エンタメ

ギター直撃で7針…オアシス前座の女性バンド公演で“観客大けが”。「昔のパンクはもっと激しかった」という論法が通用しないワケ

「昔のパンクは~」という擁護論が的外れな理由

0814_おとぼけビ~バ~

おとぼけビ~バ~のシングル『ラブ・イズ・ショート』(DAMNABLY)

 そう考えると、一部の擁護の声にある「昔のパンクバンドはこんなもんじゃなかった」というフォローは、今回のケースには当てはまりません。なぜなら、ギターを投げ入れる行為が、おとぼけビ~バ~のライブにあっては往年のパンクバンドならではの殺伐とした事件ではなく、むしろ現代のエンタメ的なサービスとして機能しているからです。  当然のことながら、誰かを傷つけたいという思いでやっていたのではないでしょう。基本は、お客さんが喜ぶことをしたいと思っているはずです。しかし、同時にそこには少しの危険な香りも漂わせたい。  そんなサービス精神が少し過剰になった結果が、あのタメを作ったギター投げ入れになったのではないでしょうか。客席の盛り上がりを見ていると、アーティストとファンの間で、ある程度の同意が成立しているようにもうかがえます。

4kgの木片を客席へ…真の問題はどこにあったのか

 しかし、だからといってそれがおとぼけビ~バ~を全面的に擁護する理由になるわけでもありません。むしろ、そうした演者と観客との間で結ばれた暗黙の了解が、大きな怪我につながっているとも言えるのです。  今回の一件は、エレキギターという鉄弦の先端のある4kg近い木片を投げ入れる行為をレクリエーションとして消費してしまうことへの認識を問われても仕方ない事態です。スリルとファンサービスの境目をつけなかったために、リスクに対する計算がおろそかになったからです。  おとぼけビ~バ~の過失は、ギターを投げ入れた行為そのものよりも、しかるべき一線を引いてこなかったことにあるのだと思います。 文/石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4
1
2
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。