小池都知事の次なる一手は(5)――多摩を制する者は東京を制する

都知事選の際、多摩地区を精力的に遊説した小池百合子氏(7月20日、奥多摩駅前で)。都議選でもその再現が……。

石原知事は、乗客を締め出したJR東日本に激怒


 小池都知事陣営が、石原慎太郎元知事の築地市場の豊洲移転問題で揺さぶりをかけながらも、石原氏にとって致命傷となっていないのは、舛添前知事と異なり、多摩の都民の怒りを買っていないどころか、逆に感謝されていたことが、要因の一つとしてあるように思える。

 平成23(2011)年3月11日の東日本大震災の折に、JR東日本は駅のシャッターを降ろし乗客を締め出し、いち早く終日運休を決めた。石原都知事は「私鉄や地下鉄は、最低限頑張っているのに何たることか」と激怒し、JR東日本に強く改善を迫った。

 23区内に住む都民は、夜になって動き出した地下鉄や私鉄を乗り継ぎ帰宅し始めたが、中央快速線で都心から多摩地区に帰る人々の多くが帰宅困難者となり、翌日以降のダイヤ(運行計画)の乱れも他の私鉄と比較してひどかった。

 こうした状況の時に、多摩都民の声なき声を代弁してくれた石原元知事への感謝の気持ちは、今なお消えていないように思える。

 都心に通勤・通学する多摩の都民は、交通アクセスの面で23区在住の都民より大きなハンディを抱えているが、例えば、日常化している中央快速線のダイヤの乱れをものともせず、毎日、黙々と「満員電車」に乗っている。だからこそ、「多摩都民は本当に怒ると怖い」ということをリーダーは知っておく必要がある。

都議選での政策論争のポイント


 多摩地区に理解のある小池都知事と石原元知事が、築地市場の豊洲移転問題でこれ以上、泥仕合的に争うのは得策ではないだろう。恐らく、夏の都議選に向けて、小池都知事陣営は前向きな政策を打ち出してくるのではないか。

 その内容とは何か――。小池都知事の政策は、思いつきのその場しのぎのものではなく、極めて真摯であり、最側近の野田数氏の『都政大改革』(扶桑社新書)を読むと、政策のシナリオと「原理・原則」がよく分かり、小池氏が打つ次の手が見えてくる。

 小池都知事は、恐らく、待機児童ゼロ、多摩格差ゼロ、満員電車ゼロを主要な政策として打ち出してくるのではないか。多摩に住む都民はもとより23区の都民も、心より歓迎するであろう。

 となると、都議会自民党や自民党東京都連は、いかなる政策で勝負をかけようとするのか。ヒントは、上記の三つのゼロを、国と一体となって実現する目途をつけることである。

 平成25年6月に行われた前回の都議選の投票率は、43.5%であったが、有権者の関心の高まりから、千代田区長選と同じように投票率は10%近くアップするのではないか。

 揚げ足を取る国会審議のようではなく、本格的な政策論争が行われ、東京都がより暮らしやすくなるよう、都議選に期待したい。(了)

文責=育鵬社編集部M

都政大改革-小池百合子知事&「チーム小池」の戦い

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