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「いい加減にせぇよ」電車で“口を押さえず咳をする”若者に、隣に座った“ヤカラっぽい男性”が放った見事な一言

「いい加減にせぇよ」と…

「カップルの男性が、例の若者に『いい加減にせぇよ』と低い声ですごんだんです。車内は静かだったので、さほど大きくない声でもよく響きました。こう言うのもなんですが、妙に聞き応えのあるいい声で、つい聞き入ってしまうほどでした」  演説自体も見事だったらしい。 「兄ちゃん、ずっとゴホゴホ言ってるけどその両手は飾りもんか? スマホしか触れんのか? だったらいいことを教えてあげようなぁ。マスクっつうもんが駅のNewDaysでも売ってんのよ。手も必要ないから兄ちゃんにぴったりだと思うわ。つうか俺の嫁さんな、妊娠してんのよ。兄ちゃんの咳がインフルなんだかコロナなんだか知らねえけど、移ったらどう責任取ってくれるんか?」  といったようなことを一息で話したと夏目さんは言う。 「詳しくないからわかりませんが、ラップでもやってるんですかね? 覚えているのはほんの一部で、実際にはこの3倍以上の言葉数で、よどみなく詰めていました。怖いけど正論過ぎるし、もはや清々しいほどだなと思っていたのですが……。『なあ目の前のお兄さん見て? お前さんが手放しで咳き込んでるからハンカチで口を覆ってる。本なんてスマホと違って両手で読みたいと思うけどなぁ』と、私まで引き合いに出されたときには焦りました(笑)」

次の駅で降りていき、ようやく平穏が

 その間、咳男はただたじろぐばかりで、なにも答えることはできていなかったという。 「そうこうするうちに次の停車駅が来て、若者は逃げるようにそそくさと降りていきました。本当に降りたい駅だったのかはわかりませんが、男性の堪忍袋の緒が完全に切れてしまう前に降りてくれて助かりましたね。もちろん、残りの乗車時間がノーガードで咳き込み続ける人から解放されたのも大変ありがたかったです」  若者の降車後、カップルの女性が口を開いた。 「『勝手に妊婦にして!(笑) 私は今日は妊婦だから、帰りにハーゲンダッツ買えよな』みたいなことを言っていました。妊娠のくだりは出まかせだったのかと思うと、口達者ぶりの恐ろしさがより際立ちましたね。体調を崩すのも嫌ですけど、あの若者みたく詰められることがないようにと、常備用のマスクを即座にポチったほどです」  そのマスクは早速活用されることになった。 「この出来事から3日後、ばっちりインフルエンザに罹ってしまいました。ほかに怪しい人の心当たりがないので、例の若者からもらったのだと踏んでいます。まあ、病院に行くときにマスクがあって助かりましたよ……」  感染症を移すも移されるも、みなさまご注意されたし。 <TEXT/鬼怒川庸二>
街角では知り合いに間違われ、飲み屋では酔客に話しかけられる性質を持つ。娑婆の声に耳を傾けているうちに、自然と副業ライターになった。本業もまた別ジャンルの書く仕事。ドッペルゲンガーの報告はこれまで30件超にのぼる
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