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ボクがお客様センターへ毎日電話していた理由

「ホスピタリティ」という言葉が一般的になり、サービスの内容と同時に、その質も問われるようになっている。が、その一方で「お客様は神様」という言葉を曲解した、困ったちゃんな客も少なくないようで……。 ◆ボクがお客様センターへの電話にハマった理由
森 翔太氏

森 翔太氏

 袖の中からiPhoneが飛び出す装置「仕込みiPhone」を製作し、その動画が話題を呼んだ森翔太氏。実は過去のある時期、東京電力のお客様センターに、毎日のように電話をしていたという。 「当時は仕事もしておらず、人と話す機会はほぼゼロ。寂しさからか独り言も多くなり、『これはマズイ!』と思ったときに、電気料金の明細書が目に留まったんです」  電話で対応してくれたのは女性。その電話で森氏は、興味もない電気の仕組みの質問を繰り返した。 「優しく答えてくれたのが嬉しくて、また電話をしたら同じ人が出てくれたんです。迷惑っぽい雰囲気もなかったので、少しずつ電気以外のことも話すようになって」  電話を繰り返すうちに、「私は森さんの担当になったんですよ」と言われるまでに。そのときの喜びを森氏は振り返るが、お客様センターの困惑は察するにあまりある。  しかし、森氏が働き始めて人との接触機会が増えると、電話の回数は減少。「今にしてみたら、社会復帰へのリハビリだったのかも」と自己分析する。 「でも店員さんに優しく対応されると、その人に執着しちゃうクセは今もあって。1年前にはメガネ屋さんの店員を好きになり、メガネをわざと折ったりして、3回、4回と通いました。でも5回目には男の店長に『私が対応します』と言われてショックでした……」  なお、森氏のこうした行動は、「下心ではなく、彼女を救いたい」という思いからだそう。ちなみに、仕込みiPhoneの元ネタである仕込み銃は映画『タクシードライバー』から。ご存じ、主人公が一人よがりに好きな女性を救う物語だ。 「特に制服を着た女性は、制度に縛られているように見えて、『救わなきゃ』と思っちゃうんです。最近は近所のカフェで、かわいい女性が寒いなかコーヒーを配っていて、『助けたい!』と思いました」  下心のほうがまだ、理解しやすい気もいたします……。 【森 翔太氏】 ’83年生まれ。パフォーマー、映像作家。「仕込みiPhone」の動画は約300万再生を記録。文化庁メディア芸術祭の「エンターテインメント部門」審査委員会推薦作品にも選出 ― 私が遭遇した[トホホな客]図鑑【4】 ―
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