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1400億円投入の高尾山トンネル 渋滞解消には繋がらない!?

◆1mにつき7000万円投入!生態系破壊&無駄遣いの極致

圏央道高尾山トンネルが貫通した。本誌でも何度かリポートしてきたが、このトンネルは2kmで1400億円、1mあたり7000万円かかるという。高尾山は水が豊富なため、トンネルを掘っているとあちこちから水が噴き出してしまう。川崎~木更津間の海底トンネル「アクアライン」を掘るような大規模な工事が必要だったという。

高尾山トンネルの建設に反対し続けてきた「虔十の会」代表の坂田昌子氏はこう語る。

「震災後、ものすごいスピードで工事が進みました。注目されていない今の時期に進めちゃえと。これまでトンネルの半分を5年半かけて掘ったのに、残りは5か月で進めてしまったんです。震災のどさくさに紛れてという感じで進められました」

高尾山は水が豊富な山。複雑な環境を有し小氷期の生物が残り、多様な生態系を誇っている。高尾山の植物は1321種、イギリス一国の植物種に匹敵、東京都全域の自生植物の55%に相当する。ひとつの山での植物の種類の多さでは日本一。昆虫は5000種、京都の貴船や大阪の箕面と並び日本三大昆虫生息地のひとつだ。鳥類は150種、日本に生息あるいは飛来する野鳥の3分の1を高尾山で確認できる。

「高尾山の豊かな生物種を支えているのは豊かな地下水。これが分断されれば、ピンポイントで生きている植物が死滅してしまいます。また、その植物に依って生きていた昆虫も死滅してしまいます。現在、高尾山の地下水の水位が低下しているということがわかっています。トンネルができて山の中の水道が変わり、蛇滝や琵琶滝がどうなるかはわからない。すでにトンネルが掘られている、高尾山の隣の八王子城跡(深沢山)の滝は涸れてしまいました。また、ピンポイントで生きている植物や昆虫たちに今後どういう影響が出てくるのか、調査が必要になると思います」(坂田氏)

圏央道は、神奈川県横浜市から千葉県木更津市まで、都心から半径40~60kmの位置を走る全長約300kmの自動車専用環状道路。この環状道路によって本当に渋滞が解消されるのだろうか?

試算によると、圏央道利用を見込んでいる「外外交通」は、4万台(0.6%)にすぎず、しかもこれらがすべて圏央道を使うかどうかも疑問。これでは渋滞解消には繋がらない。既存の16号を全線2車線化したり立体交差化したほうが効果的で、費用も少ない。

「都心の渋滞解消のために、どうしようもなくトンネルを造る。というのだったらまだ納得できます。しかし、効果の怪しい事業を進めておいて、世界的にも貴重な自然環境を破壊していいものでしょうか。税金を使うなら、もっと有効な使い方があるのでは」(同)

取材・文/志葉 玲 佐々木奎一 北村土龍

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