俺の夜
eスポーツの高まりもあってか、最近では仕事以外の時間を趣味のゲームに費やすゲーオタ女子も珍しくない。なかには、動体視力が重要なFPS(操作するキャラクターが一人称視点で動くシューティングゲーム)で、男子を圧倒するほどの腕前を持つ女子も。
まだまだ寒さが続くこの季節に、こたつに寝そべりながら、女のコとゲームデート。そして、時にはゲーム内の自分をボコボコに打ち負かされ、「うちよりもゲームできないとかダッサ」と罵られたい……。そんな虚しい妄想を叶えられるお店がないかTwitterで探していたところ、ヒットしたのは「bar自宅警備」だった。
一日10時間プレイのゲーマー猛者と乾杯!
キャバクラやサパークラブなどが立ち並ぶ新宿の区役所通りを上っていくと見えてくるのは、「bar自宅警備」。周りはネオン街だが、店内は落ち着いている印象。棚には、最新のSwitchや懐かしいPS2などが並んでいて、ゲーム機ならなんでも揃っていた地元の先輩の部屋を思い出す。
「私CoDとか一日10時間やっちゃうくらいゲームが好きで(笑)。自分のお店をつくるなら、陰キャでも落ち着くゲーム部屋みたいなBarにしたかったんですよね」そう語るのは、店長&プロデューサーの儚依ゆずさん。Twitterフォロワー数約5万人のインフルエンサーで、彼女のファッションやかわいさに憧れる若い女子も多い。キャストのももさん、みあさんもゆずさんのカリスマ性に強く惹かれ、このお店で働き始めたんだとか。
推しが作ってくれる「オリカク」ゲームの腕前はどうかというと、
「私は7000時間くらい、スプラトゥーンに費やしてて、結構強くなりました。任天堂の公式大会でも何度か呼ばれてプレイしたことありますし、非公式の大会だと何度か優勝したことも(笑)」(みあ)
7000時間というと、約290日をスプラに捧げたわけだ。オタクを超えて、プロゲーマーと言っていいだろう。最近のゲームしか詳しくないかというとそうでもなく、お兄ちゃんが持っていたというファミコンや64の話でも盛り上がる。
「そういえば、ウチではお客さんのリクエストに応えて、オリジナルカクテルを作るっていうメニューもあるんですけど、やってみませんか?」(ゆず)
確かにメニュー表を見てみると、「オリカク」という見慣れないお酒が。せっかくなので、「18歳の初恋」というお題でカクテルを作ってもらうことに。「うーん」と小首をかしげながら、お酒が並ぶ棚を見渡すゆずさん。いちごリキュールとカルピスを手に取り、シェイカーで振り、最後に三ツ矢サイダーを多めに注いだ。 「高校生の頃は、さわやかな、甘酸っぱい恋が理想だったので、それを再現しました!」(ゆず)なるほど、キャストの思い出が垣間見えるオリジナルカクテル。推しのコの性格を知るにはうってつけの注文かもしれない。
ゲームオタク女子の手料理というギャップ
他にもメニュー表には、「日曜日限定手作りご飯 予約受付中♪」との文字が。どうやら、推しのキャストに好きな料理を頼むと、自宅で作ったお手製のお弁当を持ってきてくれるらしい。
「定番の肉じゃがやハンバーグなどを頼まれることが多いですが、なかにはクリームチーズリゾットみたいな難しい料理も(笑)。女子力が試されてるみたいで緊張しちゃいますね」(もも)ゲームオタク女子の手料理というギャップまで楽しめる「bar自宅警備」。はい、正直萌えです。
【bar自宅警備】住:東京都新宿区歌舞伎町2-11-4 Lee3ビル4階
料:60分男性1100円~、女性880円~(1ドリンクオーダー制)、飲み放題60分3300円~
営:16:00~21:00(まん延防止等重点措置期間中)
※キャストの出勤日などの最新情報はTwitter(@bar_zitakukeibi)でチェック
※営業時間や定休日が変更になる可能性があります。
最新情報は店舗にお問い合わせください
前回はアイドルカフェで“推しごと始め”をしたスパム。以来、推し探しにどっぷり浸かっています。近年は芸能事務所を離れ、独立してフリーランスとして活動している芸能人も多い。推し活もYouTubeやSNS中心に変化しているが、推しを見つけたらリアルに会える場所でも楽しみたい。
そんななか、「誰でも気軽に一日店長ができる」というコンセプトで、交流の場として話題の店があるという情報をキャッチ! 早速、向かった。
元秋葉原のトップメイドが立ち上げた斬新なお店!訪れたのは湯島駅から徒歩3分ほどのカフェ&バー「Palette」だ。昨年11月にオープンしたばかりで、白を基調にした店内は20席ほどの広さがある。同店のオーナーを務めるのは、秋葉原の大手メイド喫茶でプレミアムキャストだった、琴乃さんだ。
琴乃「私は就職をきっかけにメイドを卒業したのですが、半年に一度のペースで交流イベントはやっていたんです。同じように個人で場所を借りてイベントを開くコが増えているから、需要もあるしはやるんじゃないかと思って」
現在は、毎週末に一日店長イベントが開催されることが多いそうで、いろんなジャンルの美女たちが店長を務めるという。ライブに代わる新しい交流の場に
琴乃「アイドルやコスプレイヤーに加えて、YouTuberやインフルエンサーも増えてきていますね。あと最近だと、引退した元タレントさんがファンとの交流場所を探しているケースも多いんです。イベントは、1か月で10人以上が開催してますよ」
限定イベントというと、常連ばかりで新参者は入りづらいイメージがあるが、最近ではライブステージなどが減ったことで、“新たな推しを見つける場所”としても盛り上がっているんだとか。琴乃「お店のHPのスケジュールを見れば、一日店長のコの顔写真や活動内容も書いてるので、気になったイベントにフラッと遊びにくるお客さんもいます。ライブよりも近い距離で接することができて、時間によって推しが独り占めできるのがウチの醍醐味ですね」
早めの時間に来れば店長と一対一の空間も期待できるので、ファンにはたまらない時間だろう。席でお酒を飲むだけでなくミニステージやチェキ(有料)も楽しめ、まさに新しいスタイルのファンとの交流の場になっているのだ。
私たち水着グラビアやってみたいんです!さらに、同店で働く女性スタッフたちは、元メイド喫茶のキャストだという。一日店長イベント以外の通常営業日(基本は木曜日)には、彼女たちや琴乃オーナーの接客も楽しめる。「メイドを卒業した後も推し続けてくれる古参のお客さんが多くて嬉しいです」と話すのは、スタッフのあいちゃん。
あい「もともとは一日店長イベントを目的にオープンしましたけど、『オーナーやスタッフも会える日をつくって』という声をいただいたので、需要があるうちは開催していこうと(笑)。それに湯島は隠れ家的なお店が多いので、フラッと入ってきて、そのまま閉店まで過ごすお客さんも結構いるんですよ」
たしかに2人はそれも納得の美貌ぶり。そんな琴乃さんから、最後にSPA!へのご提案が……。
琴乃「私たち水着グラビアやってみたいんです! どうですか!?」
職権を乱用した推し活として、提案しようと誓うスパムでした。
【Palette】
住:東京都文京区湯島3-39-7 湯島STビル3F
電:19~23時(イベントによって変更あり)
営:不定期
休:070-8498-1460
料:1000円/60分(1ドリンクオーダー制)
一日店長のスケジュールはhttps://www.bar-palette.jpまで
撮影/菊竹 規
再び、時短営業だ。いつも22時すぎから飲み始める自分にとって、「飲むな」と言われているようなもの。早くから開けている地元の飲み屋を通りがかると、リスク高めなご年配の方々で賑わっていたりする。どないやねん!!
というわけで、「夜に飲むなってんなら昼から飲んだろ!」と歌舞伎町の「BAR DOQUDOQU」に駆け込んだ。通常時は365日ほぼ24時間営業というイカれ……いや、優しさに溢れた店である。嫌なことぜーんぶ、さっさとお酒で忘れちゃわないと!朝でも昼でも、店に入ればそこは“この世の果て”
東宝ビルのさらに奥、ビルの4階の扉を開けると明るい街から一転。禍々しい空気が充満する薄暗い店内に、一瞬頭がバグりそうになる。オーナーの四道氏が7年前にオープンしたこの店は、エログロ、サブカルなんでもありのギャラリーバー。アングラカルチャーの展示会が頻繁に催され、スタッフもその世界の住人たちだ。
元々常連客だったというアンソニーさんは、グラインドコアバンド「DISGUNDER」のフロントマン。
「コロナ禍でバンドやめた人も結構いますね。食えないだけじゃなくて、“おうち時間”で人間らしい幸せに目覚めちゃって(笑)。でも、私は逆にやめる人が増えるほど『絶対続けてやる!』って燃えてます。ドッジボールの最後の一人になりたいタイプなんですよ」寺山修司や丸尾末広の遺伝子を継ぐ劇団「虚飾集団廻天百眼」の女優・紅日毬子さんも「女優と酒場は絶対やめない」という。
「ただ、稽古や舞台で決まった時間に働けないので、こうやって自由にスタッフとして立てる場所があるのは、本当にありがたいです」客層もサブカル系からド変態までめちゃくちゃ。コロナ禍で消えかけるアングラの灯を、歌舞伎町の片隅で守り続ける店でもある。
煙草を吸いながら仕事できる日が再び骨髄さんは特殊造形やメイクアップに没頭し、店で個展を開いたことがきっかけでスタッフに。
「最初は人形作家の中川多理さんの作品に影響を受けて、学生時代はマリリン・マンソンやティム・バートンも訪れた『マリアの心臓』という人形博物館に通い、この世界にどっぷりハマってしまいました」花音菜さんは、多摩美出身で現在は神楽師として活動する。
「学生時代から『月蝕歌劇団』という劇団で舞台女優をしていて、神楽の師匠に弟子入りした途端にコロナ禍。現場も減ってしまったので、最近は植木屋も始めました。厳しい状況だけど、少しでも神楽の魅力を伝えていきたいんです」そんな濃い面子が揃うが、仕事が残ったままじゃ楽しく飲めない……。でも、無問題!
高速Wi-Fi完備で仕事もできるし、なんなら煙草も吸える。「煙草片手に仕事」という昨今絶滅しつつあるシチュエーションをもう一度味わえるとは! やっぱり捗るんですよねぇ……。 そして、仕事片付けたら速攻お酒飲めるなんて、最高すぎやしませんか? スタバでマックブック開いてる場合じゃねー!(したことないけど)自分、明日からここに籠もります。いつものように編集部にいなくても、ちゃんと仕事はしてます、編集長!
【BAR「DOQUDOQU」】
住:東京都新宿区歌舞伎町2-39-2 三幸ビル4F
電:03-6273-8765
営:ほぼ24時間(日によって営業していない時間もあるので詳細はTwitterで)
休:無休
料:チャージ500円、ドリンク500円~
※詳細や最新の営業情報はTELもしくはTwitter(@BAR_DOQUDOQU)にて
撮影/芝山健太