夏休みには学校の先生たちも休んでいたのか?

学校の先生は夏休みも通常勤務している

<文/砂澤陣>

 学校に通う子供たちにとって、夏休みは学校生活何よりの楽しみであろう。もちろん宿題や自由研究、絵日記など、しなければならないことはあるが、梅雨が明ければ、夏休みが待ち遠しく、お盆を過ぎれば宿題を終えねばと頭を悩ませる。

 ところで、夏休みの間、学校の先生はどうしているのだろうか? 実は学校の先生は夏休みも通常勤務をしている。授業はないが、部活動の指導や授業の準備、事務処理、報告書の作成などを行っている。また、この時期に各種研修会が開かれ、先生方は自己研鑽をつんでいるのである。

 ただ、それは「普通の」先生の話である。中には夏休みにサボる先生もいる。特にひどいのが北海道である。

北海道教育委員会のある北海道庁別館

約4000人の教職員が処分! 北海道の教師の勤務実態


 2009年に起きた北教組の違法献金事件を契機に、北海道教育委員会が道内の全公立小中高校の教職員2350校、5万497人を対象に実態調査を実施したところ、2006~2010年度5年間に、北教組組合員ら4169人が勤務時間中に帰宅するなど、以下の不適切勤務をしていたのだ。

① 勤務時間中の組合活動
② 夏休みなどの不適切な遅刻や早退
③ 事実が確認できない「カラ研修」
④ 勤務時間中に教育研究団体などの会計業務に従事
⑤ 警備記録から勤務が確認できない

 これらの不適切勤務は計4418時間に上り、給与約1318万円が不当に支給されていたのである。ただし、9割近い教員については、本人の証言が得られず、実際の不当支給額は数千万円規模に上るとみられる。

 不適切勤務で最も多かったのは、夏休みなどの長期休業中、勤務時間が順守されなかったケースだ。各学校舎の警備システムの記録を調べた結果、例えば始業の1時間後に解除されたり、退勤の1時間前に作動されたりして183校の384人が計2472時間、勤務時間を守らず給与計約720万円を不当に受けていたという。

 このケースでは3588人が不適切勤務を認めず、大半が「システムを作動させた後、校内巡視などを行い終業時間後に退勤した」などと説明しているが、道教委は同一校でほぼ全員が同じ回答をするなど、「明らかに不自然」としている。

 また、夏休みなどに「校外研修を行う」と校長に届けたにもかかわらず、実際には行っていなかったケースが、110校で154人に上り、不当支給額は計約498万円だった。

 2013年、道教育委員会と札幌市教育委員会は、計3917人の教職員に対し戒告や訓告などの処分・指導を行うと発表した。うち校長76人は管理職にもかかわらず、始業時間後に出勤するなど就業時間を守らなかったとして、地方公務員法の職務専念義務違反で戒告の懲戒処分とした。道教委の処分・指導対象者は全教職員の8%に上った。

学校を支配する諸悪の根源「四六協定」とは


 なぜ、長年このようなことが罷り通ってしまっていたのか。それは、北海道教育委員会と北教組との間で取り交わされた、ある「念書」の存在による。1971(昭和46)年に締結された「四六協定」と呼ばれる念書がそれである。この四六協定こそが、学校校務のあらゆることに組合が口出しできることを容認、教育現場で猛威を奮った諸悪の根源だったからだ。

 協定書には例えば次のような項目があった。
◇長期休業日は、原則として校外研修日とする。
◇帰省の場合は自宅研修扱いとし、年休届は必要ないものとする。

 例えば、夏休みや冬休み、春休みに仕事をせずに遊んでいても「校外研修日」として給料が出るというのだ。帰省も自宅研修扱いで、給料が出る。また協定書には、「勤務条件にかかわるものは、すべて交渉事項」という一文がある。

  本来、学校の管理・運営は校長に権限がある。しかし、四六協定により、校長の権限は著しく制限されてしまっていたのだ。北教組は盛んに「話し合いが大切」とか「民主的な学校運営」という。しかし、その内実は「組合の要求に校長が従う」という意味である。要求が通るまで突き上げ同然の交渉が延々と続く。正に組合活動の「解放区」が学校だったのである。

 この四六協定をタテに北教組は全国学力テストにも、道教委のさまざまな実態調査にも「非協力」だったし、学校の授業内容を定めた学習指導要領にも否定する立場を堂々と打ち出してきたのである。

 この四六協定について、道教委は2008年にやっと廃止を北教組に通告した。ただし、協定の破棄を北教組側は認めていない。

【砂澤陣(すなざわ・じん)】
昭和38(1963)年生まれ。彫刻家砂澤ビッキの長男。ビッキ文様を継承するとともに、ビッキ作品の修復・保全活動、さらに自らも木工製品の制作を手がける他、注染で仕上げる「日本手拭い」の図案も手がけている。ブログ「後進民族アイヌ」でアイヌの自立を訴え、アイヌ利権とアイヌ史研究の偏向性の問題を告発し続けている。最新刊は『北海道が危ない!』(育鵬社)。

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