更新日:2018年02月14日 14:42
カーライフ

「コウノトリと一緒にスローライフ」のススメ

日本をつなげ!プロジェクト ~電気自動車で全国の「元気!」を突撃レポート~ 第4回:兵庫県豊岡市『ハチゴロウの戸島湿地』  電気自動車で各地の「元気!」を訪ねる『日本をつなげ!プロジェクト』。前回(https://nikkan-spa.jp/317288)に続き、兵庫県北部、但馬地方からのレポートだ。信号も交通量も少ない但馬の道。自然が身近にたっぷりあって、ぐるりと周遊しても100km程度で存分に楽しめる広さがEVドライブにちょうどいい。但馬は私が高校卒業まで生まれ育った故郷でもある。深刻な過疎に悩む我が故郷。真面目な話、道の駅などの急速充電器や、宿泊施設と観光施設の200V充電器を整備して、「EVの楽園」として京阪神からの観光誘致に活用すればいいのに、としみじみ思う。ちなみに、急速充電器は但馬の中だけじゃなく、京阪神からのアクセスルート上にも必要だ。
円山川

円山川越しに湿地を望む!

 さて、豊岡といえば「コウノトリ」。豊岡では1960年代から絶滅寸前のコウノトリを飼育していて、2005年に初めて放鳥。全国のメディアで大きく報じられた。現在では、市内を流れる円山川(まるやまがわ)の流域に『ハチゴロウの戸島湿地』など放鳥されたコウノトリの保護地域が作られて、2012年7月には「円山川下流域・周辺水田」がラムサール条約に登録された。  市の施設である『ハチゴロウの戸島湿地』を指定事業者として管理しているのは『コウノトリ湿地ネット』というNPOグループだ。代表の佐竹節夫さんは、もともと市の職員としてコウノトリの保護や繁殖を担当していた。市役所に勤めつつ2007年に市民グループを旗揚げ。2009年に『ハチゴロウの戸島湿地』の完成とともに定年まで2年残して市役所を退職し、コウノトリのための湿地管理に取り組んでいるという。  水田など、生息する湿地の生態系の頂点に立つのがコウノトリ。「コウノトリはもともと人里で生きてきた鳥です。絶滅の危機に陥ったのは水田で大量に農薬を使ったから。コウノトリが棲みやすい水辺を守る活動は、ゲンゴロウのためであり、アメンボのためであり、カエルやドジョウやフナのためになり、ひいては周辺に暮らす人間のための環境を守ることにつながるんです」と佐竹さん。  効率ばかりを追いかけて農薬まみれになってきた日本。でも、コウノトリを守る活動が、人間にとっても健康的で心豊かな生活環境や食べ物をもたらしてくれる。普通の町で「無農薬、減農薬で環境保護を!」なんて呼びかけても、実際に農家の賛同を得るのは大変だろう。でも、ここ豊岡では「町のシンボルでもあるコウノトリのおかげでスムーズにたくさんの人が協力してくれる」(佐竹さん)。まさにコウノトリこそが、豊岡におけるスローライフの象徴になっているということだ。 『ハチゴロウの戸島湿地』には、コウノトリが巣を作るための巣塔があり、開園以来5年間連続して巣作りをしてくれて「11羽のひなが巣立っていった」(佐竹さん)という。園内の観察小屋からは、冬から早春にかけて巣作りや子育てをするコウノトリの姿を観察できるはず。豊岡市内には『コウノトリの郷公園』や『コウノトリ文化館』など、コウノトリにまつわる観光施設もあるが、『ハチゴロウの戸島湿地』は野生に戻ったコウノトリを間近で観察しやすい絶好の「見どころ」なのだ。 ⇒【後編】へ続く「見るだけじゃなく、コウノトリのために働いてみる」
https://nikkan-spa.jp/317331
<文と写真/寄本好則(三軒茶屋ファクトリー)>
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