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俺の夜

仮面パワーで人見知りも解消。西麻布に誕生した出会いの新名所

 地方出身者の吹き溜まりである東京都下において「東京生まれ」という肩書は学生時代からいらぬ誤解を生んできた。すなわち、クラブ、パーティ、ファッションに精通している“洗練されたシティボーイ”というイメージだ。

 プロレス誌を愛読し、ラジオ投稿と徹マンが趣味だったスギナミ青年にとって、その手の烙印を押されることは逆差別もいいところ。渋々連れていかれた青山界隈のクラブでは若いノリについていけず、「えっ? 東京出身なのに……」と地方出身の同級生に落胆されては「なんでやねん!」と心の中でツッコミを入れていたものだ。

 そんな青春時代のトラウマをこじらせた結果、すっかり麻布・青山といった“東京の中心地”から足が遠のいて久しい。そうした経緯もあって、「悪そうなヤツはだいたい友達」な東京出身の編集者・ハマー(37歳)に「西麻布に面白いスポットが誕生しました」と声を掛けられたときは心底面倒くさいと感じたものだ。が、「大丈夫。クラブ嫌いのスギナミでも楽しめますよ」とのことで、週末夜の西麻布へと向かうのであった。

心理の壁を取り払う仮面マジック

 導かれるままに辿り着いたのは、西麻布の交差点からほど近い場所にある「Zorro」というお店。大音量のダンスミュージックと暗く落とされた照明の下、カクテルグラスを持った男女が和気あいあいと立ち話に興じている。淡々と受け付けをすませるハマーに対して「クラブじゃねーか! この“練マザファッカー”野郎」と憤りたくなるところをグッとこらえていると、仮面を手渡された。

「このお店のコンセプトは男女が仮面をつけたままコミュニケーションを取るところです。変に外見で人を判断することもないし、生身の出会いが期待できますよ」

 モノは試しと仮面を装着。ちょっと鼻のあたりがむず痒く感じるが、慣れれば違和感はない。

「おっ! 右奥にスギナミ好みの淑女2人組を発見しました。一番機はお任せします、分隊長!」

 そう敬礼のポーズを取るハマーに背中を押され「会社帰りに寄りました~」というOL2人組とご対面。いつもは「素人は苦手なんだよ~」とATフィールド(エヴァ用語:心の壁)全開になるところだが、スムーズに会話が進む。

「これが……仮面の力か!」

 24時に客が一斉に仮面を外すまで、延々と続く仮面舞踏会。「出会いのチャンスはみんな平等にある」がモットーの同店では、ぽっちゃりナイト・バツイチナイト・既婚者ナイトなど、日替わりでテーマを設けている。西麻布嫌いのスギナミが何度でも行きたくなる出会いの新名所といえるだろう。

Zorro

【Zorro】
港区西麻布2-12-5 ミスティ西麻布
電:03-5464-7122
料金システムは入場時に1万円(男性)で店内で使用可能(ドリンク、個室料金等)なクーポンと交換。余ったクーポンは預け入れ可能
http://www.zorro-tokyo.com

撮影/石川真魚 協力/ハマー(本誌)