独裁を目ざそうとする習近平の野望④

習

習近平

「中国の夢」と監視社会


 2013年3月の国家主席の就任演説において、習近平は「中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現するために努力し続けなければいけない」と述べた。

 経済は順調に伸び続ける中国は、共産党の一党独裁を続けるために国民を締め付けてきたが、それは習近平の代になっても変わらないばかりか、以前よりもまして、国民に対する細かな管理を強化していった。

 特に汚職に対しては徹底的に取り締まってきた。これは、政敵の力を派閥ごと弱めるとともに、国民には腐敗追放の先頭に立っている姿を見せることにで、国民からの支持を確かなものにするという一石二鳥の効果があった。

 また、共産党による監視社会を強化するために、IT技術の進歩を統治のためにうまく利用できるようにしていった。

 高度な管理・監視社会を着実につくっていった中国の“暗黒面”を、世界は「デジタル・レーニン主義」などと、その警察国家ぶりを揶揄した。

 2017年10月、2期目がスタートする共産党の全国代表大会では、党の規約の中に「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」という言葉を載せたが、個人の思想が入ったのは、毛沢東、鄧小平以来で、習の演説は3時間を超えて、彼の権力者ぶりをアピールした。

 そして2018年の3月に開催された全人代において、国家主席の任期である2期10年という規約が撤廃され、これにより、理論上は習近平の終身独裁への道が開いたといわれている。

 国民一人ひとりを監視対象として、すべてを習近平が決定することが正式に決定したというわけだ。

弾圧と覇権主義


 チベットやウイグルなど、少数民族への苛烈な弾圧は長期にわたっている。また、南シナ海支配の拠点のため、環礁を大々的に埋立て軍事基地化するという、およそ現代社会ではありえない暴挙に対しても、世界は、それを阻止することができないままでいる。

 特に領土問題において、中国政府は「核心的利益」という表現を用いて、「領土に関しては絶対に譲らない」と断言しており、台湾国内での動きとアメリカの言動によっては、台湾問題での緊張が高まることも懸念される。

 領土に関しては、日本の尖閣諸島に対しての中国の動きが一層強まる可能性があり、どれだけ真剣に領土を守り抜く意思があるのかということを日本が見られている。甘い考えのもとでスキをみせてしまえば、中国がその間隙をぬってくるということは目にみえている。

 2012年の政権発足時から、習近平は軍との協調をしてバランスをとりながら進んできた。一方では、軍制の改革にも着手した。

 軍の意向に、強くは口を挟めなかったといわれる習近平だが、彼の政治権力が強まるなかで、軍制改革も進み、現在では、軍に対しても自信を見せているといってよいのだろう。

参考文献:『習近平の死角――独裁皇帝は間違いなく中国を自滅させる』宮崎正弘著/育鵬社刊





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