俺の夜
いよいよ元号が変わり、令和一発目の俺の夜を任されたスパムです。新時代の幕開けにふさわしい夜遊びとは……と思案していたところ、ふと寄った書店で一冊の本が目についた。それは3日で2億5000万円を売り上げ“日本一稼ぐキャバ嬢”の称号を得た、エンリケこと小川えりさんの著書『日本一売り上げるキャバ嬢の指名され続ける力』(KADOKAWA)。
今年の11月末で夜の世界から引退すると発表している彼女だが、それだけに所属する名古屋のお店には、全国からお客が殺到しているらしい。彼女の何がそこまで男たちの心を惹きつけるのか。新幹線に飛び乗り名古屋へと向かった。
特別感がクセになるエンリケ空間とは?
やって来たのは名古屋の繁華街・錦にあるキャバクラ「アールズカフェ」。名古屋らしい煌びやかな内装だ。日本一のキャバ嬢は多忙につき他のお客さんを接客中。そこでまず接客してくれたのは、同僚だけど“エンリケ信者”だという、あおいさんとりこさんだ。
あおい「テレビでえりさんを知って、『一緒に働きたい!』と思ったんです。両親も、『人生勉強しておいで』って許可してくれました」
りこ「私はもともとお客さんだったんですよ。接客されてるうちに一緒に働きたくなっちゃって。えりさんの仕事の早さと気遣いは、とてもマネできないですね」
乾杯をしながら、エンリケさんの凄さを実感するスパム。彼女が着くテーブルを見ていると、高級シャンパンが次々と空き、その様子をスマホで撮影している。これがあのインスタの裏側か! 感激しているスパムの席に「お待たせして、すみません~!」と、ついにエンリケさんが登場。
「日本一稼ぐキャバ嬢」がフェンディのドレスに包まれ登場!
早速、インスタについて聞くと、「やっちゃいます?」と、目の前にドンペリが2本(20万円!)用意され、グラス片手にスマホを構える彼女。エンリケ「なんと、スパムさんからドンペリ2本いただいたよぉ~」
約30万人のフォロワーに向けツーショット! 自然と気分がアガる。決してシャンパンは強制なわけではないが、この“エンリケ空間”の興奮はクセになりそうだ。
エンリケ「私は指名のお客様がかぶっても、黒服さんに頼らずに自分で時間を読みながら管理をしますね。時間のロスがもったいないし、1分1秒が真剣勝負なので」30万人の前でドヤ顔! これが「エンリケ空間」だ!!
これが“秒で稼ぐ”というエンリケ接客の極意なのだろう。また、彼女には「絶対に休まず週7日出勤」や「お客様との同伴が富士登山で、下山後に登山服のまま出勤」など驚愕エピソードも多い。
「今や海外からもお客さんが来るぐらいで、名古屋の『歩く観光名所』と呼ばれています。引退以降に名古屋の景気が下がったら、それは“エンリケ・ショック”だと思いますね」(後輩のゆいさん)
そんな証言を本人にぶつけると、「引退後のエンリケロスが心配! 銅像を建てないかんわ」と大笑い。同郷のイチローさながらに身を引くキャバクラ界のレジェンドが引退する日には、名古屋がどんなことになるのか。領収書を握りしめながら再訪を誓うスパムでした。
【アールズカフェ】住:名古屋市中区錦3-19-5 ピボットスクエアビル1F
電:052-973-1111
営:19時30分~翌1時
休:なし
料:50分/9000円(VIP席は60分/1万2000円)、指名料3000円。
エンリケさん最新作『日本一売り上げるキャバ嬢の億稼ぐ技術』(KADOKAWA)も発売中
撮影/林紘輝
先のGWは10連休と巷は大騒ぎであったが、いかんせんカネもヒマもない。近所をまんじりともせずにぐるぐると歩いていると、それを見透かしたように電話が鳴った。
「都内に大人のアミューズメントができましたよ。秘宝館、一緒に行ってみませんか?」
弾んだ声を出すのは夜遊びガイドのO氏。秘宝館と言えば、地方の温泉地で人目を忍ぶようにひっそりと営業されているイメージがあるが、まさか都内とは……。
ピンサロ通りを抜けるとカオスが
やってきたのは大塚。大人の歓楽街として名を馳せるこの街は、俺が実話誌記者時代さんざん“修業”した場所だ。北口から放射線上に延びる通りは「ピンサロ激戦区」で知られ、恐ろしく低価格の店に入っては、味のあるポン引き、店内アナウンス、それに輪をかけて味がある「社交さん」の手練手管を体験しては、禄を食んでいた。
「2回転1300円、3回転1800円」。10年前よりも価格破壊を起こしている看板を眺めながら通りを歩くと、その外れにド派手な花輪に囲まれた店があった。
スナックのようなカウンターの奥に女性がひとり微笑んでいる。向かいの壁には「秘宝館」と書かれたネオンが鎮座、その下には7人の小人がおり、天井からは鬱蒼とした緑が垂れ下がっている。
なんという異空間。聞けば店主の片品村蕃登さんは、全国にあまたあった秘宝館の内装を制作、運営していた会社で働いていた経験があり、閉館、解体に追い込まれた全国の秘宝館の“秘宝”を収集。集めたコレクションを展示するためにこのバーを開いたという。昭和ロマンを再現した大人の空間
「昭和のバブル時代には儲かるということで、全国に数十軒あった秘宝館ですが、バブル崩壊とともに続々閉館。平成で新設されたものはなく、令和を迎える今“絶滅危惧”業種となっています」
スナック然とした店内には「お宝」がぎっしり。ネオンは’14年に廃館した、嬉野武雄観光秘宝館で実際に展示されていたもの。壁画も当時の展示を3か月かけて再現したという。モニターには秘宝館で実際に流されていた「マル秘映像」が。珍妙な映像を観ながら、俺はキンミヤ焼酎のレモンハイ、O氏は名物の「みりんの牛乳割り」を舐めながら、秘宝館の歴史や逸話を聞くと、昭和がいかに鷹揚でロマンのあった時代かしみじみと感じることができる。
すべて本物! 展示されている“秘宝”の数々
「実は、私の家にはまだまだ展示品が眠っているんです。今後ここに持ってくるかもしれません」
ここは現在進行形の秘宝館だ。
【ニュー秘宝館】
住:東京都豊島区北大塚3-33-2 ヤマトビル1F
電:03-6903-4194
営:15~24時
休:日
料:600円~(飲料・軽食代のみ。18時以降はチャージ500円)
●最新情報はtwitter(@katashinamrhoto)をチェック
協力/O氏(夜遊びガイド)撮影/渡辺秀之
もう4月で新年度が始まったというのに、一向に出世する気配もなく、それどころか失敗ばかりのマエザワです。10年以上前から公私共に渋谷を拠点にしてきた僕。道玄坂の入り口にあるミニストップには灰皿が置かれており(※現在は撤去)、いつも仕事終わりに一服するのがルーティンだった。煙草の煙をくゆらせながら、今日一日を振り返る。ああ、またやっちまったな。いっそ、もう辞めちまおうか。いや、齢30を過ぎた今、そんな簡単にはいかないだろう。ココに来ると、いろんな感情が涌き上がってくるのだが、なぜだか少しほっと安心できる。
そんなミニストップの前からふと顔を上げると、いつも気になっていた店がある。
ふと見上げれば希望の光が……
さまざまな飲食店が立ち並ぶ渋谷マークシティの隣。いつものようにミニストップまで来ると、その足で目の前にそびえ立つ雑居ビルの急勾配の階段をのぼる。
今回のお目当ては「Cheer up Tokyo」の渋谷店だ。この街に長くいるが、実際に訪れるのは初めてだ。扉を開けると、チアガールの衣装を身にまとった美女たちの大きな声が響いた!
「いらっしゃいませ~」
キャストは女子大生を中心に、海外からの留学生まで在籍し、明るい性格の女のコたちがそろう。キュートなチアガールがお疲れリーマンに元気を注入!
さて、どんなにタフなスーパーサラリーマンであれ、24時間365日すべてを頑張り続けることは不可能に近いが、同店のコンセプトは「(皆さんを)元気づけること」だという。
スポーツの場において、チアガールの魅力といえば、躍動感あふれるダンスと、観客を交えた掛け合い。それに鼓舞された選手は、いつも以上の実力を発揮できるというものだ。
同店の名物だというチアーズドリンクを注文すると、人気アイドルグループの音楽が流れ、キレッキレのダンスと歌が披露される。合間に威勢のいい掛け声が入ると、店内の客を巻き込みながら一体となって乾杯だ。
ちなみに、キャストたちで組まれたユニットで昨年メジャーデビューも果たしているとか。1時間に一回、ダンスタイムもある。
ファイファイファイト! 歌とダンスで盛り上がる
こうしてチアガールたちの歌とダンスを楽しみつつ、宵が深まっていく。気がつけば、仕事の悩みが吹き飛んでいった。
そろそろ帰ろうか。席を立ち、店を後にしようとすると、最後に「いま頑張っていることはなんですか?」と問われた。もちろん、仕事である。すると、チアガールたちが僕を取り囲み、円陣を組み始めたのだ。
「マエザワさんの明日からの仕事が、さらに頑張れますように。レッツゴーチア、ファイファイファイト、オ~ラ~イ♪」
なんと粋な計らい。もしも仕事で勝負をかけたいときや、悩んでいたり、疲れていたりするときには、パワーチャージに訪れてみてはどうだろうか。
【Cheer up Tokyo SHIBUYA】住:東京都渋谷区道玄坂2-7-4 清水ビル2F
電:03-6416-5205
営:月~木 18:30~24:00(LO 23:40)、金・土18:30~翌2:00(LO 1:40)
休:日・祝
飲み放題30分1500円(男性)、500円(女性) ※税別
http://cheeruptokyo.com/
撮影/長谷英史