ラーメン、カレーに立ち飲み屋。世はシェアブームに乗り、いわゆる「間借り営業」がはやっている。カレーに至っては、大阪を中心に、既存の飲食店の休みの時間に2~3時間の営業があっという間に人気店になり、独立。一国一城の主になるという「サクセスストーリー」があまた語られている。
間借りの店でスパイスカレーを食べながら口角泡を飛ばしていると、お馴染み夜遊びガイドのO氏が汗をフキフキぼそっと呟く。
「銀座のクラブにもそんな営業をやっている店がありますよ」
その名も「インディーズスナック女子大生」。銀座のラウンジを間借りした不定期で開かれるスナックだそうで、ツイッター界隈で話題となっているのだという。銀座に月1、2度現れる風変わりなスナック
やってきたのはアルマーニの制服導入で一躍有名になった泰明小学校近く、コリドー街から一本道を隔てた通りにある「ラウンジ」「CLUB」などと書かれた看板が並ぶ古い雑居ビルだ。ゴトリと音を立てて止まるエレベーターを降りると、「会員制」と書かれた扉がズラリと並ぶフロアに。目的の店の名は出ておらず、緊張が高まる。貸主の店の屋号を確認しつつ、重厚な木製ドアを僅かに開け、恐る恐る中を窺う……。
「いらっしゃいませぇ」
及び腰の我々を迎えてくれたのは、胸元が艶やかに開いたドレスが美しいりさママ。聞けば心理学を学ぶ21歳の女子大生というから看板に偽りはない。角のハウスボトルでハイボールを作るのも手慣れたもの。その手つきを眺めながら、“インディーズ”を名乗る理由を聞いた。
「もともとは二十数人からなる大人数ノイズバンドのメンバーが始めたスナックなんです。去年バンドが活動休止になったとき、その後継として『スナック』をやりたいと。だから中心メンバーはノイズバンド出身なんです」
女子大生アイドル、アーティストが催す宴
バンドはインディーズだったそうだが、銀座に水商売で殴り込みをかけて、一転メジャーを狙おうという企みか……。
「鏡月のボトルのフタが開けられないコもいたほどなんで、メジャーなんておこがましいです」と笑うりさママだが、在籍の女のコはアイドル、イベントのオーガナイザー、バンド女子など、いわゆる“アーティスト志向”の女のコたちが多い。
「1年前にオープンした当時はそれぞれの女のコたちのファンがやってきて、イベント感覚で盛り上がっていたけど、『銀座の怪しいスナック』感がウケてか、噂が噂を呼んで、一見さんも多く来てくれるようになりました」(りさママ)
銀座のど真ん中でカオスと喧騒に酔う
カラオケはもちろん、女のコの楽器演奏やライブ、チェキ大会、アイドルグッズの物販など何が飛び出すかわからないところが「インディーズ」。「女のコがシャンパンボトルを売り歩いたり、突然手料理をふるまったり、なんでもアリの“接客にならない接客”がウリ。月に1、2度の不定期営業だから、女のコたちも全力で楽しんでるんです」
銀座に現れた異空間。今は間借りだが、今後は果たして……。それでも、恐れず、気負わず、楽しむのが王道だろう。
【インディーズスナック女子大生】
住 東京都中央区銀座6-3-5 小池ビル3階(ラウンジ・ラベンダー内)
営 8/25(土)、9/15(土)、10/6(土)18:00~22:30
料 4000円(時間無制限・ハウスボトル飲み放題)
最新情報はTwitter(@ISU_jD)で
撮影/渡辺秀之 協力/O氏(夜遊びガイド)
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苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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