雑学

PC普及とともに進化【非薬物系トリップの歴史】

◆非薬物系トリップ探求の歴史

 薬物に頼らずトリップするための技術は、PCの誕生とともに、特にトリップ体験を促す映像作品として発展を遂げた。アングラ文化に詳しく、シーンの黎明期もよく知る、ライターのクーロン黒沢氏が当時を振り返る。

マインド・ウォーカー

『マインド・ウォーカー』の一場面。脳の奥に入っていく様子を再現したものだとか

「トリップ映像が増え始めたのは、Amigaなど16ビットのPCが発売された’80年代後半。なかでも『マインド・ウォーカー』というゲームは、トリップ映像を駆使したことで、マニアたちにトラウマとともに語り継がれています」

’86年にリリースされた『マインド・ウォーカー』は、「精神を病んだ患者の脳内に潜入する」というテーマのPCゲーム。その設定からして、かなりのバッドトリップ感が満載だ。

「とにかく映像が意味不明で、さっぱりゲーム性がわからない。適当にプレイしているうちに、気がついたらクリアしているという異様なゲームでした」

 ゲーム以外でも、この時代には「メガデモ」というCGで作ったトリップ映像のジャンルが北欧から生まれた。

メガデモ

メガデモは今もあり、特にヨーロッパではビデオアートの一種として広く認知されている

「毎月大量の新作が出るので、自分もあちこちの交換会に通って集めまくりました。当時のちっぽけなメモリ容量で、どれだけサイケで狂った映像を見せられるか。主に北欧のプログラマーが熾烈なバトルを繰り広げていました。科学的根拠は何にもありませんが、すげえすげえって何百本もそんな映像を見てると、脳みその煮えてくる感覚がわかる気がしました」

 昔、「バナナの皮には麻薬物質が含まれており、燃やすとトリップできる」という話があったが、それと似たようなものか。

 メガデモにハマり、アングラな世界に足を踏み入れた黒沢氏は、最後にこう語ってくれた。

「自分を含め、当時のマニアは実生活で楽しいことが何もなかったんです。女とは無縁、スポーツもできない。気持ちいいことといったら、オナニーかメガデモか。あのとき脱法ハーブと出合っていたら、今頃きっと病院でコメントしてたかも。よだれ垂らしながら」

・『マインド・ウォーカー』
「精神を病んだ患者の脳内に潜入したプレイヤーが、悪い細胞を倒していく」という設定で、16ビットのPC「Amiga1000」用のゲームとして、’86年にアメリカの、その名もシナプス社が制作した。映像だけでなく、音楽もサイケデリックで、当時は「ドラッグ感覚のゲーム」と評された

・『リラックス』
『マインド・ウォーカー』を制作したシナプス社が’84年にリリースした、アップル社のPC「AppleII」向けのゲーム。名称はユーザーをリラックスさせるためのオーディオテープが付属していたことから。ヘッドギアで音源を聴きながらプレイし、リラックスするほどゲームが進行すると謳われていた

・『メガデモ』
高機能な16ビットPCの普及とともに生まれたトリップ映像のジャンル。CGを駆使したものが主流で、現在は3D作品も多い。’80年代の北欧が発祥とされる。なんで北欧かというと、「年中雪に覆われているから、オタクたちは家でコンピュータをいじるくらいしかやることがなかった」という説が有力

・『LSD』
名前からしてかなりストレートなプレステ用のゲーム。’98年に日本で発売された。敵も味方も、ゲームの目的すら存在しない夢の世界で生活するだけという、『マインド・ウォーカー』から毒気を抜いてリメイクしたような作品。ゲームの進行に応じて夢が変化する点が特徴で、かなり悪夢的にすることも可能

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