ドギーレスキュー一期一会(上)

奥高尾を陣馬山まで散歩してくつろぐジャックラッセルテリア(縮小)

奥高尾を陣馬山まで散歩してくつろぐジャックラッセルテリアのようす


オーストラリアの捨て犬保護施設で

 オーストラリア人は環境保護とか動物愛護に関して、日本人よりもやや熱心な印象を受けます。犬が大好きで、そこらじゅうの公園が日本でいうところの「ドッグラン」になっていて、人と犬が入り乱れて遊んでいます。

 日本に帰ってきて気が付いたことは、日本の都会の犬は、犬どうして遊ぶ機会が少ないので、犬慣れしていない印象を受けることです。「私は人間と付き合う方が好きです。犬は苦手ですね」と言わんばかりの顔をしている犬が多いような気がします。その点、オーストラリアの犬は小型犬から大型犬まで入り乱れて遊んでいます。

 でも、やっぱり無責任な飼い主はいて、犬も猫も毎年何万匹も殺処分されている悲しい現実があります。

 私は犬好きで、犬を飼いたかったのですが、余裕がなかったので、捨て犬を保護するボランティアに挑戦してみることにしました。見つけたのが、モニカさんという女性が始めた「ドギーレスキュー」というボランティア団体です。

 なんとか捨て犬を助けたいと一念発起したモニカさんは、最初は自宅で保護センターを運営していましたが、郊外に土地を借りて本格的な保護施設を運営していました。シドニーの中心部から車で30分以上走る森の中にあります。

 初めて会ったモニカさんの印象は「なんて悲しそうな眼をしているんだろう」というものでした。無責任な飼い主に捨てられ、保健所で引き取り手もなく殺処分されていく犬たちを必死で救っているものの、数的にとても追いつきません。自分が救えない犬たちのあまりの多さにいつも胸を痛めている、そんな感じでした。

 彼女が運営するシェルターはかなり広い土地に犬を収容する建物が継ぎはぎに建てられていましたが、百匹以上の犬が収容されていて、近づくとそれはすごい喧噪でした。

ボランティアでの体験

 「あなたがボランティア志望のTetsuhideさんね。じゃあまずは犬の散歩から始めてもらおうかしら」

 手渡された散歩用のリードは先端がふたつに分かれてふたつの首輪が付いていました。二匹を同時に散歩させるためのリードのようです。どんな犬と出会えるのかな、と思いながら待っていると、やがてモニカさんに連れられて現れたのは二匹のジャックラッセル風の雑種でした。

 ご存じの方もいると思いますが、ジャックラッセルは見た目はキュートながら、ものすごい馬力を持ったアクティブな犬です。二匹は「なんだなんだ散歩か?」といった顔をしています。

 歩き出したものの、やっぱり二匹同時、それも、一本だけのリードは大変です。一匹は大人しめでしたが、もう一匹は活動的であくせくした感じでした。

 歩いていると、ふいにリードが軽くなりました。なんとあくせくしていた方の犬が脱走したのです。首輪がすっぽりと抜けて全速力で駆けていく犬の姿が見えました。逃亡です。しかし、50メートルぐらい離れたところでこちらを向いてちょこんと座り、こちらの様子を見ています。

 「おーい、戻っておいで!」

 叫ぶと犬はこちらに向かって猛然と走ってきますが、手が届かない距離を開けたまますり抜け、今度は逆方向に50メートルぐらい走り去っていきます。そんなことを何回か繰り返した後、諦めて援軍を頼むことにしました。

 一匹だけ連れて戻ってきた私を見て、モニカさんの顔色が変わりました。直ちにスタッフ総出で捕獲作戦が開始されました。(「ドギーレスキュー一期一会」(下)につづく)

(文:山岡鉄秀)

山岡鉄秀(やまおか・てつひで)
1965年、東京都生まれ。中央大学卒業後、シドニー大学大学院、ニューサウスウェールズ大学大学院修士課程修了。2014年、オーストラリアのストラスフィールド市で中韓反日団体が仕掛ける「慰安婦像設置」計画に遭遇。子供を持つ母親ら現地日系人を率いてAJCN(Australia-Japan Community Network)を結成。その英語力と交渉力で、「コミュニティの平和と融和の大切さ」を説き、非日系住民の支持を広げ、圧倒的劣勢を挽回。2015年8月、同市での「慰安婦像設置」阻止に成功した。現在、公益財団法人モラロジー研究所道徳科学研究センター人間学研究室研究員。AJCN Inc.代表。著書に『日本よ、もう謝るな!』(飛鳥新社)、『日本よ、情報戦はこう戦え!』(育鵬社)がある。

日本よ、情報戦はこう戦え!

オーストラリアで慰安婦像設置を阻止したキーマンが、 中韓の嘘を暴くとともに、国際世論を味方につけて、 国際情報戦に“勝つ"方法を伝授する。





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