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「G1馬にこれは酷い」スプリンターズSで波紋…パンジャタワー惨敗後に広がった“ゲート入り直前の長ムチ”

長ムチは本当に惨敗の原因だったのか

 今回、議論が広がった理由の一つは、長ムチが使われたタイミングにもありそうだ。中継映像を見る限り、何分もゲート入りが難航した末に使われたというより、比較的早い段階から使われていたようにも映る。  そこに違和感を覚えたファンがいた一方で、長ムチが使われる前からパンジャタワーがスムーズに前進していなかったことも同じ映像から確認できる。  また、発走係員はパンジャタワーだけを見ているわけではない。すでにゲートへ入っている馬も含め、出走馬全体を安全にスムーズに発走へ導かなければならない。今回のパンジャタワーはその後ゲートに収まり、発走が大きく遅れるような事態にはならなかった。  もちろん、だから長ムチがパンジャタワーの精神面にまったく影響しなかった、と外から言い切ることはできない。ただし、それが15着の直接的な原因だったと示す材料もない。  少なくとも松山騎手は、ゲートで普段と違う面が出たことには触れつつ、レースで気持ちが折れた要因として馬場状態を挙げている。

競馬ファンにとってはスタート前の姿もレースの一部

 今回の論点は、長ムチが使われたことの是非だけではない。競馬を滞りなく進めるために必要な対応と見るか、レース直前の馬に強い刺激を与える場面と見るか。同じ数十秒でも、見る側の立場によって印象がここまで変わったことにある。  ゲートに入らない馬を何とか発走させることは競馬の大前提だ。一方、馬券を買い、好きな馬を応援するファンにとっては、スタート前の姿まで含めてレースである。  必要な発走業務として受け止めるファンもいれば、あの乾いた音を聞いて「見たくなかった」と感じるファンもいただろう。パンジャタワーを巡るゲート入り時の数十秒は、競馬を成立させる現場の事情と、それを画面越しに見守るファンの感情との距離を、思いがけず浮かび上がらせたのではないだろうか。 文/中川大河
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。
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