仕事

「コスパにうるさい人」は仕事ができない

最近、コストパフォーマンスにこだわる人が増えている。何をするにしても「コスパがいい/悪い」を判断基準に据えている人のことだ。ところが、この基準にこだわりすぎる人は「仕事ができない」と断言するのは、経営コンサルタントの鈴木進介氏だ。20~30代の若手サラリーマンから「社外先輩」としてから支持される鈴木氏に聞いた。
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貧すれば鈍す?

――コスト意識に敏感であることはいいように思います。なぜダメなのでしょうか? 「多くの人が言葉に踊らされて、大事な点を勘違いしているからです。『コスパの奴隷君』はコスト削減ばかり考えて、その後のパフォーマンスを見ていません。コスパとは、あくまでもリターンを得るための出費が適切かどうかの度合いを見るためのものです」 ――確かに、「安かろう悪かろう」であることは多いです。その前提に立ってパフォーマンスまで見ることは必要です。しかし、「コスパにうるさい人は仕事ができない」という説の真意はどこにあるのでしょうか? 「繰り返しますが、コスパが悪いのではなく“倹約”の面だけを見るコスパ至上主義が悪いという意味です。たいていこのタイプの人は、“他人より損したくない”という心理に支配されています。そのため、仕事においても“損しないこと”を第一義に考える。自分の成長につながるであろう挑戦や自己投資すらも避けてしまう。これは友人の話ですが、久しぶりに会った折に、飲み会の幹事を買って出てくれました。ところが、彼が選んだ店は低価格居酒屋のチェーン店。隣の席は大学生の合コンで埋め尽くされ、うるさくて会話できない。でも、友人は一言、“1人3000円でお釣りがくるから、コスパがいいだろ?”と」 ――安いだけでパフォーマンスが悪い店ですよね……。 「久しぶりに会ったメンバーと旧交を温める場で、こんな店を選び、コスパの高さを誇らしげにドヤ顔で語る友人には寒気がしました。そこで、彼の近況を聞き出してみたところ、案の定、仕事が中途半端な状態になっている。干されない程度にやっているようですが、成績は同期に抜かれてしまっている。彼は営業職なのですが、固定客のフォローばかりに気をとられ、新規顧客の開拓は一切していませんでした。新規顧客の開拓はリスクがある、と言います。一方、成果の出ている同期はというと、見込み客と人間関係をつくるために、時には自腹を切ってでも話題のレストランや、成功者が集うようなお店に飲みに連れて行くというのです」 ――「コスパの奴隷君」の典型例ですね。 「損したくないという気持ちから、現状維持を考えてしまうと成果は出にくい。コストばかりに意識が働き、新たな挑戦を避けるからです。当たり前の話です。『意味がない』『もったいない』と自己暗示をかけて、さまざまなチャンスを逸していることに気がつかない。 “コスト=単なる出費”ではなく“コスト=投資”という発想に切り替える必要があるのです。お金というコストをかければどんな成長ができるのか、時間というコストをかければどんな人間関係を築けるのかなど、すべては“出費”ではなく、“リターン”に意識の比重を移すべきです。“おいしいリスク”をとらずして、パフォーマンスは上がらないのです」  コスト削減に命をかけることも大事だろう。しかし、その一方でリターンを考えなければジリ貧であることも確かだ。あなたはどっちのタイプだろうか? <取材・文/日刊SPA!取材班> 【鈴木進介氏】 コンパス代表取締役。「逆転の思考術」をテーマに経営コンサルタントとして活動。20~30代の若手社員から「社外先輩」として圧倒的な支持を得ている。新刊『スマホは捨てろ!』を発売 http://suzukishinsuke.com
スマホは捨てろ!

「会社で生き残る」ための戦術を徹底的に考えた

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