中華思想なんてない。日本の視点で捉える中国史!⑩

北京オリンピックの聖火

退役軍人デモ


 中国の山東省平度市で退役軍人たちのデモが大規模に行われ、当局がこのデモを鎮圧する様子がネットにあがっていた。

 多くの市民がデモ隊の周りに集まっていたのだが、このネットに投稿した人物と同様に、デモの様子を見ている市民の多くが、スマホで動画を撮影している光景が印象的だった。

 ただし、当局はデモの鎮圧の際に表面的には強引な排除をしているようには見えなかった。理由は、退役軍人という国に貢献した市民だからだという指摘があった。

 彼らに対して酷い扱いをすれば、むしろ市民の反発が増す可能性があることを懸念しているらしい。

 もう1つが、群衆のスマホ動画がアップされることを警戒している。これがウイグルやチベットでの市民デモとは大きく違うところだろう。

 チベットやウイグルであれば、報道機関は自由な取材はできないので外に情報がもれないが、その以外の地域での騒動は、すぐにネットにアップされる。

 中国の1年間でのデモの確定数値はわからないが、複数の識者による推計では10万件以上にのぼる。日本人には信じられない件数だ。

長野市に集結した中国人


 過去には日本で中国人が市民と衝突したケースがある。それは、2008年の長野市で北京オリンピックの聖火リレーでのことだ。

 当時は新聞も少しは伝えていたが、テレビでは詳細に触れていなかった記憶がある。現在であれば、仮に報道されなくても、すぐにネットに上がるだろう。

 長野での中国人の暴力行為に対しても福田康夫首相は逮捕しないように命じたといわれている。

 親中政治家が首相になった日本の哀しさだが、その当時の日本は、直後に胡錦濤の訪日を控えていたということも、逮捕をしなかった理由らしい。

 この騒ぎ、実はチベット人虐殺問題から北京オリンピック反対運動が広がっていた最中のことで、特に聖火リレーを妨害しようとする動きが世界各地で起こっていた。

 そんななか、聖火リレーが行われる長野市でも、チベットを支援する日本人たちもチベット旗をもって長野市を訪れた。

 そこに、かなりの数の中国人がバスを連ねて長野市に集まったのだ。中国国旗をかざしてチベット国旗をふさぎ、日本人との衝突を繰り返す中国人たち。

 そして暴力行為を目の前にしても逮捕もできない日本の警察。「ここはどこの国なんだ」と、その場にいた長野市民は思ったはずだ。

 日本国内で発生した中国人暴動が長野市民に与えた「恐怖」と「絶望」は大きかったのではないか。

 そういえば、2012年に中国各地で起きた反日デモでも、日本の領事館やスーパーなどへの投石が発生したが、中国当局は彼らをすぐには静止せず、デモは管制との見方もあった。

 中国国防動員法が成立する前でこれなら、現在の日本で同様の事態が発生したらどうなるのかと思うとぞっとする。

参考:『中国と日本がわかる最強の中国史』八幡和郎著





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