中華思想なんてない。日本の視点で捉える中国史!⑧

始皇帝

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ファン・ビンビン現る!

 今年の6月から、その所在が全く不明のままだった中国のトップ女優ファン・ビンビンの発言が、突然投稿サイトに挙がった。  自身が出演した映画の出演料を脱税したと告発された後に、彼女は姿を消していた。  噂では、当局により取り調べを受けているのではないかと言われていたが、外国人記者がこの件を質問した際に、外交部スポークスマンは「これが外交問題なのか」と返事をするなど、政府のかたくなな無視する態度が印象的だった。  しかし、ファン・ビンビンの発言により、噂が事実であったことが証明されたのだ。内容は、脱税の事実を認めて国民に詫び、罪を受け入れるというもの。  中国の映画業界では脱税が横行しており、中国でもっとも有名な女優であるファン・ビンビンを摘発することで、業界の健全化を図り、金持ちが不正をしているという民衆の不満に応える必要があったのだろうか。  内部告発による脱税の摘発は日本でも行われるもので、特段珍しいことではない。しかし、中国という国が特異なのは、まったく事実がわからないまま、そして当局も秘密のまま人が消えてしまうという点だ。  中国政府は、何かの事案が発生すると、その都度「法律にのっとり」と発言して、近代法治主義を標榜する。だが、その「法律」の前提は、中国の共産党一党独裁であり、共産党のもとでつくられた「法律」であるのだ。  だから、自由主義国では全く理解できないこのようなことが、現在でも平気で行われてしまう。

朱健栄氏の沈黙

 そして、この「行方不明事件」は、日本在住の中国人に対しても同様の措置が取られる。  2013年7月、東洋学園大学教授でマスコミでも活躍していた中国人朱健栄氏が、会議のために訪れた上海で、突然連絡が取れなくなった。  9月になってようやく、外交部の報道官が「朱氏は中国国民であり、中国の法律と法規を順守しなければならない」と話した。そして中国国家安全部が彼をスパイ容疑で取り調べを受けていることを事実上認めた。  朱氏が釈放されたのは、翌年年1月だった。そして6月には、日本のテレビに出演したのだが、彼がこの件を話すことはなかった。  この事件は日本人に大きな衝撃を与えた。中国擁護をくり返す朱氏がなにゆえ取り調べをうけなければいけないのか。疑問がわいても、マスコミは事実の究明をしようとしない。日本人は、以前と変わりなくにテレビに出て話す朱氏、それに中国に対して不気味なものを感じた。  このような事態は、共産党の一党独裁体制からくるものだが、歴史を溯ると、中国では暴君による圧政が繰り返されてきた。古書には多くの皇帝の悪政が伝えられ、中にはかなり残虐な皇帝もいて、強権的な支配というものが中国の伝統ともいえる。  さすがに現代では、一般市民にはマイルドな統治となったとはいえ、13億以上の民をまとめるには、ある程度のことは仕方がないと国民も認めているようにもみえる。そういう考えは日本人からするとは、不思議でならない。 参考:『中国と日本がわかる最強の中国史』八幡和郎著
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