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俺の夜

現代に蘇ったスケバンたちに“合法的な”カツアゲをされる夜

 近年は『東京卍リベンジャーズ』や『今日から俺は!!』のヒットもあり、ヤンキー文化が若者の間で注目されているらしい。そんななか昨年6月、東京の浅草に“スケバン”をコンセプトにしたお店が誕生していた。アラフォーのスパムですらスケバンは見たことない存在だが、どんな店なのか。スケバン女子に合法的なカツアゲをくらうべく、向かってみた。

俺の夜

めい(左)と、ゆきこ(右)

“タメ語”が基本ルール。スケバンの世界に浸る

 ストリップ劇場「浅草ロック座」からほど近い場所にあるのがスケ番カフェ「FLOW」だ。店内には壁一面に「愛羅武勇」「喧嘩上等 女番長」などの落書きがびっしり。ヤンキードラマのセットに足を踏み入れたようである。

俺の夜

ヤンキー座りを決める2人。「呼び込みをしてると本当に悪そうな人に話しかけられる(笑)」(ゆきこ)

 着座すれば、カウンターのテーブルとイスがやたらと低い。「うんこ座りして飲める高さにしている」(店長)という。すると、ロングのセーラー服で気合の入った、ゆきこ&めいコンビがご登場。

「乾杯するよ! 何がいい?」

 同店では客に対しても呼び捨て&タメ語が接客ルール。キャストだとわかっていても「あ、生ビールをお願いします……」と、こちらがむしろ敬語になってしまう。

「じゃあ、今夜は夜露死苦!」という掛け声とともに乾杯!

俺の夜 みごとなスケバンルックな2人だが、実際には平成生まれ。「どうやったら立派なスケバンになれるのか」と自問自答しているとか。

ゆきこ「50代のお客さんが教えてくれるんだよね。ツッパッリ時代の写真を持ってきて熱心に解説してくれたり」

めい「ウチの母親がその世代で、当時の写真を見せてもらったら、刺繍入りのセーラー服を着て聖子ちゃんカットでバリバリのスケバンだった」

たまり場にダチがたむろして遊んでる雰囲気で楽しんで

 店内カラオケの履歴を見ると、中森明菜や横浜銀蝿、嶋大輔など頷けるラインナップ。お酒をちびちび飲んでいると、「男だったらグッと飲みな!」と、煽られるスパム。高校生時代に地元・茨城で工業高校の生徒にカツアゲされて以来のプレッシャーを感じた。

 カードゲームも多数あり、「花札で盛り上がることが多い」という渋さ。ルールを知らないスパムでも、さっきまで厳しかったスケバンが手取り足取り優しく教えてくれた。

俺の夜ゆきこ「ウチの店は、たまり場にダチがたむろして遊んでる雰囲気で楽しんでほしいね」

俺の夜 ゲームで負ければ罰があるが、ここではスケバンにケツを竹刀で叩かれるのが人気なんだとか。実際にスパーン! とシバかれてみると、背筋が伸びて気合が入る。

俺の夜

花札などのカードゲームで盛り上がった後には敗者の罰ゲームとしてケツを竹刀でシバかれるのが人気(希望者のみ)。スケバンとのチェキ撮影も可能(1000円)だ

ゆきこ「酔うと昔の武勇伝を語るお客は多いね。私も聞かれるけど、『あるわけねーだろ!』って返す(笑)」

 まさに本物のスケバンと錯覚するほどの再現度。「また来いよ」と言われれば、素直に応じてしまうスパムでした。

俺の夜【スケ番カフェ FLOW】
住:東京都台東区浅草1-12-8大山ビル4F
営:20時~ラスト
休:月曜
電:03-5830-7500
料:チャージ2000円/40分(飲み放題、自動延長制)
出勤情報やシステムの詳細はお店のツイッター(@asakusa_sukeban)をチェック!

笑福亭鶴光も絶賛した平成生まれの女将が目指す令和スタイル小料理屋

 後輩は入ってきたものの、それ以上に“後輩感”が漂っているせいか、まだまだ下っ端扱いされるルイスっす。とにかくやることも覚えることもまだまだ多いけれど、戦士にも束の間の休息は必要だ。しっぽりと酒を嗜みながら、なんなら美人もその場にいたら最高なんだよな~と、よこしまな考えをしていたところ、それを見事に満たしてくれる場所に思いが至った。ここはいっちょ行ってみるか。

俺の夜高円寺の住宅街にひっそりと佇む大人のオアシス

「いらっしゃいませ」。雅な着物姿と優しい笑顔で迎えてくれたのが、高円寺「おさけと小料理 non」の国本美咲さんだ。カウンター7席という小さな店を、一人で切り盛りしている。華美すぎない装飾、ずらりと並ぶ日本酒の瓶、そしてふと目に入る「本日のおすすめ」が書かれた手書き文字の黒板。うん、独り身にも居心地がよさそうだ。

俺の夜

国本さんのおすすめ手料理が並ぶ黒板のメニュー。定番の肉じゃがやアボカドと鯛のぬた和えが人気

「住宅街という場所柄、一人で来る方が多いので、どの料理も量を少なめにしています。10月からはおでんも始めていますよ」

俺の夜 20代のうちに飲食店で独立するという目標を持っていた国本さんは、チェーン展開する和食店で店長経験を経たのち、3年前に26歳の若さでこの場所に店を構えた。

俺の夜

注文後、慣れた手つきで鯛を捌き始める国本さん。日本酒にはこだわりがあり、自ら酒屋に出向いてセレクトしている。常時20種類以上を取り揃えている

「高円寺には縁もゆかりもなく不安でしたけど、皆さん“ほどよい距離感”で接してくださって、一人でも営業しやすい街ですね」

 最近では、女性客、遠方からの客も多いという「non」。まあ、この柔らかい雰囲気には老若男女惹きつけられちゃうよなあ……。

おじさまから愛される女将の次の目標とは?

俺の夜「いえいえ、そんな。『番組見て来ました』っていう方が今年に入って増えてきて」

 実はここ、千鳥がMCを務める人気番組『相席食堂』でも取り上げられたお店。笑福亭鶴光からの“大(おお)セクハラ”を、華麗にかわしていた姿がずっと印象に残っていたのだった。

「私自身おじさま方からのちょっかいを楽しんでかわせるほうなので、鶴光さんの来店は嬉しかったですね! あの番組出演はいろんな意味で人生の転機になりました。噂を聞きつけてより多くのお客さまが来店してくださりましたし、そのなかから今の夫も見つかりまして(照)」

俺の夜

天気の良い日には、のびのびとしたテラス席も開放される

 そんなドラマのような出来事が実際にあるのか……。国本さんと「non」の豪運には自分もあやかりたいところだ。今後のお店の展開についても国本さんは意気込む。

「都道府県ごとに『non』のフランチャイズ店を出すのが夢です。各地を巡り、千葉の女将、埼玉の女将とその土地土地で特色が出せたら面白くないですかね?(笑)」

 まさに“令和スタイル小料理屋”とでも言うべきチェーン展開も視野に入れている彼女。これからの活躍にも注目だ。

俺の夜【おさけと小料理 non】
住:東京都杉並区高円寺南3-16-21
営:平日/16:00~22:00 土/14:00~22:00
日祝/14:00~21:00
休:火
電:03-5929-9948
料:瓶ビール700円、肉じゃが500円など
詳細はInstagram(@_non_sake_)まで

撮影/長谷英史

“山谷”で楽しむレトロな映画喫茶と最新絶品スパイス料理

“山谷”と呼ばれた地域をご存じだろうか。東京都は台東区、吉原遊廓からほど近くの簡易宿泊所が立ち並ぶ労働者の街である。浅草などの観光地も近く、今では安宿を求めるバックパッカーが集まる街として盛り上がりを見せる。一方で、住民の高齢化が進み、昼間からワンカップと新聞を携えて地べたに座り込む高齢男性の姿も多い。

 今回は、そんな山谷の変化を見守る店に足を運んだ。

俺の夜山谷に住む人もそうでない人も大歓迎

 南千住駅から徒歩10分。昭和映画喫茶「泪橋ホール」は、元写真家の多田裕美子さんが’19年に始めた店だ。

俺の夜

福島県の本宮映画劇場から借りた古い映画ののぼり

「浅草で生まれ育って、両親も山谷で食堂を営んでいたからこの土地には思い入れが深くて。過去には山谷の男たちを撮影した書籍を制作したこともあるのよ」

 お客さんは地元のシニア層の常連が多いというが、明るく振る舞う多田さんに元気づけられる人も多いのだろう。

俺の夜「人が集える場所をつくりたかったんです。山谷に住む人もそうでない人も大歓迎。映画という娯楽を楽しみながら自然に交流できる場にしたい」

俺の夜

餃子(300円)とチリコンカン(450円)。餃子の皮は有名製麺所「浅草開化楼」から仕入れるこだわり

 名物のウイスキーのチャイ割りを楽しんでいると、大金の在りかを巡る戦前のコメディ、『百萬両の壺』という時代劇の上映が始まる。店内のレトロな雰囲気も相まって、タイムスリップしたような気持ちになった。

俺の夜

『百萬両の壺』のワンシーン。貴重な白黒映画は一見の価値あり

【泪橋ホール】
住:東京都台東区日本堤2-28-10
営:金曜~火曜14:00~22:00
休:水・木
電:03-6320-4510
料:ビール600円、チャイウィー600円、餃子定食650円
土日はイベントを開催することも。メニューは日替わりで旬のお惣菜が頂ける

なぜだかどこか懐かしい未知の料理が目白押し

 続いて向かったのは、スパイスを使った創作料理が大人気の「山谷酒場」。店主の酒井秀之さんが、奥さんと2人で’18年にオープンした店だ。

俺の夜

未経験のスパイス料理に出合えること間違いなし

「古い街並みが多い東京の東側に昔から憧れがあり、西調布の喫茶店を畳んでここに店を開きました」

 店内の壁には冷や奴や焼きそばといったなじみ深いメニューとともに、見たことも聞いたこともない料理名が並ぶ。いざ注文してみると、人参が丸ごと一本使われていたり、バナナにベーコンと緑のソースが添えられていたりと、強烈なビジュアルの料理が。一口食べてみると、初体験の何とも言えないおいしさに驚愕。ここでしか味わえない山谷酒というスパイスが効いたオリジナルドリンクも絶品だ。

俺の夜

右上からベルプリ(650円)、まるごと人参のスモーク(600円)、バナナステーキ(750円)。スパイスは直前にホールをミルで挽いている

「お客さんは若い女性がほとんどで、遠方から来店される方も多いんです。でも、いわゆる“映え”は気にしてなくて、自分たちが好きで食べたい料理を作っています。世界中の本から学んで、これからも新しい料理に挑戦していきたいですね」

俺の夜 下町風情が残る山谷だが、吉野通りの先にはスカイツリーが望め、再開発の足音を感じる。その変化の波に乗る者と逆らう者が共存している山谷には、なぜか「ほっとけない」と思わせる不思議な魅力がある。この街の未来の姿に思いを馳せながら、山谷酒場を後にした。

俺の夜【山谷酒場】
住:東京都台東区日本堤1-10-6
営:水~金17:00~23:00 土・日16:00~23:00
休:月・火
電:03-5808-9245
料:山谷酒550円、ビール大瓶800円、チューハイ500円
詳細はTwitterもしくはInstagram(@sanya_sakaba)まで

撮影/鈴木大喜

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