俺の夜
編集経験はまだ2年目。か細いコネクションの中で仕事を進めていくためには、取材で出会った人との関係は途切れさせてはいけない……。なんて、若手らしくしおらしい態度に打って出てみたけれど、取材先で若い女のコと知り合えたら、末永く関係性を維持しておきたいのが男の本音。それが、現役アイドルであればなおのこと。グラビア取材でお世話になったあのコと遊んでやるぜ!
向かった先は、新宿・歌舞伎町の学園系ガールズバー「tiGGER(ティガー)」。こちらにキャストで入っているのが、「ミスSPA!2021」で初代グランプリに輝いた山田愛穂ちゃん。ここからは普段通りに山ちゃんと呼ばせてもらうが、山ちゃんとは昨年秋の沖縄でのグランプリ記念のグラビア撮影でご一緒させてもらってからの間柄。「歌って踊れる呑兵衛アイドル」を看板に打ち出すほどの酒好き。プライベートでも山ちゃんと飲みたくて、バイト先の「tiGGER」に通っているという次第だ。
酒豪とアイドル真逆の要素が融合
今回は手土産として、山ちゃんイチ押しの日本酒ブランド「農口尚彦研究所(石川県)」から美山錦を持参した。
「うれしー! やった!」と上機嫌の山ちゃん。取材にかこつけて、このまま乾杯の流れに。コップを口元に触れ合わせてから、静かに顔を天井へと傾けながら酒を流し込む姿が上品。「フルーティーで飲みやすいけれど、甘ったるくなくてすっと入る感じなんですよね。おつまみは、チーズが合うんですよ」
秀逸な酒レポはどうやって磨かれたんだろう。「学生時代に居酒屋でアルバイトをしていて、お客さんにお出しするお酒のことをよくわかっていないといけないから、日本酒を勉強しました。家には、お酒専用の冷蔵庫も買っちゃいました。わたし、あまり酔っぱらうことがないんですよ」
貧乳おっと自称“品乳”の胸を張る山ちゃん。“品乳”に興味がある読者は、デジタル写真集が3月に発売されているから、ぜってぇ見てくれよな!山ちゃんは、2018年にアイドルグループ「うたた寝シエスタ」のメンバーとしてデビューを果たし、呑兵衛アイドルという未開の領域を突き進む。「tiGGER」には昨年11月から在籍している。ファンにとっては、アイドルと酒を酌み交わせる絶好の場だ。「ファンの方も来られますが、もう推しというより飲み友みたいな関係です(笑)」
酒好きアイドルとして芸能界の頂点を目指す
アイドル業のほうは、コロナ禍でイベント関連は大打撃だが、それでも山ちゃんは前を向く。
「ネット配信を頑張っています。そういうファンのみなさんの応援のおかげで、ミスSPA!のグランプリになれたのかも。あと、渋谷の駅前で毎日フライヤーを500枚配ったりもしました」
グランプリ獲得後は、インスタグラムのフォロワー数が2000人ほどから1万人にまで増えたとか。パーソナルジムのPR関連の仕事も舞い込んできて上げ潮に乗っている。それでも夢は大きく。「和田アキ子さんを超える酒豪タレントになりたいですね。酒=山田愛穂と認知されるぐらいに」と鼻息荒く語る。そんな山ちゃんのもう一つの夢は、スナックのママ。
「高円寺とか中野あたりで、アイドルや役者の卵たちと一緒にできたらなって。私もずっとプレイヤーでいたいし、大好きなお酒の魅力を伝えたい。いま、日本酒の酒蔵がどんどんなくなっているんですよ。それって大問題で……」
夜が更けていくにつれ、“品乳”というか胸は弾む一方だったのであった。
【tiGGER】
住:東京都新宿区歌舞伎町1丁目4-11 麗元ビル2階
料:1セット(60分)男性4000円、女性3000円、キャストドリンク1500円(別途消費税・サービス料計20%)
営:12:00~
キャストの出勤日などの最新情報はTwitter(@tigger_kabuki)でチェック
撮影/後藤 巧
先日、久々にハシゴ酒を楽しもうと飲み屋街に出かけたところ、めっきりお酒に弱くなり2軒目で爆睡していたスパムです。新型コロナの影響で飲み屋街に並ぶお店も様変わりしている。特に演出を凝らしたステージショーでお客を魅了していた大型のショークラブが苦境に立たされ、撤退する店も少なくないらしい。
しかし、そんな逆境でも中野の飲み屋街にショーラウンジがオープンしたとの情報を入手。ハシゴ酒のリベンジも兼ねて、早速現場に行ってみた。
中野という街らしからぬ“ガチ”のショータイム
今回訪れたのは、JR中野駅北口から徒歩5分ほどにあるショーラウンジ「雅王-GAOO-」だ。ライオンの顔のオブジェが目印のこちらのお店。ドアを開けると、小規模の店内だが、ミラーボールや照明機材、ステージには花道までついている。
そこへ「いらっしゃいませ」と、ド派手なヒョウ柄の服で登場したのは、MARIEママ。中野の飲み屋街は角打ちからスナックまで多様な業態が集まるエリアだが、実はショーラウンジはここが唯一の店だとか。MARIE「以前は一軒だけショーラウンジがあったんですが、コロナ禍でつぶれてしまって。私自身、中野で飲んでいて、すごく活気のある街だと感じたし、中野ののんべえはエンターテインメントを求めてるんじゃないかなって」
焼酎のお茶割りを飲みながら、耳を傾けるスパム。ステージショーの内容も、中野という街に合うように構成しているという。
MARIE「がっつりショーを見るというより、お酒を飲みながらサクッと見たい方が多くて。だからショー以外の時間は、ダンサーも席についてお客さんと一緒に飲んで、ショータイムが近づいたらステージに向かうんですよ」まさに中野らしい気どらない空間。演目はポールダンスとショーに分かれて20分ほど。ショータイムが近づくと、団体客でテーブル席が埋まってきた。
ガチのダンサーたちが酔客をさらに酔わせる!
そしてステージの幕が開くと、まずポールダンスからスタート! ランジェリー姿のポールダンサーが繰り出すポールトリックの迫力に一気に引き込まれる。続くステージショーでは、華やかな衣装に着替えたダンサー5人が登場した。もちろん踊りのレベルや豪華絢爛な衣装も圧巻だが、音響や照明による演出まで、ショーに関わるすべてのクオリティが高い。


MARIE「中野はハシゴ酒をしている最中にお客さん同士が意気投合することも多いから、『最初は2人で飲んでいたけど、たまたま横で飲んでた人たちと仲良くなって一緒に来たよ』と、団体さんで来る方もいますね。RPGゲームみたいに、どんどん仲間が増えていくみたいで(笑)」
まるでハシゴ酒の終着点のような店である。店を出れば、赤提灯が並ぶ街並みがまばゆいばかり。久しぶりにコロナ前の気分に浸ったスパムでした。
【雅王-GAOO-】
住:東京都中野区中野5-50-9 1F
営:19時~翌1時
休:木曜
電:03-5942-7739
料:チャージ料5000円/時間無制限(1ドリンク付き)
ショータイムは、20時~/22時半~。
出演ダンサーの確認は、インスタグラム(@gaoonakano)まで
撮影/菊竹 規
中高年の拠りどころというイメージがある「スナック」。その文化を名門大学の新卒カードを捨て、新しいかたちで継承しようと模索する若者がいる。この春に一橋大学を卒業し、国立市で「スナック水中」を4月19日に開店する坂根千里さん(24歳)だ。
もともとはバリキャリ志向で「都心のいい会社に就職し、自立した女性になりたい」と考えていた。学生団体を立ち上げ、海外インターンシップに参加するなど活発な大学生活を送っていたが、一体なぜ、コロナ苦境の真っただ中にある“夜の道”を選んだのか。
衰退していく文化を新時代に紡ぎたい
坂根さんは大学2年生のとき、知人と訪れたスナックでカルチャーショックを受けたという。「隣のおじさまが『なんか歌いなよ!』と絡んできたり、急に会話に割り込んできたり、『なんだここは!?』というのが正直な印象でした(笑)。でも、普段の同世代との接し方とは全く違う距離感なのが新鮮で楽しくて……」
ニコニコしていると、ママから「働きなよ」と誘われた。それが、
「スナック水中」の前身である「すなっく・せつこ」との出合いだった。そして、すぐにチーママとしてアルバイトを始めたが、コロナ禍などの影響で閉店することになったのだとか。そこで、20年以上店を切り盛りしてきたママから後継者として口説かれたのだ。とはいえ、葛藤もあった。
「友人からは肯定的な声もありましたが、実際は『そんなに甘くない』『意味不明』という意見も少なくなかったんですよね」大企業に就職することより選んだのは「居場所づくり」
坂根さんには休学期間があり、先に就職した同期たちは大企業で活躍。それを横目に1年近く悩んだという。仮に店を継いでも生活できるだけの売り上げを出せる保証はない。就職活動と並行しながら、坂根さんは経営についてゼロから勉強を開始した。地元商工会などの支援を受けつつ、創業計画書を作成するうち、徐々に覚悟が決まっていったと話す。
「スナック文化はコロナ禍や高齢化で衰退していますが、逆にそこに大きな可能性があると感じています。人件費や家賃などの固定費を抑えられ、利率も高いスナックは、全国に10万軒以上あるといわれています。そんなスナックの次世代に向けた新しいあり方を模索することは、非常にやりがいがあることだし、これから挑戦するだけの価値があるとも思いました」坂根さんは、地域から愛されながら、“おとなの社交場”としても機能するスナックの魅力を若者たちに伝えるべく、開業に向けてクラウドファンディングを実施。約400万円の資金を調達し、老朽化した店舗を改装した。
たいていのスナックは、外から店内の様子が見えず、知り合いのツテがなければ“一見さんは入りにくい”というイメージがあるかもしれない。そこで坂根さんは、ガラス窓にして覗き見できるようにしたという。逆風下だからこそ挑戦する価値がある
店づくりのテーマに掲げたのは“スナックの若返り”だ。先代から引き継いだ60~70代の常連客はもちろん、新規のミドル世代から若者や女性でも訪れやすい仕組みを考えている。野菜中心の料理やノンアルコール飲料も充実させ、SNSでの情報発信にも注力していくつもりだ。坂根さんが言う。
「語弊があるかもしれませんが、スナックはいろんな人の“しょうもなさ”を垣間見られる、人間味が溢れる場所。混沌とした魅力を残しながら、今の時代に相応しい居場所になれたら嬉しいですね」
古くより働く人たちのオアシスとして愛されてきたスナック。現代社会では性別や年齢を問わず、テレワークの普及など働き方までも多様化が進んでいる。そんななかで、誰もが家に帰るような感覚で立ち寄ってもらいたい――。
さて、スナックに足を運ぶ理由としては、“ママの人柄”も大きいだろう。19日にグランドオープンを迎えたら、今度は取材とは関係なく、坂根さんとカラオケでデュエットでもしたいと思う。
【スナック水中】
住:東京都国立市富士見台1-17-12 エスアンドエスビル1F
営:19:00~24:00
休:日・月
電:042-505-7307
料:チャージ1000円(お通し込み)、国立のクラフトビール800円~、モヒート700円ほか、カラオケ1曲200円
※営業時間や定休日が変更になる可能性があります。
最新情報は店舗にお問い合わせください
撮影/長谷英史
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