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ムネリンにライバル出現!? ラテン系メジャーリーガーがイチロー愛を激白

ヌニェス

日米野球で初ヒット。両手を挙げて深々とお辞儀をしてみせたヌニェス

 ヤンキースとの契約が満了したイチローの去就に注目が集まっている。全盛期からの衰えを指摘する声はあるものの、走攻守でなおも輝く41歳のレジェンドの伝説の続きが見たいというファンは少なくない。そうしたイチローの“ファン”は選手の中にもたくさんいるという。 「イチロー・イズ・マイ・ガイ!」  直訳すると「イチローはボクのオトコ」と、ややもすればアブナくも聞こえるフレーズで語ったのは、元ヤンキースのエドゥアルド・ヌニェス。今回の日米野球にも来日した、現ツインズ所属の内野手だ。もちろん、そっちの意味ではなく(と思う)、親しい間柄同士で使われる「マイ・ガイ」、要は「仲良し」という意味で使ったのだろう。ヌニェスはイチローについて、垂下がった目尻をさらに下げて嬉しそうに語った。  日米野球取材中、イチローとの写真について尋ねた時のことだった。写真動画の共有SNS「Instagram(インスタグラム)」には、イチローの膝に顔をうずめるヌニェスの写真が掲載されている。キャプションには、「the best Japanese guy ever! (今までで最高の日本のオトコ!)」。最大級の敬意と親しみが込められたキャプションが添えられている。
イチローとヌネス

イチローとヌネス。ファンからも「微笑ましい」と話題に

 もともと一般名称としてのguyは、「感じのよい男」という含みが意味にあったという。ドミニカ共和国出身のヌニェスは英語が母国語ではないが、恐らくイチローの人柄の良さも含めてこう言ったのだろう。実際に尋ねるとヌニェスは、「イチローが選手として素晴らしいのは言うまでもないけど、彼は本当にたまらなくいいヤツなんだ」と思い出すように満面の笑みで答えた。 ◆’12~’13年はチームメイト。苦労人のヌニェス ’12~’13年までイチローとチームメイトだったヌニェスは、マイナーリーグで最優秀賞を獲得し、’11年に「どこでもやります」とユーティリティ・プレイヤーとしてメジャーに昇格。主に、デレク・ジーターやアレックス・ロドリゲスというメジャーを代表するスター選手のバックアップとして起用されることとなった。イチローも、ヤンキースでは先発ライト1番というレギュラー選手ではなく、バックアップやユーティリティとしての起用が主だった。  同じユーティリティという共通項はあれど、そつなく華麗に役割をこなす大ベテランのイチローとは対照的に、ヌニェスは不器用さと一生懸命さがプレーに出る若手選手。エラーが多いのがタマにキズだが、それも年々格段に少なくなっている。  何より有名なのは走塁。ヌニェスが走るとなぜかヘルメットが次第に浮いて飛んでいってしまう。現地メディアでも「魔法のように飛んでいくヌニェスのヘルメット」と繰り返し報じられているが、本人いわく、「わからないんだ。一生懸命走っているだけ」。そのため、チームメイトやファンもヌニェスがヒットで出塁すると、「いつヘルメットが飛ぶだろうか……」とちょっと期待しながらも見守るのがお決まりのパターン。全力プレーでチームに明るいムードをもたらす選手なのだ。
ヘルメットにテープを貼られて喜ぶヌニェス

飛んで落ちないようヘルメットにテープを貼られ、喜ぶヌニェス

 ケガにも見舞われ、思うような結果が出せなかったヌニェスは、’13年シーズンを終えるとツインズへ放出。今季もツインズで、内外野様々なポジションで出場機会を得ては懸命に走り、ヘルメットを飛ばした。  厳しいときでも前向きなヌニェスは、「僕はどんなときも愉快なヤツでいたいんだ」と、たくましい笑顔をのぞかせる。そうした姿勢は、同じくイチローを愛してやまないムネリンこと川崎宗則を彷彿させる。「逆境を笑え」という座右の銘を掲げ、同名の著書を出しているムネリンは、ラテン系の選手との交流も深い。 ◆スペイン語でラテン系選手を笑わせるイチロー  イチローは時々、スペイン語も使ってラテン選手とコミュニケーションを取るという。ヌニェスいわく、「イチローのスペイン語はそれほど上手くはないけれど絶妙なんだ」とのこと。ラテンの選手たちの間で、バカ受けしているのがイチローのフィールドでのつぶやき。盗塁を成功させた後、すました表情のまま、イチローはスペイン語で「今日はそんなに速くないな」とつぶやいたりするとか。守備についている選手は笑いを堪えるのに必死なのだそうだ。 「正確に伝えたい」とインタビューには日本語で真摯に答える姿が印象的なイチローだが、実は英語はペラペラ。普段はスラングも交えながら周囲を笑わせたりすることでも知られる。行く末を案じる声も聞かれるが、イチローはどこへ行こうとも生き生きとプレーし、輝きを放ってくれるに違いない。ヌニェスの言葉を借りれば、「選手としても人としても最高」なのだから。 <取材・文/松山ようこ(スポカルラボ)> http://www.facebook.com/SportsCultureLab スポーツをカルチャーとして表現するメディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。
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