第76回

02年7月10日「ローリング40代」

・ファミコン時代の偉人・高橋名人のゲーム『冒険島』がiアプリで復活してるぞ。伝記 『高橋名人物語』も復刻され、話題になっている。もちろん本人は今でも大元気で、イベントで衰えない16連写でスイカを爆発させてみせたりもしてるらしい。この勢いで彼の主演映画『GAME KING』(構成・渡辺浩弐)のリバイバル公開を!

・渡辺浩弐博物館にて探してみたら『高橋名人物語』出てきました。もちろん初版。「高橋名人はへその緒を自力でぶっちぎって生まれてきた」「通勤中に握力で吊り輪をぶち壊す」「スケジュールは秘書のパンティーにメモってある」等など、超人ぶりが詳しく描写されている上、伝説的な「ファミコン体操」の連続写真、さらには高橋名人のプライベート・ショットも満載である。当時380円だったこの本、最近は1万円のプレミアがついていたとか。復刻バージョンの値段は2000円。高いと見るべきか、安いと見るべきか。

・彼がデビューした頃、ゲームというものは今よりもっとワクワクするものだった。高橋名人がまた待望されるのは、あの時代の空気を思い出して、共有したいからだと思う。


02年7月11日「ローリング50代」

・テアトル新宿。原將人監督作品『MI・TA・RI!』の上映会。3面複合スクリーンによる映写に加え、サウンドはライブ演奏。原監督自身も語り、歌う。彼が若い奥さんと生まれたばかりの子供を連れて日本全国を旅する、非常にプライベートなロード・ムービー。しかしそこに引き込まれて没入すると、やがて日本文化1000年史と、映画100年史が一瞬で体を通り過ぎていく。

・原さんは、17歳で天才少年監督としてデビューし、以来ずーっと手持ちカメラで自分の目線から日本を、そして宇宙を捉え続けてきた人。『20世紀ノスタルジア』でメジャーシーンでのブレイクを果たしたが、その後も全くマイペースで創作を続けている(この作品も商業志向はなく、多分パッケージ発売もないから、上映会が全国ロードしてる今のうちにすかさず行った方がいい)。

・原監督と初めてお会いしたのは15年くらい前だけど、それから全く雰囲気が変わっていない。彼が17歳の時の自作自演映画を見たこともあるが、その時と比べても全く顔が変わっていない。手に持ったカメラ(かつては8mm→今はデジタルビデオ)で、自分のいる場所から世界を、宇宙を見つめるその姿勢も1960年代から現在に至るまで変わっていない。彼にとっては30年や40年は一瞬に過ぎないのだ。

02年7月14日「ローリング60代」

・マンガ家の木ノ花さくやさんと一緒に、マッド・アマノさん宅に。最近のマッドさんはネット上で活発に表現活動を続けている。「週刊蜃気楼」見るべし。

・実写コラージュをベースとした「パロディ」という方法は表現的にも、思想的にも、とてもネット向きだったのだ(というか、実はマッドさんの作品が例えばマッキントッシュ文化に深く影響していたりするわけだ)。

・ニュース画像をベースにパロディもののフラッシュ・アニメ等を作ってる人は、マッドさんの過去の作品を一度きちんと見ておいても損はない。もちろん、ご本人はネットを使って次のことを企んでいるわけだが。

2004.10.03 |  第71回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。