更新日:2026年10月05日 18:00
仕事

舌打ち、溜め息、無視…全国の職場に蔓延する「不機嫌ハラスメント」の深刻な実態。仕事をしている人の約75%が「職場に“フキハラ”をする人がいる」

「いつも不機嫌な人」は3つに分類される

不機嫌 フキハラを働くのは、上司とは限らない。スタートアップ企業に勤める40代の女性管理職は、こう話す。 「28歳の女性営業社員にみんな振り回されて……。優秀で仕事はできるけど、会議で自分の案が通らなかったり、課長と方針が合わないと、相手を露骨に無視して上司に呼ばれても聞こえないふり。周りに聞こえるように、『一番数字を出してるのに』と不満たらたらで、周囲は腫れ物に触るようにフォローせざるをえない。なまじ優秀なので、会社は彼女がそんな人とは思ってないようで、業績も挙げているから放置。おかげで、被害が集中した課長はメンタルを病んで、休職中です」  フキハラ加害者である「いつも不機嫌な人」は3つに分類される、と満倉氏は言う。 「感情の起伏が激しかったり、物事をネガティブに捉える①性格的要因。家庭の問題や健康状態などが不機嫌を生じさせている②環境的要因もあるが、もっとも問題なのが③習慣的要因によるフキハラです。不機嫌な態度を示すことで、周囲が自分の言うことを聞いてくれることに味を占めて習慣にしてしまう。このタイプは、フキハラをする人の6割を占めるといわれます」

フキハラはグレーゾーン。会社は介入できない!?

 介護施設で働く30代の男性はフキハラの被害に遭ったばかりか、濡れ衣まで着せられたという。 「介護の現場は入浴介助をはじめ、1人じゃできない業務が多いけど、10歳ほど先輩の同僚は機嫌が悪いと一緒に作業しないんです。僕だけじゃなく、年下のスタッフには同じような態度。ある日、課長に呼び出され、『僕が仕事を手伝ってくれなくて困っている』と、その先輩から苦情があったと言う。ビックリして『先に共同作業を拒否したのは向こうです』と反論したけど、水掛け論で僕が悪いみたいな感じになっていい迷惑です。そいつは怒鳴るわけでも、ケンカ腰ってわけでもないから上司は野放しで、同僚は『今日は、そいつがちゃんと仕事してくれるかな』と気を回さなきゃならない」  近年はハラスメント対策が進み、パワハラやセクハラ、そして妊娠・出産・育児を理由に嫌がらせをする「マタハラ(マタニティハラスメント)」、育児休暇や介護休暇を利用する人に対する「育介ハラ(育児介護ハラスメント)」が法律で定義され、企業に防止措置を義務づけている。さらに10月には、改正労働施策総合推進法が施行され、客による「カスハラ(カスタマーハラスメント)」、企業の採用に応募してきた人への「求職者等ハラスメント」も、企業に対策義務が課された。 不機嫌 フキハラはどうか。職場のハラスメントに詳しい神奈川県立保健福祉大学大学院の津野香奈美教授が話す。 「現行法はフキハラを定義しておらず、対等な同僚の間でフキハラが起きても企業に対策義務はありません。企業はパワハラやセクハラなどのハラスメント対策に手いっぱいで、フキハラ対策までやりたくないという経営陣も多い。社内調査したという話もあまり聞かず、寝た子を起こしたくないのが本音でしょう」
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被害者は今も泣き寝入りを強いられている
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