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“平成唯一の三冠王”「松中信彦の指導」を王監督に託された石毛宏典。心掛けたのは…「諭すように話し続けた」

3時まで飲んでいたら勝てなくなる

 選手は結果を出せば年俸が上がっていくが、チームスタッフや球団職員らはそうはいかない。幾多の優勝、日本一を経験した石毛ならではのエピソードも語ってくれた。 「何度も優勝できたおかげで、何度もご褒美の優勝旅行に行かせていただきました。毎年のように行っていたので、『ハワイは飽きたね』などと選手間では話していました。一方、チームスタッフや球団職員は、費用をかけずに海外旅行ができることをすごく喜んでくれるわけです。そういう喜んでいる姿を見たら、自分だけが楽しければいいっていうもんじゃないなと。もっと勝ち続けて、たくさん喜ばせてあげたいなという感情が芽生えたんです。  勝つために、シーズン中の心がけも変わっていきました。遠征時の試合後に飲みに行って、午前0時くらいに帰るのか、もう1軒寄って2~3時まで飲むのか。勝つことを考えれば、やっぱり早く帰るようになりましたね。当然、寝ないより寝たほうがいいですし、いいコンディションで試合に臨めれば、いいパフォーマンスができて、チームが勝てる確率が上がるわけですから。  背負うものが多くなればなるほど、それらをしっかりと“重荷”として感じることが大切です。当時の西武の選手たち一人ひとりにそういった気持ちがあったと思いますし、優勝する度に人間として成長していったような気がします。成長した人間が組織となって機能していけば、それは強いチームになりますよね」 

キャプテンとしてやったことはほとんどない

 当時の選手たちには主体性があったという。 「自分の生活のために、個人でいい結果を残す。それは、仕事なので当然です。ただ、忘れてはいけないことがあります。プロ野球選手は、球団があるから働けるんです。会社員も、会社があるから働けるんです。自分が多くの時間を過ごす球団や会社を、どういう場所にするのかは自分次第じゃないですか。辻発彦や秋山幸二、工藤公康、ナベちゃん(渡辺久信の愛称)ら、当時はそのように考えて取り組める、主体性のある選手が多かったと思います。  但し、目標を掲げるのは球団であり監督です。広岡達朗監督や森祇晶監督がチームとしての指針をしっかりと示してくれましたし、選手たちも皆が優秀でした。キャプテンとして自分がやったことなんて、ほとんどありませんよ」  さまざまなエピソードからにじみ出る、類まれなキャプテンシー。常勝軍団の中心に君臨し続けた男の思考は深く、言葉には情熱がある。 <取材・文/浜田哲男>
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton
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