第213回

5月15日「虫を見る人」

・GWリアルムシキング部活動で山にいた。ら、花粉症がぶり返した。あ゛ー。

・ところで『ムシキング』はすばらしいけど、今さら思うけどポケモンってさらにこの2段階先を行ってたわけですよね。進化の歴史を跳躍したゲーム界のオーパーツだったってことだ。


5月16日「あつい文芸誌」

・『ファウスト』最新刊を携え、太田編集長、来社。さらに分厚くなり、もう爆発寸前といった感じ。この本は、ネットに溢れ返る(であろう)他人の意見を調べずにまず自分で読み込むべきものだろう。僕は連載小説のほか、竜騎士07さん@『ひぐらしのなく頃に』のインタビューも担当させて頂いております。

・『ファウスト』は、雑誌、あるいは書籍レーベルとしてだけでなく、ノベルゲームや漫画等、ライトノベルと隣接する文化圏の中で突出したムーブメントを捉えるブランドとして機能していくと面白い、という話をした。今後、若い作家の育成プロジェクトも始まるということで、非常に楽しみである。

5月17日「×なのに○(360)とは」

・Xbox360(マイクロソフト)に続いて、プレイステーション3(ソニー)についての詳細も発表された。任天堂のRevolutionはやや先のようだし、過去のゲーム資産をダウンロードでプレイするためのフルコンパチコンソールとしての役割がメインになる可能性もある。ガチンコのぶつかりあいはまずXbox360とプレイステーション3の間で行われると見てよいだろう。

・新しいソフトのコンセプトはいずれからもまだ十分には提示されていない。ただし僕は今この世代のゲーム機は大きな変革を喚起すると思っている。それはコンテンツだけでなく、その制作から流通までの全過程における、映画や音楽等、他メディア産業との融合だ。

・例えば旧ハードとの互換より、劇場用映画環境との互換が、ポイントだ。「ハイビジョン再生可能」というのは「映画とコンパチ」ということになる。そして、この演算能力ならばCGの制作環境も、動画、ポリゴン映像問わず、同一化していくだろう。

・この領域においてはEA他の在米ゲームメーカーが今のところ強い。政治的にも地理的にもハリウッドに近いマイクロソフト、ハリウッドの一部を所有するソニー、どちらが力を伸ばしていくか、これは非常に興味深い。

・ソフトメーカー側は、プログラミングとかゲームデザイニングだけではなく、別のノウハウについて準備を始めるべきと思う。新しいデジタル映像の作り方を、そのシフトから構築しなおすというようなこと。
・もちろん映画とゲームは違うけど、それを前提に、製作システム、流通システム、ともに大きく変わっていかざるを得ないはず。そして、過去10年にわたって職人芸に依存し続け洋ゲー(時にハリウッド映画ゲーム)の研究を怠ってきた日本のゲーム・メーカーは、相当に焦らなくては未来はないだろう。

2006.02.05 |  第211回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。