中華思想なんてない。日本の視点で捉える中国史!⑦

トランプ

米中貿易戦争


 米中の貿易戦争が留まるところを知らない。最初、トランプ大統領が就任した後の2017年4月、彼の別荘があるフロリダで2日間にわたって長時間の会談を行った米中の首脳。

 腹の探り合いもあるということで、両首脳はフレンドリーな雰囲気が見受けられたが、その際にも米中間の貿易不均衡問題は話し合われていた。

 あれから1年半。その間、習近平と北朝鮮の金正恩との中朝首脳会談、そしてトランプと金正恩の米朝首脳会談が行われるなど、世界は大きく動いてきたが、米中の経済問題も実務者通しの交渉が続けられてきた。

 今年に入って、アメリカは1月に緊急輸入制限を発動し、3月には鉄鋼・アルミ製品への追加関税が発動された。この追加関税は中国以外の国にも適用されていたが、ターゲットが中国であるのは明白だった。

 これを受けて、中国は報復措置としてアメリカ製品の128品目に対する追加関税を実施。米中の貿易戦争が始まることとなった。

 それから、互いに追加関税を相互に発動しあうなど、現時点でもまだ落としどころがみえていない。まさにトランプ大統領と習近平主席のチキンレースの様相を呈しているのだ。

 米中の貿易量を比較すると圧倒的に中国からアメリカへの輸出が大きく、評論家の多くも、最初から中国が不利な状況であると言い続けてきた。

 しかし、中国政府は、記者発表などでは「どこまでもお付き合いする」との発言を行い、ギブアップをする様子が見受けられない。

 これは、中国のメンツの問題なのか不明だが、大国通しの意地の張り合いが、世界経済への悪影響を及ぼす懸念が高まっているのは間違いない。

日中平和友好条約から40年


 アメリカの対中姿勢が強硬なままだが、わが日本は中国との関係改善を進めている。来年が日中平和友好条約から40年を迎えて、これまで日本政府や安倍首相に友好的とはいえない態度が続いていた中国が、対応を変化させてきたのだ。

 それを受ける形で、安倍首相も今年中の中国訪問を望んでいると発言した。

 日中平和友好条約から40周年とはいえ、ここ数年見られなかった中国の対日融和姿勢は、やはりアメリカとの貿易戦争過熱の裏返しと考えられる。

 加えて、「一帯一路」によるアジア各国への経済支援がなかなかうまくいっていないと言われていることも、中国が日本に擦り寄る構えを見せる要因だとも考えられている。

 そんななか、日本の自動車産業において、中国投資に対する好対照の動きが起こっている。

 日産が中国に新工場の建設のため1000億円の投資を行うことを発表したが、一方でスズキは、中国の自動車大手の重慶長安汽車との合弁事業を解消することで合意したのだ。

 小型車がメインのスズキにとって、大型車が主流の中国市場で思うような結果が残せなかったからだで、スズキは中国から全面撤退となる。

 中国とアメリカの関係が悪化するなか、政府間で接近を図る日本と中国。それにビジネスライクな判断で、実利を基準に動く経済界。

 官であれ民であれ、予測不能の中国(ある意味予測通りだが)との距離をどう図るのかは容易なことではない。

参考:『中国と日本がわかる最強の中国史』八幡和郎著





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