第68回

02年5月24日「極秘プロジェクト」

・早稲田大(院)の生徒を連れて、CGアニメのモーション・キャプチャー作業を見学に。僕は原作者の立場なのでこの段階にくるともう傍観者になってしまうわけだが。

・この作品ではCGキャラの声を担当されてる方がモーションつまり演技も担当している(人気急上昇中のあの人やその人だよ)。格闘やダンスではなくリアルな日常の演技を撮る時は、このやり方のほうが断然うまくいくようだ。

・このプロジェクトは作り方も公開の仕方もかなり面白い形になりそうなので、そのうちしっかりレポート書きます。

02年5月25日「FF11繋がった?」

・『ファイナルファンタジーXI』って、ゲームに入るまでがすごく面倒くさい。でもいったん始めてしまえぱ、ゲーム自体はどんなRPGよりもとっつきがいい。わからないことは他人のキャラクターに聞けるし、あるいはお喋りだけでも楽しいし。

・FFプレイヤー300万人の中にはパソコンもインターネットもやったことのない人が相当の割合いるはずだ。しかし、そういう人がハードルを乗り越えて(つまりシステムを揃えプロバイダーと契約し、ソフトをインストールして etc.のメンドクサイ作業をクリアして)つまりテレビゲームをプレイすることの延長でネット世界に入ってくることの意義はとても大きい。スクウェアさん、ソニーさん、それからネットに詳しい皆さん、ビギナーに親切に、丁寧に教えてあげて下さいね。

02年5月26日「少年隊じゃなくて少林隊」

・遅ればせだけど、どうしてもこれだけはお薦めしとかなくちゃ。映画『少林サッカー』。すごくすごくすごくすごく面白いので観て下さい! 個人的には今のところ21世紀ベストワン。

・少林寺拳法の超人アクションでサッカー。と言えばこれ以上の説明はいらない。想像通り。しかし想像通りのことを実写イメージで見せてしまうって、やっぱりエライことだと思う。SFX的には、金よりもとにかく膨大な時間と手間をかけているところが欧米の大作との違いだ。

02年5月27日「支援カムバック」

・DCAJ(デジタルコンテンツ協会)に。経済産業省絡みのクリエーター支援プロジェクトを、今年もお手伝いすることに。去年はノミネート委員の立場で携わったが、今年は審査員の末席に座らせて頂く。また、がんばりますのでよろしく。

・プロジェクト名称は「ジセコン(次世代デジタルコンテンツ制作支援事業)」。何か新しくて面白くて儲かりそうなアイデアのある人に、そのプロトタイプ制作予算として1企画1000万円を目途に支援するというものだ。これは出資や貸与ではないから、返さなくていい金なのだ。1000万で何かやりたいことがあるデジタルクリエーターさんは、マネ虎よりこっちの方が断然いいよ。

・審査会は応募者のプレゼンテーションも審査員のアドバイスもすごく面白い。僕以外の審査員の方々は業界の重鎮ばかりなので、応募して話を聞くだけでもずいぶん勉強になると思う。おなじみ仙頭プロデューサーもいる。東大でVRの研究をされている廣瀬教授や元映像新聞編集長の清水計宏さんはVRやマルチメディアの黎明期(80年代後半)、仕事場に押しかけてはいろいろと教えて頂いた方だ。詳細はここにhttp://www.dcaj.or.jp/

2004.08.10 |  第61回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。