俺の夜
すっかりコロナ流行前の賑わいを取り戻した週末の渋谷。飲食店が並ぶエリアを歩けば、“24時間営業”で知られる焼き鳥屋「山家」には入店待ちの行列が。酔客の聖地が元通りになった姿を見て、アフターコロナの足音を感じたスパムです。
さて、その山家のすぐ近くに、渋谷の隠れ名所になりそうな店がオープンした。その名もネオンバー「メゾン・スウィート・ドリームス」。“甘い夢”との名前の通り、美女たちが魅惑のランジェリー風衣装で接客してくれるという。
しかも、同店で働く女性たちの多くは、事務所に所属せずに活動をするフリータレントたち。6月はプレオープン期間で、まさにできたばかりの注目店をリポートしよう。
店の奥に鎮座する光輝くジャグジー
ネオンバーとうたっているだけあり、20席ほどのカウンターが並ぶ店内はなんとも色彩豊かだ。ピンクやグリーンのネオンライトが点滅し、照らされた女性の肌が妖しく輝く幻想空間である。
「衣装は全部、自前です。全部で50着くらいあって、家でもずっとランジェリーでいるくらい好きなんですよ」そう話すのは、キャストの飴ちゃんだ。同店で働きつつ、グラビア写真のSNS投稿やライブ配信を中心に活動しているという彼女。「今日はカッコイイ系で攻めました」という黒いボンデージ風衣装がバッチリ決まっている。
一方、「少し前まで芸能事務所に所属していたけど、活動の幅を広げたくてフリーになりました」と話すのは、黒いランジェリー姿の愛梨さん。「夜のお店で働くのは初めてで……」という初々しさを見せつつも、カウンター越しのJカップが破壊力抜群だ。
山崎ロックを傾けながら、磨き上げた美ボディを堪能!
そんなセクシー美女たちと乾杯しつつ、イヤでも気になるのが店の奥のジャグジーだ。
「完全にオーナーの趣味(笑)。300万円かけたみたいです」
ジャグジーの前は高級チェアが並ぶVIP席。「普段の忙しさを忘れて、王様気分を味わってください」(オーナー)との言葉通り、美女に囲まれてシャンパンを傾ければ天にも昇る心地である。
さて、読者諸兄が気になるのは、なぜタレントばかり働いているのかだろう。実は同店のオーナーが電子出版などグラビア事業も営んでおり、「グラビア活動をしながらお店でも収入を得られるようにしている」(同)という。 そんなタレントたちにセルフプロデュース術を教えているのが、グラビア歴12年の相原美咲さん。白いランジェリーを着ながら山崎ロックを傾ける姿がなんとも魅力的だ。
「今後はお店で撮影会イベントもする予定なんです。ジャグジーを使ったグラビア写真、撮ってみたくないですか?」
甘い夢の続きを見に来ようと誓うスパムでした。
【MAISON SWEET DREAMS】
住:東京都渋谷区道玄坂1-5-9 ザ・レンガビル4F
営:19時~ラスト(プレオープン期間は金・土曜のみ)
電:080-5879-3913
料:3500円/50分(VIPルーム1万円~)
詳細はツイッター(@SWEETDREAMS_TKO)まで
撮影/菊竹 規
ステージ上で光り輝くアイドルたち。ひたむきな姿が多くの観客を感動させる。だが、現役として活動できる期間には限りがある。人生は長い。彼女たちは引退後、どのような道を歩むのか。今回は、歌舞伎町で自分の店をオープンさせた2人の元アイドルを紹介しよう。
自分やお客さんに“居場所がある”のは素敵
現在、ダーツバー「SEKAIDE1BAR」で店長を務めているのは越智りんかさん。アイドルグループ「イケてるハーツ」の1期生である。活動期間は「1953日でした」と即答するほど走り抜けたが、次第に将来の夢が芽生えていったと話す。「母親が地元で小料理屋を営んでいて。自分にとってもお客さんにとっても“居場所がある”のは素敵だなって」
アイドル活動中に食品衛生責任者の資格を取得し、引退後すぐに店を開いたが、その直後にコロナ禍が訪れた。「当然、営業できなくて悔しい日もありました。でも、ファンのみんなが送り出してくれたし、イケてるハーツの現役メンバーたちが頑張っているので。私も成長した姿を見せたいと思ったんです」
店名の由来はアイドル時代のキャッチコピー「世界で一番」、壁の色は担当カラーだったビタミンイエロー。眺めるたびに勇気が湧いてくる。「最初に大変な時期を経験したから、ここからは楽しみしかない。店ではダーツを通して、アイドル時代のファンもそうではないお客さんも仲良くなっている。みんなに“新宿に来たらセカイに行こう”と思ってもらえるように仲間たちと盛り上げていきたい」
【SEKAIDE1BAR】
住:東京都新宿区歌舞伎町1-10-12 豊ビルB1
営:20時~翌5時
休:月
電:03-6233-9933
料:チャージ550円、ドリンク880円~、ダーツ1ゲーム100円、カラオケ歌い放題
※詳細はTwitter(@sekai_21)をチェック!
アイドル引退でつながるバトンも
2人目は、アイドルグループ「NiANiHiL」のメンバーだった大下奈央さん。現役の大学生でもあるが、“恋愛シミュレーションゲーム”をテーマにしたコンセプトカフェ「駆け抜けて青春」のオーナーになったのだ。
「大学を留年してしまって。出遅れているなかで爪痕を残そうと思って昨年、800万円の借金をして店を開きました。そしたら学校に行かなくなって再び留年。今、3度目の2年生です(笑)」それでも本人は「なんとかなる」と前向き。キャストには今後アイドルとして活動していくコが多いという。
「私はあんまりうまくいかなかったけど、だからこそ“これはしないほうがいい”というアドバイスはできる。反面教師ですけどね」
えーりんさんは店で働き始めたことが人生の転機に。「自分のことが好きになれたのでアイドルになろうと決意しました。年齢的にも限界がある職業だと思うので、今やりたいことをやろうって」
終わりがあれば、始まりがある。歌舞伎町のネオンが彼女たちの新しいステージを煌々と照らし続けていた。 【駆け抜けて青春】住:東京都新宿区歌舞伎町2-28-2 東松ビル4F
営:18~23時
電:03-6205-5780
料:1時間3000円、3時間7000円(飲み放題)、テキーラ100円、クライナー300円
※詳細はTwitter(@kakenukete_offi)をチェック!
撮影/長谷英史
GWが明けてしばらくたつというのに身が入らない。そんな五月病の最中に、当連載の新メンバーとして加入したブルボンです。由来はおばあちゃん並みにブルボンの袋菓子を買い貯めているから。
秋葉原でコンカフェブームが過熱する裏で、しっぽり飲みたいサブカル好きが集まり、盛り上がりを見せているのが湯島エリアだ。そのなかで、ブルボンが気になったのは、“昭和時代に夢見ていた未来の世界”をコンセプトにしているというお店。憂鬱な気分を晴らすために現地へ向かった。
湯島の雑居ビルの地下にあるのが、バー「昭和99年」。カウンター8席のこぢんまりした店内には、レコードやフィギュアなど、昭和レトロを感じる小道具が並ぶ。そしてカウンターの中には、SFマンガのような近未来を感じさせる制服に身を包んだ美人がいた。コンパニオンの什ちゃんだ。
什「生まれは平成だけど、両親の影響で昭和の漫画やアニメに触れる機会が多くてハマったんです」共通の話題があれば、年齢に関係なく盛り上がれるのは嬉しい限り。こちらでは、お客がボトルを1本持ち込むと入場料がタダになる。しかも、他の人が持ち込んだボトルでも1杯600円で飲めるとか。
什「あとは、お会計が1万円以上にならない“1万円打ち止めシステム”。オーナー曰く、『これが未来のお会計システム』だとか(笑)」それが未来かは置いといて、お会計を把握できるのはありがたい。さらに同店の調理担当・アンザイさんが作る絶品おつまみも人気だ。
アンザイ「おかずにご飯とお味噌汁をつけて定食にもできるので、夕飯だけ食べに来る方も多いです」
この日はベーコンエッグと皿ピザをつまみ、昭和レトロの空間でウイスキーをじっくり嗜む。昭和99年へタイプスリップすること数時間、心とお腹が満たされたブルボンは次の店へと向かった。【昭和99年】
住:東京都台東区上野2-5-3 SNビルB1
営:18~23時
休:火・土曜
電:050-3698-7008
料:入場料1000円。チャージ料1200円/30分(600円分の飲食代を含む)
混雑状況の確認などはツイッター(@s99nen)まで
嗜好品に癒やされたい酒好きが集う天国
〆の甘味を求めて来たのは同じく湯島にあるバー「嗜好品天国」。ここもレトロ感が漂う懐かしい雰囲気。迎えてくれたのは人懐っこい笑顔がかわいらしい店長のひるねちゃん(27歳)。名物のひとつ、クリームソーダ(900円)に舌鼓を打ちつつ、この店を始めた経緯を聞いた。
ひるね「もともと精神的に弱い体質だったうえ、大学卒業後に入った会社がブラック企業で。医者からはうつ病と発達障害の診断を下され退職。そこから2年間、うつと闘いながらニート生活。酒を飲んで紛らわしてたんですけど、何かしないとヤバいという焦りでYouTubeや月イチでバーイベントを主催してみたんです。昔から人を楽しませるのは好きだったから意外にスムーズにできて。YouTubeも収益化できたし、イベントも大盛況でした」
うつ持ちもADHDも関係なく仲良くなれる
昨年5月にイベントで知り合った友人の出資でこの店を出した。
ひるね「最初はコロナの影響でノンアルのみ。そのときの看板メニューがクリームソーダです。今は大好きなウイスキーがメイン。YouTubeやSNSを見て来る人が多いですね。自分の状況を積極的に発信してるので、同じような境遇の人が来る。もちろん、そうじゃない人も。一番嬉しいのはそういった境遇も立場もまったく違うお客さん同士が仲良くなってくれる瞬間ですね」
話を聞く間も初対面の客同士が歓談していた。バーボンウイスキーのようにまろやかな雰囲気のなか、クリームソーダのように客の心が溶け合う……なんて素敵な店なんだ。秋葉原のサブカル感と上野のDEEP感を絶妙な塩梅でMIXしたような雰囲気の湯島。穴場のうちに通い詰めたい。【嗜好品天国】
住:東京都文京区湯島3-43-8 1階
営:18~24時
休:不定休(SNSにて告知)
料:チャージ料1000円(おつまみを含む)、ドリンク600円~
混雑状況などはツイッター(@shikohintengoku)で確認可能
撮影/金子シェリー