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“平成唯一の三冠王”「松中信彦の指導」を王監督に託された石毛宏典。心掛けたのは…「諭すように話し続けた」

聞く耳を持たなかった松中が徐々に…

  “平成唯一の三冠王”として知られる松中信彦も、石毛がダイエー二軍監督時代に指導した選手の一人だ。 「アトランタ五輪で野球日本代表の4番を務め、鳴り物入りで入団してきたのがノブ(松中氏の愛称)でした。1年目のキャンプとオープン戦で力を発揮できず、王貞治監督から『二軍に預けるから』と指導を任されました。一週間くらい彼のバッティングを見ていて、『こういう癖があるバッターは、一軍のピッチャーのキレのあるボールは打てないだろうな』と思いました。  ある日の練習後、『ノブ、ちょっと話をしよう』と声をかけ、バッティングの課題を指摘したんです。『今は強い打球を飛ばすため、こういう感じでバットを振っているよな。だけど、あまり強い打球が打てていないから、今度はこういう風にバットを振ろうとしているよな』と身振り手振りを交えながら伝えました。最初は聞く耳をあまり持たないというか、『そんな話はいいから、早く練習させてくれよ』といった雰囲気でしたが、その後も指摘を続けていたら、『そうなんです。なぜ、そこまでわかるんですか?』と言ったんです」

「指導者の仕事」を突き詰めると…

 五輪で4番を務め、銀メダル獲得に貢献したほどの選手。自信もプライドもあったのだろう。そんな松中に対して、石毛は諭すように話し続けた。 「『俺たちも通ってきた道だし、ノブの気持ちは多少なりともわかる。今は無駄な努力をしてしまっているんだ。今日から練習ドリルを変えていこう』と伝えたら、彼は承諾してくれました。そこで信頼関係が生まれ、練習もスムーズにいくわけです。その成果として、バッティングの悪い部分を早めに矯正することができたので、『王監督、ノブはいい感じになってきたので、一軍に上げてください』と伝えました。その後、彼は二度と二軍に落ちることなく、三冠王を獲るバッターへと昇り詰めていったんです。  先ほどお話したように、最初の1年はノブの自主性に任せて見守っていようとか、あるいは、『ノブは聞く耳を持っていないから、しばらく放っておこう』などと考えてコミュニケーションをとらずにいたら、どうなっていたか。指導者の仕事とは何かを考えた時、やっぱり野球は技術を使うスポーツなので、我々もしっかりと理論武装をし、選手が納得できる指導をできなければいけませんし、コーチングも学ばなければいけません。  球団は選手に高い契約金や年俸を払っています。できるかぎり早く成長してもらい、一軍の勝利に貢献できる選手になってほしいという思いで、投資をしているわけです。二軍で一年間塩漬けでいいわけがないんです」
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キャプテンとしてやったことはほとんどない
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千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton
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