俺の夜
とっても仲がいいことで社内でも評判の週刊SPA!編集部。仕事を終え、いつものようにデスクと喫煙所で談笑していると、突然「グラビアアイドルがさあ……焼肉焼いてくれたら嬉しくない?」と聞かれた。
急に変な願望を伝えられて戸惑ったが、きっと疲れているのだろう。デスクともなると、ヒラ2年目の俺からは想像もつかないほどの業務量のはずだ。彼の身を案じながら「そうっすね(笑)」と生返事をして帰社すると、携帯に1件の通知が来ていた。Teamsに「焼肉SPA!」というグループができており、「グラビアアイドルの女のコを1日店長にした焼肉屋をSPA!で3日間やります」というメッセージが。
いや、本気だったのかよ! と内心ツッコみつつ、デスクの行動の速さに感心。こうして、焼肉SPA!のプロジェクトはスタートしたのだった。
それから2か月、焼肉SPA!の看板を発注し、衣装を揃え、イベント情報を配信するなど奔走した俺。そのご褒美に最初のお客さんとして焼肉SPA!を体験できることに!美女×焼肉の最強コンボで乾杯
今回、俺を接客してくれたのは、店長の由良朱合ちゃんと、アシスタントの山田南実ちゃん。「いらっしゃいませ~」と入り口まで出迎えてくれた。大人気グラビアアイドルである2人が目の前にいる時点で夢のようだが、イベントはまだ始まったばかり。
おしぼりを渡し、「飲み物は何にしますか?」と気さくに話しかけてくれる朱合ちゃんと、ひとまずウーロンハイで乾杯する。一体何を話せばいいのか……と緊張していたケンビシだったが、そんな心配は杞憂だった。どれくらいの焼き加減が好き?
朱合ちゃんの持ち前の明るさと人懐っこさですぐに緊張はほぐれる。コースで運ばれてくる料理についても丁寧に説明してくれて、どれも本当においしい。料理や飲み物が運ばれてくるたびに自然と会話が生まれるのが嬉しかった。
ちなみに看板メニューの「和牛サーロインすき焼き風」は朱合ちゃんが目の前で焼いてくれるという特典付きだ。
「どれくらいの焼き加減が好き?ミディアム? レア?」
と聞きながら俺のためだけに肉を焼いてくれる朱合ちゃん。デスク、あなたは間違ってません。最高です!神イベントにもほどがある
その後も、朱合ちゃんや南実ちゃんと談笑しながらザブトン、ヒレ、ハラミなど豪華な部位を堪能。そして驚いたのが、シメのおにぎりは朱合ちゃんお手製だということ。
憧れのグラビアアイドルが自分のためにおにぎりを作っているという謎の光景に脳がショートしそうになる。結構お腹もいっぱいになっていたが、朱合ちゃんに「おにぎり大きくなっちゃったけど大丈夫かな?」と聞かれ、間髪入れず「もちろん!」と答えた。
少々不格好なおにぎりがいとおしい。別腹でおいしく完食し、およそ90分間の豪華なコース料理が終了。
「一生の思い出だ……」と感慨に浸っていると、「チェキ撮ろうよ!」と朱合ちゃんが誘ってくれた(嬉しさのあまり、チェキにサインをしてもらうのを忘れてしまった)。料理を振る舞ってもらい、会話を楽しんで、最後には記念品までゲットできるなんて、神イベントにもほどがある。
「気をつけて帰ってね! 楽しかったよ」と出口まで来て笑顔で見送ってくれた朱合ちゃんと南実ちゃんを見て、またこのイベントがあれば再訪することを誓うケンビシだった。
【焼肉SPA!】
一日30組限定の焼肉SPA!が10月29~31日の3日間オープン。長澤茉里奈、高崎かなみ、由良朱合の「焼肉3人娘」がそれぞれ一日店長を務め、90分の焼肉コースを振る舞った。ただいま第2弾を計画中。続報を待て!
撮影/渡辺秀之
日々めまぐるしい変化のなか、飲食店は振り回されてきた。それでも前を向き、逞しく生きていく。その姿に、ひとりの客として励まされることがある――。
酒好きな女将と、福井の地酒に酔う!
「実際に“覚悟”した時期もありました。ただ、そのなかで私たちは一生懸命にやってきたので」
こう話すのは、西荻窪の小料理屋「日本酒おばんざい 梵」の女将である石渡麗さんだ。ようやく緊急事態宣言が解除され、街には活気が戻りつつある。とはいえ、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。女将の奮闘ぶりから、逆境を生き抜くヒントも見えるのではないか。
どんな状況に置かれても常に明るく楽しむこと
高校卒業後、故郷の福井県を出て、京都・祇園のおばんざい屋などを経てから上京。自分の好きな店で働くことで、少しずつ料理の腕を磨いていったという。
「お酒が好きで、飲み続けられる仕事がしたいと思って(笑)」
そのためには、自分で店を構えるしかない。そして、西荻窪に店をオープンさせたのが約6年前。中央線沿いの街は、ふらりと立ち寄れる小さな店が多く、雰囲気が気に入ったという。売り上げがゼロのまま続くことを覚悟した
「私はひとり飲みが好きなので、おひとり様が静かに飲めるような場所をつくりたかったんです」
最初の3年間はひとりで切り盛りしていたが、40代から80代まで次第に常連客が増えていく。それに伴い従業員を雇って現在は4人。そんななかで突然、昨年からコロナ禍に突入したのである。先行きが見えない不安が募った。
「店をつくるとき、いつか何かがあるかもしれないと思っていたのですが、その何かが来たなって」
売り上げがゼロのまま続くことを覚悟した。休業や時短営業の要請、酒類提供の禁止。街の人出も少なくなっていたが、試行錯誤の連続だった。一時期はクリームソーダ喫茶や台湾ラーメン屋として営業していたそうだ。
「仕方がないことなので、決められたなかでどうするべきか考えるしかないんです。いろいろありましたが、楽しくやっていますよ」
お客様と従業員たちの“居場所”を残したい
もちろん、店を閉めるという選択肢もあったというが……。
「従業員や常連さんが困るだろうなって。みんなの居場所をなくしてはならないと思って。なんか、照れてしまいますね(笑)」
店長の伊藤千夏さんが話す。
「女将は遊び心をもってチャレンジしながらも絶対に失敗しないように計算していて、そばで見ていてもすごいと感心しました」
周囲から慕われている女将だが、じつは“RIZIN漢塾塾長”こと格闘家・石渡伸太郎選手の妻なのである。記者が同店の存在を知ったきっかけは、単純にファンとして情報を追いかけていたことにほかならないが、石渡選手と同様に熱い心を秘めている……。 福井県の地酒をそろえ、定番の肴はポテトサラダ。自家製ラー油と葱油がピリリと効いたよだれ鶏が人気。これからの季節、おでんを食べながら一杯やるのも悪くない。あらゆる現実から逃れて、ひとりで静かに飲みたい夜もある。そんな人たちの“憩いの場”が西荻窪にあるのだった。【日本酒おばんざい 梵】
住:東京都杉並区西荻南2-24-7 YT西荻窪 1F
電:03-5941-7617
営:12:00~23:00(22:00L.O)
休:不定休
料:料理一品500~1000円、定食1500円(ご飯・みそ汁セット)
※お会計は500円単位で丸める
※西荻窪駅南口 徒歩3分
※営業時間や定休日が変更になる可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください
撮影/長谷英史
ようやく緊急事態宣言が解除されて、友人と数か月ぶりに酒を酌み交わしたスパムです。新型コロナの影響で筋トレに目覚めたという彼は、会社を辞めてパーソナルジムを開業。新しい居場所を見つけた友人の背中を見送り、夜の銀座を久しぶりに歩く。
すると、宣言下で見かけなかったドレスや着物を纏った女性たちが同伴の待ち合わせをしている。緊急事態宣言中は休業していたお店も多く、働く場所を失っていた夜職の女性も増えていた。
彼女たちはどう過ごしていたのだろうか。宣言が明けて、仕事復帰したという銀座のママに会いにいってみた!
久しぶりの銀座での営業はアドレナリンが出てきます今回、訪れたのは銀座の見番通りにあるビルに店を構えるクラブ「梟(ふくろう)」だ。白を基調にした店内はボックス席に加えて、バーカウンターもあり高級感が漂う雰囲気。そこに「いらっしゃい」と美しい着物姿で迎えてくれたのは、めぐみママ。こちらは今年4月にリニューアルオープンしたが、6月には休業に。約4か月ぶりの再開だ。
めぐみ「だからもう、解除初日は久しぶりにお客様と会って、アドレナリンが出っぱなし。その翌朝は久しぶりの二日酔いで『戻ってきた~』っていう感じで(笑)」
休業中はキッチンカーでまぜそばを売る日々
乾杯しながら、笑顔で話すママ。だが、休業中は働く場所を失い、別の仕事にも挑戦。キッチンカーを借りて、一人でまぜそば屋をオープンして生計を立てていたとか。
めぐみ「借りたキッチンカーがマニュアルだったので、自動車教習所にも通い直しましたよ。汗だくになって働いても収入は4分の1くらいにしかならなくて、大変でしたね。ただ、オフィスビルの前で営業していたら某企業の部長さんから“寸志”って書かれた袋を渡されて、見ると中には3万円も……驚いたけどうれしかったです」 職を替えても、客の心を摑む接客術はピカイチだった様子。また、生活面もかなり変化が起きたとか。めぐみ「夜は外出せずに20時ぐらいから一人晩酌を始めて、酔うのも早いから22時すぎには就寝。それまで、毎日夜中の3時にベッドで気絶していた。結果的にかなり健康的な生活を送っていたので、寿命は延びた気がしますね」
人と人とが支え合ってるのが、銀座の面白さ
人間味の溢れるママの元に通ってくる常連が多いのも納得だ。
めぐみ「こういう状況で人付き合いが減って寂しいのか、みんな返信が早い(笑)。なかには、コロナに感染して入院してた方もいて、『生きていてよかった。また行くよ』って連絡くれて。こうやって人と人とが支え合ってるのが、ほかの街にはない銀座の面白さかな」
ようやく緊急事態宣言も明けて、ママとしてもリスタートする。
めぐみ「夜職はもうやめるか悩んだ時期もあったけど、再開できて自分のいるべき場所はここだなと。まだまだお客様は少ないし、寂しさはあるけど、年末には飲食業界に活気が戻ってきて、コロナ前の銀座の風景になってほしいです」 どんなに状況が変化しても、銀座には変わらない魅力がある。ママの新たな決意を聞いて、応援したくなったスパムでした。【CLUB 梟 FUKUROU】
住:中央区銀座8-7-22 第23ポールスタービル3FC室
電:03-6280-6550
営:20~24時
休:土・日曜
料:セット料金1万5000円/90分、サービス料30%、TAX10%(初回ボトル代は別途)
撮影/菊竹 規