナ禍になって、会えなくなったんですけど、電話はずっと繋ぎっぱなしでした。
――監視しているんですかね。
RUU:当時は母と住んでいたので、私が鬱病になったことを知った母が「もう会わない方がいい」と言って、全部無視したんです。そうしたら、弁護士を通じて「今まで使った700万円を返せ」という内容証明が届いたんです。それで裁判になって、4年続きました。民事だったので、最後は和解しましたけど。
――その人はどんな人だったんですか?
RUU:今になって思えば、本当かどうかわからないんですけど、キャスティングとかやっていて、テレビ局や出版社に知り合いがいっぱいいる人なんです。
――いわゆる「芸能ゴロ」みたいな人ですね。
RUU:鬱病になって家に引きこもり、本当に「死にたい」と思う毎日でした。涙が止まらなくて、駅のホームから飛び降りそうになったことも何度もありました。でも、自分がいなくなったら両親は悲しむし、どうしようって悩む日々でしたね。それで、「死にたい。家に帰れない」という状態になって、父に「死にたくてどうしようもないの」と何時間も電話をして、落ち着いてから家に帰る、ということを繰り返していたんです。
――キツい日々ですね。
RUU:それでも、私は芸能活動しかやってこなかったので、一般企業で働く自信もなくて、まったく新しい世界に踏み込む勇気が持てなかったんです。そこで、芸能関係で私ができることとして思いついたのが、セクシー女優だったんですよ。セクシー女優なら全部さらけ出している世界だから、枕営業みたいなこともないだろうと思ったんです。それで自分で事務所を調べたんですけど、いざやってみようと思っても、芸能時代は水着の仕事もしたことがなかったし、まして人前で裸になるなんて、とても勇気が出なくて悩みました。そんなときに、「まずは水着の仕事から始めてみては」「やってみて、嫌だったら辞めればいいよ」と言ってくれたセクシー系の芸能事務所があったんです。それで水着の仕事を1年間やってみたら、すごく楽しかったんですよ。そこからセクシー女優になることを決めました。