日本を本当に豊かにするためのプロジェクト①

富士山

インフラ・イノベーション

「インフラ・イノベーション」と聞けば、多くの人は、「建設工事の新技術」の話をイメージするのではないかと思う。  もちろんそういう話題が含まれることは当然としても、それが意味するのはより包括的、複眼的なものだ。  なぜなら、「インフラ」という言葉が本来持つ意味は、普段我々がインフラと呼んでいるものよりもはるかに包括的なものであり、かつ、多くの人々が今日気軽に「イノベーション」と呼んでいるものよりもその言葉はより深い意味を持っているからである。  本書を始めるにあたり、その「インフラ・イノベーション」という言葉が何を意味するものなのかについて改めて論じ、そしてそれを通して、ここで何を取り扱おうとしているのかを示しておきたいと思う。

国土こそがインフラだ

「インフラ」とは国土のことである。そもそも「インフラ」とは、「インフラ・ストラクチャー」の略語だが、この言葉は「下部構造」を意味している。 いうまでもなく道路や鉄道、河川や上下水道、パイプライン等、土木で整備されるいわゆる「土木施設」はすべて、私たちの社会や国家を支える下部構造であり「インフラ」だ。 ただし我々の社会を下側から支えているのは、こうした「人工的な施設」─しばしばそうした施設は「土木施設」とも言われる─だけではない。むしろ、我々を圧倒的に支えているのは、「地面」であり「大地」だ。 つまり私たちは、「人工的施設(土木施設)と大地」で支えられているわけであり、この両者の統一態こそが私たちの下部構造=インフラ・ストラクチャーなのである。 一方でそうした「人工的施設と大地」の統一態はしばしば「都市」と呼ばれたり「地域」と言われたりもするが、それらを総称したものこそ「国土」だ。 つまり、インフラとは「国土」のことなのである。そして、ちょうど私たちの体躯全体(=カラダ)の中に目や指や肘等の各部位が埋め込まれているように、国家の体躯としての「国土」に、橋や道路などのさまざまな土木施設が埋め込まれているのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。





おすすめ記事