W杯直前!! 日本代表のキープレーヤーを将棋で予想
いよいよ目前に迫ったサッカーワールドカップ。我らが日本代表はどのような戦いをするのか気になるところだが、「緻密な戦術まではちょっと……」というファンも多いかもしれない。そこで日本代表のサッカーを読み解く鍵として挙げたいのが“将棋”だ。
◆ベッカムのクロスが将棋の戦法に
将棋でサッカーが面白くなる本 ―3日で理解できる将棋戦法入門』(朝日新聞出版)の著者として知られるいしかわごう氏のイベントに潜入した。当日、会場となったスポーツ居酒屋KITEN!には、コアなサポーターがぎっちり。聞くと参加者のうち、実際に将棋をやったことがあるのは数人。しかし、いしかわごう氏が説明をはじめると、会場からは「なるほど」と納得する声が多く上がった。
「サッカーの目的はゴールを奪うこと、将棋の目的は王様をとることです。ただ、相手の陣地に入ると守備が堅いですよね。サッカーもペナルティーエリアの守りが堅いですし、将棋も王様のところは堅いです。サッカーは守備をやりながら攻めるわけですが、それは将棋も同じで、攻守のバランスの取り方が似ているんですよ」
ゲームの目的が似ているのならば、戦術が似てくるのは当然。意外な組み合わせだが、いしかわごう氏によれば、将棋界へのサッカーの影響は大きいという。
「プロ棋士の野月浩貴さんは大のサッカーファンで、スター選手デビッド・ベッカムのクロスを大きく斜めに移動する『角行』になぞらえた戦法を流行らせました。パスを繋いでボールを保持するポゼッションサッカーや、前線でボールを奪って素早く攻撃するショートカウンターなど、サッカーの戦術には流行り廃りがありますが、それは将棋も同じなんです」
◆日本代表の鍵となる三つの”駒”
日本代表のサッカーといえば豊富な運動量を活かした規律正しいプレーが特徴。まさに将棋で考えるにはピッタリの戦術だ。では、そんな日本代表のスタイルにフィットする選手(=駒)を将棋の視点から選ぶとどうなるのだろう?イベント終了後、いしかわごう氏にW杯のキープレーヤーを選んでもらった。
「まず1人目は本田圭佑選手です。彼は将棋で言うなら、十字方向に動く『飛車』。相手陣地を破ったあと王将を詰ましにいく最強の駒で、攻撃のスタープレーヤーですね。突破力を見せるだけでなく、相手を一撃で仕留める決定力や破壊力でゴールを狙う選手です」
豪快なプレーと縦横無尽にピッチを動き回る姿はたしかに飛車のよう。前大会ではデンマーク相手に目の覚めるようなゴールを叩き込んだ本田だがブラジルではどんな伝説を残すのだろう。
「2人目は長友佑都選手です。彼は将棋で例えるなら『香車』。前に向かって盤上を直進できる駒で、『槍(やり)』とも呼ばれます。サイドを駆け上がるダイナミックな動きはサッカーのサイドバックそのものですね。ただし、攻撃参加した後の背後のスペースには注意が必要です」
所属チームのインテルではキャプテンマークを巻く機会もあり、完全にワールドクラスの選手になった長友。スター選手相手でも物怖じしないパワフルなプレーに期待したい。
「3人目は大久保嘉人選手です。彼は将棋で例えるなら、前方3方向、斜め後ろに動ける『銀将』。将棋には『銀は千鳥に使え』という格言がありますが、千鳥足のように斜めに進んだり下がったりする、ゴール前での巧みな動きに注目して欲しいです」
サプライズ選出で話題を呼んだ大久保。ベテランらしい老獪な動きは日本代表に新たな可能性をもたらしてくれることだろう。
今大会で日本代表を率いるのは、セリエAを制するなど、希代の戦術家として知られる“名人”ザッケローニ監督。果たしてブラジルではどのような手を打つのか?ワールドカップは「飛車」、「香車」、「銀将」の動きに注目だ。
<取材・文/林バウツキ泰人 協力/スポーツ居酒屋KITEN!http://kiten.jp>ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
将棋とサッカーというとあまり結びつかないイメージだが、実は戦術や駒の使い方には共通する面も多い。プロ棋士の中にもサッカーファンは多く、あの加藤一二三氏もサッカーが好きなのだとか。
そんな将棋とサッカーの関連を探るべく、『
『将棋でサッカーが面白くなる本 ―3日で理解できる将棋戦法入門』 将棋とサッカーという、一見するとまったく接点のないように思える2つの競技には、実は多くの共通点が存在 |
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