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憲法9条を変えなくても自衛隊法を改正するだけで、自衛隊は軍隊として活動できる/倉山満

自衛隊は言ってしまえば「凄い武器を持った警察」

これまで、自衛隊は軍隊として認めてこられなかった。実際に、ネガティブリストで動けない。単なる一つの行政機関にすぎない。言ってしまえば「凄い武器を持った警察」である。 警察は無実かもしれない一般市民を捜査して逮捕する権限を持つ。余計なことをされたら、人権侵害だ。だからポジティブリストで縛る。しかし、軍隊が相手にするのは敵だ。いかなる手段を用いてでも敵の意思を挫かなければならない(ただし、戦争のルールである国際法だけは守らねばならない)。組織の性質がまったく違うのである。 自衛隊を軍隊としての行動ができるようにする「新自衛隊法」を中心とした「合憲自衛隊」を、維新、国民、それに心ある自民党の議員に提言して回った。ありがたいことに、憲法審査会で活発な論議が行われるようになった。 国民民主党の玉木雄一郎代表は「自衛隊は軍隊なのか」と切り込み、日本維新の会の阿部圭史議員は「自衛隊法88条を軸として新法を作るべきではないか」と提示してくれた。 だが、これに対する自民党の見解には落胆させられた。曰く、「自衛隊が軍隊であるかどうかは定義問題」「自衛隊は防衛出動が発令されたら、ネガティブリストで動ける」と。

防衛法の専門家も嘲笑する自民党の見解

心ある自民党議員からは、「だったら、なぜ憲法9条を改正しなければならないのか」と呆れ声だし、防衛法の専門家からも「んな訳、ないだろ」と嘲笑されている。 仮に「軍隊の定義はそれぞれ」だったら、その時点で軍隊の定義を定めたジュネーブ条約その他の国際法に違反する。国際法とは、「守らなければ文明国ではない」約束である。政権与党が国会で文明国の法に囚われないと宣言したようなものである。 また、「防衛出動が発令された瞬間に自衛隊がネガティブリストで動ける」なら、実際はどうなるか。 自衛隊の呼びかけ・要請に、国民や各省庁は進んで協力する。自衛隊が補償も無しに民家を壊して居座っても良いし、他省庁は進んで権限を差し出す。逆らう者は同調圧力でリンチ! コロナ禍で起きた立憲主義の蹂躙を、戦争においても繰り返す気満々ということである。たぶん、自覚無く。だから「んな訳、ないだろ」なのである。 自民党は、護憲派の存在を言い訳にして、憲法改正しなくてもできることをサボってきた。今ごろになってマトモな議論を突きつけられて慌てている。喜ばしいことだ。 今後も現実を突きつけよう。「自衛隊は軍隊ではない! だから軍隊を持つべきだ」と。
憲政史研究家。1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。トランプ再来で揺れる世界を見通すための新章を追加したベストセラー『増補版 嘘だらけの日米近現代史』(扶桑社新書)が発売中

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