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4コママンガの巨匠・いしいひさいちの“素顔”が明かされる大特集

 大ヒットした『がんばれ!!タブチくん!!』や朝日新聞連載『ののちゃん』で知られる、いしいひさいち。03年には『現代思想の遭難者たち』『ののちゃん』などで手塚治虫文化賞短編賞を受賞した4コママンガの巨匠だが、その素顔はベールに包まれている。

 インタビュー嫌い、写真嫌いで、マスメディアにはほとんど登場しない。手塚治虫文化賞贈呈式も所用で欠席するなど、公の場に出ることもほとんどない。自作について解説・評論されるのも好まず、雑誌等でまとまった特集を組まれたこともない。

『総特集いしいひさいち 仁義なきお笑い』河出書房新社・1260円(税込)

 そんないしいひさいちの特集本が出るというから、これは事件だ。

「いしいさんが関西大学漫画同好会時代に『Oh!バイトくん』で商業誌デビューしてから、今年でちょうど40年になります。それを記念して、『文藝別冊・総特集いしいひさいち』を刊行することになりました(6/16発売)」

 そう語るのは、同書を企画・編集したフリー編集者の新保信長氏。

「もともと『バイトくん』をはじめとするいしい作品の大ファンで、職業的編集者になる前から“いしいひさいち本を作りたい”という夢は抱いていたんです。実際に同人誌で作ろうとしたこともあったんですが、日々ものすごい勢いで作品が増えていくので挫折しました(笑)。それで今回、何度か仕事させてもらった文藝別冊シリーズの一冊としてどうかと企画を持ち込んだら、首尾よく通りまして。デビュー40周年というタイミングがよかったのか、難関と思っていたいしいさんのOKも比較的すんなりいただけた。ただ、やっぱり『インタビューと写真はNG』というのが条件で、困ったなと。この種の特集本で本人インタビューなしでは読者も納得しないでしょうし、商品として弱い。そこで『写真なしでお話だけでも』とか『書面でのQ&Aでも』とかお願いしているうちに、いしいさんのほうから自作自演の“でっちあげインタビュー”なら……という案が出てきました」

 そのインタビューでは、「たまののタイムス」の山田のの子記者が聞き手となり、いしいひさいちならぬ“いしひいさひち”が40年の漫画家人生を振り返っている。

一応、フィクションの体裁ではありますが、突っ込んだ質問にかなり率直に答えていただいているように思います。ディープないしいファンでも初めて知るような話がいろいろあって、このインタビューだけでも満足度は高いかなと。もうひとつの目玉は『仕事場&アイデアノート大公開』。編集者も入れないという仕事場の写真はそれだけで超貴重ですし、創作の舞台裏が覗けるという意味でも興味深いです」

 ほかにも、いがらしみきお、しりあがり寿、吉田戦車、とり・みき、西原理恵子、カラスヤサトシ、あずまきよひこ、宮部みゆきらの寄稿、大友克洋インタビュー、幻の青春叙情ストーリー「ゲームセット」48p完全掲載、69のキャラと事物を解説する「いしいひさいち小事典」など読み応え十分。詳細な年譜や著書目録など資料的にも充実している。

「インタビュー以外にも随所にいしいさんのコメントが入っています。ののちゃんが実は、あのマンガのあのキャラのパクリのつもりだった……とか、意外な話もたくさん。おそらく最初で最後の大特集本ですので、いしいファンはもちろん、あまりよく知らないという人にも、ぜひいしいひさいちという作家と作品に触れていただきたいですね」 <取材・文/日刊SPA!編集部>

いしいひさいち 仁義なきお笑い

デビュー40周年記念の大特集!




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