中華思想なんてない。日本の視点で捉える中国史!⑪
米中新冷戦?
アメリカのペンス副大統領の発言が話題を呼んでいる。保守系のシンクタンクであるハドソン研究所において、自身の対中国観を幅広く論じたが、その内容が強烈だった。 アメリカが中国に対して新たな戦略を取る決定を下したというのだが、それはこれまでの寛容な姿勢ではなく、中国に対して対立姿勢を取るというものだ。 今年に入ってアメリカが中国に対して「中国が不公正な貿易で利益を得ている」として段階的に関税を課すと、中国側は一歩も引かず、中国はすぐさま同様の対抗措置をとった。 新聞テレビなどの主要マスコミは「米中貿易戦争」という報道とともに、強硬な姿勢をとるアメリカのトランプ大統領に問題があるような報道が多かった。 しかし、ペンス副大統領の発言の趣旨からすると、「米中冷戦」の幕が上がったと認識するほうが正確なのだろう。 方や、アメリカの真意を見抜けていなかったのか、これまでの中国の対応は、貿易交渉の延長として捉えていたような振る舞いを続けていた。日中関係の改善?
そのなかで、少しずつ日本に対する関係改善を目指すスタンスを取り始めていた中国は、安倍首相の訪中を機に、アメリカとの関係悪化を踏まえ、日本を中国側に少しでも引き込もうとしているようだ。 中国の「一帯一路」が思ったように進まないなか、10月下旬の安倍首相の訪問前に、円と人民元を融通しあう、約3兆円規模の日中通貨交換(スワップ)を5年ぶりに再会することが発表された。 日中間の通貨協定が中止になったのは、5年前の日中関係の悪化によるもので、尖閣諸島問題がこじれたことが原因であった。 今回の日本政府によるスワップ協定の再開は、アメリカがいくら中国と関係を悪化させても、日本は独自に中国との関係改善を図っていくとも見えるのだが、それで大丈夫なのか。 中国や韓国に対しては、卑屈で下手な行動をすることのなかった安倍総理。日中スワップはアメリカの対中制裁のさなかに、中国を助けるような行動に見えてしまう。 また、中国がアメリカとの摩擦が大きくなるなかでは、自国民の目をそらすために、尖閣諸島や南シナ海でことを起こすかもしれない。 いくら尖閣諸島が日本固有の領土といい続けても、尖閣諸島への侵入を徐々に増やしている中国が、通貨スワップの再開によって、尖閣に来ないということはない。 約束を守るか無視するかも戦略的に行う中国が、通貨スワップの件で、日本を手玉に取るような事態は絶対に避けなければいけない。 今回の日中接近が安倍首相の深謀遠慮による関係改善であることを期待したい。 参考:『中国と日本がわかる最強の中国史』八幡和郎著ハッシュタグ
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