一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる(11)

近藤さんメッセージ

マネージャーの近藤さんが藤田麻衣子さんに送っていたメッセージ

『運命の人』

 2020年6月2日発売、藤田麻衣子著『一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる――願いが叶っていく58の気づき』(育鵬社)は、「オーケストラとともに歌を歌いたい」という夢を描き、20歳で上京した一人の女性シンガーソングライターが、夢を追い、叶えていく軌跡(奇跡)を綴ったエッセイである。  前回の「一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる(10)」では、本書を題材に「自分の夢を叶えるためには、どうすればいいのか」ということに焦点を当てて、第三のキーワードとして「ご縁」を挙げた。  「あの日あの時、あの人と会っていなかったら、今日の私はなかった」というような出会いが、誰にもあるに違いない。しかし、出会うだけでは、その人との「ご縁」を十分に活かしたことにはならない。出会った後も、その人との関係を維持し、発展させていくことによって、「ご縁」は活かされるのだと。  そうした人との「ご縁」が成就するには、「出会い」を取り持つキューピッドのような人の活躍もある。  藤田さんは、歯科医院に勤めながら、ボイストレーニングスクールにも通い、ライブ活動をしていた頃、ボイストレーニングスクールの友人を介して男性のベーシストと知り合う。  藤田さんの才能を認めたベーシストは、インターネットに藤田さんの歌をUPしてくれたり(そのおかげで藤田さんの曲を知った人は少なくないだろう)、当時、東京芸術大学に通っていた山本清香さんと引き合わせてくれたり(ピアニストの山本さんを起点に、ヴァイオリニストの沖増菜摘さん、チェリストの島津由美さんと出会ったことは前回の記事に述べた通り)と、まさに、キューピッドさながらの活躍をしてくれたのである。  「歌手になったほうがいいよ。なれるよ」と言って、藤田さんに幸運を引き寄せてくれたベーシストの方は、その後はどうされているのか。「感謝してもしきれない人」という項目で、本書に記されている。  そして……  地道に音楽活動をしていた藤田さんのもとに、チャンスが訪れる。  藤田さんの「歌手デビュー」を考えているという音楽関係者が現れたのだ。    その採否のかかったライブで、藤田さんは『横顔~わたしの知らない桜~』をピアノ弾き語りで披露した。藤田さんらしさの詰まった失恋のバラードだ。だが、その後に歌ったバンド編成での歌やMCを快く思ってもらえず、「君とは一緒にできない」と言われてしまう。目の前にあった「歌手デビュー」の夢がついえてしまったのだ。    悲嘆に沈む藤田さんのもとに一通のメールが届く。  「この前のライブすごくよかったです」  「失敗した」ライブに足を運んでくれていた、別の音楽関係者からだった。    傷心しきっていた藤田さんは、あまり期待もせず、メールの送り主と会うことにし、その音楽事務所を訪ねた。  藤田さんは、「この前のライブで、うまくいきそうだった話がなくなったんです。私のライブひどかったですよね?」と言った。すると、「1曲目の『横顔』、その弾き語りが素晴らしかった。あれを聴いて、一緒にやりたいと思ったんだよ」と。  この人こそ、「捨てる神あれば拾う神あり」という項目で登場する、マネージャーの近藤さんだ。藤田さんにとっては、まさに「運命の人」である。  藤田さんと近藤さんの、「共闘」(二人三脚)の様子は、その後の項目にも書かれているので、詳しくはぜひ本書を読んでもらいたい。  近藤さんが、藤田さんのマネージャーを辞めることになったときに、「麻衣子がつらくなった、これを渡してあげてほしい」と、ヴァイオリニストの沖増さんに託していたメッセージがあった(その後、藤田さんがいつも楽しそうにしていたので、渡せないまま7年が過ぎていたという)。  それは「思ったとおりにやりなさい」という言葉だった。  誰よりも藤田さんを知る人だからこそ、残せた言葉ではなかったかと思う。  先が見えなくなったり、判断に迷ったりしたときに、この「思ったとおりにやりなさい」という言葉が、藤田さんを支えてくれるに違いないと思う。 (文:育鵬社編集部O)
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