続続々・注文の多いAV嬢

 次の日、そのAV嬢はオフだった。

 結局、私はといえば、一度はセックスしないと気がすまないので、この日の仕事をすべてキャンセルし、とことん彼女に付き合ってみることに、決めた。

 だが、そのAV嬢がしてくる注文は昨日と変わらず、ビデオ鑑賞会とフェラのくり返し。そしてまた、量感覚の狂った昼ご飯と酒。

 息抜きをしようにも、部屋にある娯楽品は、彼女のヌードが載っているグラビア系の男性誌ばかり……ページを開けば、

写りはどう?

と、そのAV嬢がせまってきて、またオナニーを強要する、のくり返し。

ゴメン。急な仕事が入っちゃって……。

 夕方ごろ、とうとうセックスする気力も失せた私は、もう帰ろうと断りを入れる。

え〜! 今日は一緒にいれるって言ったじゃ〜ん!!

 彼女の目から、がつたうのを見て取れた。

わかった! ウソウソ! 帰らないから! トマトジュース、コンビニまで買いに行くだけだし!

ダメ! トマトジュース買いに行って、そのまま帰るんでしょ? トマトジュースはアタシが買ってくるから、ゴメちゃんは部屋にいて!

 そのAV嬢は、あきらかに逃走防止のため、ちゃっかり私の車のキーを持って買い出しに出かけていった。

こんなハチャメチャな性格なのに、なんでこういうところは冷静なんだ!?

 ようやく軟禁という自分の置かれている状況を理解した私は、思わず寒気を覚えずにはいられない。

 量感覚の狂った晩ご飯と2本目のフォアローゼス。そして、アタシのブイの品評会にフェラ。
昨日と同じ夜がデジャブーのように再起動される。

 その夜中、はじめて私とそのAV嬢はセックスをした。

 不思議なことに勃起はした。しかし、さすがに射精までには到れなかった。

 朝の9時ごろ、やっと私は解放される。彼女も仕事ということで、一緒に部屋を出ることができたのだ。

 出勤の30分前、そのAV嬢は寝ぼけ眼でベッドから這い出ようとする間際、まだその横でふとんに潜っている私に、信じられない最後の注文を口にした。

ゴメちゃんとアタシは、ず〜っとプラトニックでいようね……。

 酔っぱらいすぎてセックスしたことを忘れているのか、
それとも挿入しても射精しなければプラトニックというモラル観なのか? たぶん忘れてしまっているだけだろう。

 なにかの小説にあったように、太陽が本当に黄色かった。駐車料金は2万円近くになっている。お札が使えないタイプのコインパーキング。でも、私は困らない。

 なぜならば、そのAV嬢は、驚くべきことに100円を五百枚以上、下駄箱の上に置いてあるお得サイズのコーラーのペットボトルに貯財しており、玄関で靴をはいている私に、
そのうちの二百枚コンビニのビニール袋に入れて、手渡してくれたのだ。

ゴメちゃん、今日の夜は車じゃなく、電車で来てよね!

 その注文を聞き入れるだけの精力は、すでに残っていなかった。

 申し訳なく感じながら、私はパーキングメーターに30分かけて、コインを投入する。

(完)

※ この物語は、ノンフィクションを継ぎ合わせたフィクションです。

前編はコチラ↓

2010.11.05 |  2件のコメント

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

“続続々・注文の多いAV嬢” への2件のフィードバック

  1. もんがー より:

    きっとその彼女は稀に見る「良いコ」だと思います。
    ゴメスさんが羨ましい・・・・、
    ブログを読ませていただいてる分には(笑)

  2. ごめす より:

    たしかにイイ子だったと思います。ただ、情愛が深すぎただけで。そして、そういう子からとんでもない目に合わされるのが、ボクは嫌いじゃないのです。(ゴ)

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